不動産をめぐる知識




◎ 更新料について

◎ 保証金・敷金について

◎ 敷金返還について

 

- 更新料 -
 土地の賃貸借終了に伴う更新料に関する問題が多くなっているようです。
 賃貸借期間満了に伴う更新料については,法律上の根拠があるものではありません。
  
 法律の定めから(平成4年7月31日以前の契約は,借地法が適用されます。)
  
@ 期間満了のとき,原則として借地上に建物がある限り,借地人が契約の更新を請求すれば,借地契約は以前と同一の条件で当然に更新されたとみなされる。

  
A 例外として,地主に賃貸借契約を更新しないことについて,正当事由があり,かつ,遅滞なく借地人に対して更新について異議を述べた場合のみ,更新を拒み,建物を壊して土地を明渡すことを求めることができる。
  
 期間満了の際の法律関係としては以上の二つしかなく,更新料については全く定めがありません。
  
 契約の更新は,地主の正当事由によって左右されることはあっても,更新料の支払いとは全く無関係です。
  
 ただし,法律の規定だけを取り上げて,更新料を全く拒否してしまうと,地主との関係が悪くなるとも考えられるので,円満な社会生活を営んでいく上では,ある程度の更新料を支払うことも考えてみたほうがよいかもしれません。
  
 地主が要求してくる更新料は,土地の時価の5〜10%程度のようですが,話し合い次第とも言えます。 

 しかし,賃貸借契約等で,更新料を支払うという特別な合意をしていない限り,更新料の支払義務はないというのが一般的な考え方です。

 現行法でも,一般法である民法や民法の特別法である借地法,借家法,借地借家法のいずれにも更新料を支払うという規定は見当たりません。

 判例や学説も,更新料の支払いが,民法上の「慣習」(民法92条)ではないとしています。

 結果として,更新料を支払わなければならないのは,当事者間に更新料を支払という合意がある場合に限られることになります。

《更新料支払いの契約又は合意のある場合》
  
 借地借家法や借地法,借家法も同様に,立法趣旨として賃借人の権利保護を掲げていて,賃借人に不利と考えられる更新料の支払いが明文の規定には反していないとしても借地借家法等の立法趣旨から無効ではないかという問題があります。
  
 借地借家法等には,先にも述べたとおり,法定更新が強行規定として規定されている以上,契約上の更新料の定めは,法定更新制度をないがしろにしてしまうという考えもありました。
  
 しかし,賃料が容易には増額が出来ず,更新の際に過去の安い賃料と現在の適正賃料とのバランスをとる方法であることや,賃借人が自主的に出ていくまで解除や明け渡しが請求できない現状から,賃借人に不相当な負担を強いるものではなく,具体的な事案に応じて,総合的に判断し,合理的と認められるような更新料の定めは有効であるというのが,ほぼ確立した実務・判例といえます。
  
 賃貸借契約で更新料の定めがあり,法定更新になった場合の,更新料の支払いは,認められることもあるし,認められないこともあるようです。

《更新料はどのくらいが妥当か?》

 賃借人に不利益となるような不当に高額な更新料は,合意があってもその効力が否定されることになるでしょう。
 妥当と判断されるのは,借地の場合には土地の借地権価格の3〜5%程度,借家では,賃料の1〜2ヶ月分程度と思われます。

 

- 保証金・敷金 -

 賃貸借契約に基づいて預託した保証が、売買契約により賃貸人が交代した場合、新しい賃貸人に継承されるか否かを判断するには、保証金の法的性質を考えなければなりません。ただし、競売等の所有者(賃貸人)の交代では、下記と同一の考え方ではない場合がありますので注意してください。

<預託金@からCの法的性質>

 @[敷金]の性質を有する保証金は、新賃貸人が保証金返還義務を承継しているものとみなされます。

 A[権利金]の性質を有する保証金は、新賃貸人に承継されません。なぜなら、権利金は通常返還しないものだからです。

 B[建設協力金]性質を有する保証金は、新賃貸人に承継されません。

 C[貸金]性質を有する保証金は、新賃貸人に承継されません。旧賃貸人との金銭消費貸借契約として維持されます。

- 敷金返還について -