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G】 「人間の心理」を調査に応用


G-2 : 送り手の誠意が伝わる調査


 送り手(調査実施者)の「配慮」と「工夫」が、回収率を高めた!


郵送調査法は回収率が低いのが難点です。 ところが、この効率の良くない郵送調査でも、送り手(調査会社やクライアント)が誠意を尽くせば、受け手(調査対象者)も誠実に対応してくれるため、回収率が大幅にアップしたという事例があります。

日本銀行が実施した生活意識調査で起きた虚偽回答を、【
A-1 調査理論と現実のギャップ 】で既述しましたが、あの出来事の後に、クライアント(日銀)の調査担当者は注目すべき決断をしました。


「新たな郵送調査法」 が考えた回収率アップの工夫!

それは 「訪問調査」 に見切りをつけて、林英夫先生が提唱する 「
新たな郵送調査法」 に着目したのです。 郵送調査法は昔からある調査手法のひとつですが、回収率の低さが難点でした。
しかし、林先生は調査票を受け取った人が
協力する気になるには何が必要かを、工夫と実験を重ねて独自のノウハウを編み出されました。


そのポイントは、次のような点です。

 調査票はどのような色や形にするか?

 質問文はどのように配列するか?

 どのような封筒に入れ、どのような切手をはるか?

 ポストに入れるのは何曜日がいいか?

 予告状催促状はいつ出すか?


雑なやり方だと回収率は
10%くらいにしかならないのが、このような創意工夫をしながら丁寧に行えば70%を超えるということです。

郵送法に切り替えた日銀の調査は、あと一歩で
60%に届くそうです。
林英夫先生の人間(調査対象者)の心理を見据えた創意工夫には溜飲が下がる思いです。 また、社会環境の変化に対応するために調査手法を変更された、日銀の調査担当の方の英断にも拍手を送りたいと思います。


送り手の「誠意」が伝われば、受け手は誠実に応えてくれる!

この事例でのキーワードは、送り手の「配慮」と「工夫です。
このような「誠意」が調査票を通じて受け手に伝われば、受け手も「誠実」に応えてくれることを証明しています。

 このホームページの随所で、調査の「品質」や「精度」を高めるためには、「人間の心理」を踏まえた細やかな「配慮」や「工夫」が必要であることを強調してきましたが、この事例が私の主張を裏付けていると思います。 

なお、この考え方は、インターネット調査における「調査対象者(回答者)」、あるいは、訪問面接調査や会場調査における「調査対象者」や「調査員」にも当てはまることです。 色々な「配慮」や「工夫」を考えて、調査の質の向上を目指してください。

  
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