◆ 調査への協力者がいなければ、調査ビジネスは成り立たない ◆
ある会合で、過去に調査に協力したという人から 「調査は答える人の気持や希望を考えていません。 少し、考え直してもらわないと、今後、調査に協力する気になれません。」 とか、「どのような調査を行えば回答者に満足してもらえ、そして、今後も調査に協力してもらえるのか、’調査会社が自分たちのことを知る調査’を行うべきです。」 という発言がありました。
調査関係者にとってはまさに ’紺屋の白袴’で、大変、耳が痛い話ですが、このような意見を言ってくれる調査対象者(消費者)は貴重な存在ですから、謙虚な姿勢で聞く必要があります。
一番困るのは、’調査に真面目に答えてもらえる人’が減ることと、’謝礼が目当で、いい加減な気持ちで調査に応じる人’が増えることです。
そのような傾向が続けば、サンプルの偏りや質の低下が懸念され、延いては、調査の「品質」や「信頼性」を低下させる原因になるからです。
真面目な調査対象者を維持・増加させてほしい!
国によっては、’調査に回答すれば、延いては、自分たちの望む商品やサービスが開発・提供されるので、調査には積極的に協力する’ という消費者が多いと聞きます。 しかし、日本ではそのような意識・土壌はあまり期待できません。
調査業界の今後の課題は、’真面目に考えて回答してもらえれる調査対象者 ’を、将来に向けて出来るだけ多く維持・増加させることです。
そのためには、日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)がリーダーシップをとり、調査会社とクライアントが一体となって問題点の把握と、その改善策を考えることが必要だと思います。
そのポイントとして、次のようなことが考えられます。
● 調査に協力するか否かの分岐点になるポイントは何か?
● どのような点が改善されたら、調査にもっと協力してもいいと思うか?
● 調査関係者(調査員、リクルーター、司会者、実査担当者など)が調査対象
者から親近感を抱いてもらうには、どのような点に注意・配慮すべきか?
● 「調査内容」や「調査手順」を抵抗なく受け入れてもらうには、どのような点
に配慮すべきか?
● 調査に応じる「手間・時間」と「謝礼」とのバランスは、どの辺に分岐点があ
るのか?
● 調査の質問量や所要時間で、限界を感じだすのはどのくらいの量・時点か?
● マーケティングリサーチの目的・意義・(調査対象者から見た)貢献などに
ついて、啓蒙宣伝活動を行う必要性があるか?
このような問題点を改善・解決して、調査対象者が安心、かつ、納得して調査に協力してもらえる態勢作りが求められています。
調査に協力してもらえる人がいなければ、調査会社のビジネスは成り立ちません。
そして、クライアントは調査を通じて消費者から評価・感想・要望などを聞くことが出来なければ、ユーザーが本当に望む商品やサービスを開発・販売して、売上げを確保・増加させることは出来ません。
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’真面目に考えて回答してもらえる調査対象者 ’を維持・増加させるために、
調査会社とクライアントが一体となって真剣に考える時期がきています。
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【 関連項目 : G-1 調査対象者の心理状態 】
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