相続について



項  目

報 酬 等
T

遺産分割協議書の作成

54,000円〜 
U
相続人確認調査  5,400円〜32,400円
V
戸籍謄本等取得手数料(1通)  1,080円/2,160円+官公署交付手数料+郵送費


相続について

T 相続

 相続は、被相続人の死亡によって開始します。被相続人が、遺言をしていた場合は、その内容によって遺産の帰属や相続財産の範囲が異なってきます。

 相続対象の遺産について、指定相続分や法定相続分によって、具体的相続分が確定されるわけではないことに注意が必要です。

 相続人が複数存在する共同相続では、各共同相続人は、相続分の割合で遺産を共有する状態になりますが、これは一時的又は暫定的な状態であって、個別財産の各共同相続人への帰属を確定させるためには遺産分割協議を経なければなりません。

U 遺産分割協議

 遺産分割協議に参加すべき当事者や、遺産分割協議の結果を対抗できなくなる第三者については、注意が必要です。

 遺産分割は、「遺産分割時の遺産」を対象とするものであって、「相続開始時の遺産」ではありません。遺産分割協議の対象となる相続財産であるか否かについては、理論的には正確な判断が必要ですが、遺産分割協議に加わるべき全相続人等の合意があれば、遺産分割協議の対象とすることが出来る財産の範囲は広くなります。ただし、遺言が発見された時には、遺産分割協議との関係について、正確な相続法の知識と判断が必要になります。

V 相続放棄

相続人は、相続が開始し、何も法定の手続を行わなかった場合、相続分にしたがって無限に相続財産を受け継ぎます。この相続財産には、プラスとマイナスの財産の全てが含まれます。 これを単純承認といいます。
 
この単純承認を望まないのであれば、限定承認若しくは相続放棄をしなければなりません。


*法定単純承認(921条)

限定承認若しくは相続放棄を考慮中でも、次の行為があると単純承認したものとみなされるので注意が必要です。

@相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。ただし、保存行為や民法602条に定める期間を超えない賃貸をすることは、ここでいう処分にはあたりません。

A相続人が熟慮期間(3ヶ月)内に限定承認も放棄もしなかったとき。

B相続人が、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、これを消費し、または悪意でこ れを財産自録中に記載しなかったとき。

 相続が発生したのかどうか不明の場合に、それを知らずに@の処分をしても問題とはされません。
 また、判例には、@被相続人の上着やズボンを1着ずつ譲渡した行為について「処分」には該当しないと判断したものがあり (東京高判昭37.7.19)、A被相続人の火葬費用の足しにするため相続財産を支出したような場合にも、「処分」に該当しないと判断したものもある(大阪高決昭54.3.22)ので、相続財産を多少処分したことをもって、直ちに法定単純承認をしたことになり、相続放棄ができなくなると考えるのは早計かもしれません。

*放棄の手続と熟慮期間 

 相続放棄は、家庭裁判所に申述して(938 条 )行います。

 相続放棄は必ず家庭裁判所に申告して行わなければ効力を生じません。

 相続開始前には、相続放棄することはできません。

 相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません。短期なので、注意が必要です。

 相続人が複数いるときは、熟慮期間は各人別々に進行することになっています。この期間は利害関係人または検察官の請求により、家庭裁判所において伸長することができます。 (915条1項但書 )

 相続放棄手続の3ヶ月の期間の起算点は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」からです。(この3ヶ月を熟慮期間ともいいます。)

 判例は、下記のとおり、3ヶ月の熟慮期間を、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたので、何もしていなかったような場合、そのように信ずるについて相当な理由があるときは、「相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算」するとしています。

 「民法第915条第1項の規定によれば、相続人は、自己のために相続があったことを知った時から3か月以内に単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
 この民法第915条第1項の規定する「自己のために・・・知った時」とは、相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時をいうと解すべきであるが、相続人が当該各事実を知った場合であっても、当該各事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続の放棄をしなかったのが被相続人に相続すべき積極及び消極の財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続すべき積極及び消極の財産の有無の調査を期待することが著しく困難な状態があって、相続人において相続すべき積極及び消極の財産が全くないと信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が相続すべき積極及び消極の財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算すべきものと解するのが相当である。」

 この判例によって、被相続人の死亡後3ヶ月を過ぎたてからの、突然の被相続人の債権者からの弁済請求から、相続人が救われるケースもあることになりました。

【相続放棄の効果】

 「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかったもの」とみなされます(939条 )。その結果、放棄した者を除く他の共同又は次順位の相続人が相続することになります。

放棄した者に、子などの直系卑属がいても、代襲相続は起こりません。
 なぜならば、887条2項は、代襲相続の要件を被相続人の子が「相続開始以前」に相続権を失った場合に限定しており、相続開始後になされる放棄が含まれないためです。
 この点、相続欠格や廃除とは異なります。

相続放棄は、原則として撤回することができません。                          民法第919条1項は「承認及び放棄は、第915条第1項の期間(3ヶ月)内でも、これを取り消すことができない」と規定しています。

しかし、次のような事情がある場合、相続放棄を取消すことができます。

   ・騙されて相続放棄をした場合

   ・脅迫されて相続放棄をした場合

   ・未成年者が親の同意なく相続放棄をした場合

   ・成年被後見人が相続放棄をした場合

   ・後見人が後見監督人の同意を得ずに成年被後見人の相続放棄をした場合