◆ 送り手(調査実施者)の「配慮」と「工夫」が、回収率を高めた! ◆
郵送調査法は回収率が低いのが難点です。 ところが、この効率の良くない郵送調査でも、送り手(調査会社やクライアント)が誠意を尽くせば、受け手(調査対象者)も誠実に対応してくれるため、回収率が大幅にアップしたという事例があります。
日本銀行が実施した生活意識調査で起きた虚偽回答を、【 A-1 調査理論と現実のギャップ 】で既述しましたが、あの出来事の後に、クライアント(日銀)の調査担当者は注目すべき決断をしました。
「新たな郵送調査法」 が考えた回収率アップの工夫!
それは 「訪問調査」 に見切りをつけて、林英夫先生が提唱する 「新たな郵送調査法」 に着目したのです。 郵送調査法は昔からある調査手法のひとつですが、回収率の低さが難点でした。
しかし、林先生は調査票を受け取った人が協力する気になるには何が必要かを、工夫と実験を重ねて独自のノウハウを編み出されました。
そのポイントは、次のような点です。
◇ 調査票はどのような色や形にするか?
◇ 質問文はどのように配列するか?
◇ どのような封筒に入れ、どのような切手をはるか?
◇ ポストに入れるのは何曜日がいいか?
◇ 予告状や催促状はいつ出すか?
雑なやり方だと回収率は10%くらいにしかならないのが、このような創意工夫をしながら丁寧に行えば70%を超えるということです。
郵送法に切り替えた日銀の調査は、あと一歩で60%に届くそうです。
林英夫先生の人間(調査対象者)の心理を見据えた創意工夫には溜飲が下がる思いです。 また、社会環境の変化に対応するために調査手法を変更された、日銀の調査担当の方の英断にも拍手を送りたいと思います。
送り手の「誠意」が伝われば、受け手は誠実に応えてくれる!
この事例でのキーワードは、送り手の「配慮」と「工夫」です。
このような「誠意」が調査票を通じて受け手に伝われば、受け手も「誠実」に応えてくれることを証明しています。
☆ このホームページの随所で、調査の「品質」や「精度」を高めるためには、「人間の心理」を踏まえた細やかな「配慮」や「工夫」が必要であることを強調してきましたが、この事例が私の主張を裏付けていると思います。 ☆
なお、この考え方は、インターネット調査における「調査対象者(回答者)」、あるいは、訪問面接調査や会場調査における「調査対象者」や「調査員」にも当てはまることです。 色々な「配慮」や「工夫」を考えて、調査の質の向上を目指してください。
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