◆ 調査結果が ’ご都合主義’で使われる! ◆
クライアントは調査結果に基づいて、ブランドプランの立案、新製品の受容性の確認、コンセプトの訴求ポイントの確認、テレビCM のアイディア案の選択などを行います。
ところが、最終的なブランドプラン、新製品、コンセプト、テレビCM が出来た段階で、そのプロジェクトのために過去に実施した調査結果を見直してみると、重要な結論や提言がほとんど反映されていないケースがあります。
決定権者に振り回される調査結果!
それは、調査結果に基づいた検討・決定の段階において、ブランド担当者や経営幹部の個人的な考え、あるいは、外資系企業だと海外本社の意向・方針などが優先して、調査結果が軽視・無視されることがあるからです。
調査結果が、決定権を持つ人の思惑通りならば、その結果は反映されますが、考えに反した場合は、決定権を持つ人の意向が調査結果を覆えしてしまいます。
テレビCM は関係者全員が評論家になるので、ますます面倒になる!
テレビCM の複数のアイディア案からのセレクション(選択)には、特に気をつけなくていけません。 折角、複数のアイディア案を使ってのセレクションテスト、あるいは、アニマティック映像を使ってのテレビCM
テストを実施しても、その調査結果が有効活用されるケースは少ないようです。
それは、テレビCM の場合、次のような状況から、最終決定の段階でともすれば調査結果が軽視されがちになるからです。
◇ 誰もが評論家になれる(なってしまう)ため、色々な人が色々な意見を言う
◇ クライアントで決定権を持つ人の好みが出やすい
◇ 広告代理店の実力者(クリエイティブディレクターなど)が、自分たちが作り
たいアイディアを薦めることがある
そのため、最終的には、調査結果とは異なるアイディア案が採用されたり、調査対象者(消費者)から出た制作時の留意点が全く無視されてしまうことがあります。
売上結果やテレビCM の評判が良くないと調査の責任にする!
調査結果を無視したにもかかわらず、決定に関与した人の結果が裏目に出た時は、「調査は行ったのだが ・・・」 という、聞き捨てならない弁解の言葉が出てきます。
また、売上結果が芳しくなかったり、オンエアしたテレビCM の評判が良くないと、決定に関与した人たちから 「テレビCM の制作に、調査は役立つの?」 とか、営業サイドから 「あのテレビコマーシャルは、テスト結果が良かったと聞いていたけど?」 という発言が飛び出し、売上の不振やテレビCM の不評は調査担当部署にその責任があるような雰囲気が出てきます。
このように調査結果を軽視・無視した行為が、詳しい事情を知らない人たちに 「調査への不信感」 を与える原因となります。
☆ ここで強調したいことは、調査を行う限りは調査結果を尊重し、最優先の判断事項にすべきです。
調査結果が上述のような扱いになるならば、経費と時間の無駄使いですから、関係者による話合いで決定すればいいことです。 ☆
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☞ 「アクション スタンダード」を設定する!
調査結果に基づいて最終判断をする時、周囲からの横槍を避けるためには、調査(コンセプト & プロダクトテスト や テレビCM テスト など) の実施前に、アクションスタンダードを設定しておくことです。
ブランド担当者は調査担当部署と相談の上、主要3項目くらいでアクションスタンダードを設定し、それを文書化して 経営幹部、カテゴリーマネジャー、調査部門責任者、(調査内容によっては)新製品開発部門責任者、広告代理店責任者から、事前に承認・同意のサインをもらっておきます。
そして、調査結果が出たらアクションスタンダードと照合しながら、Go / No Go の決定や複数案からの選択を行います。 ただし、このアクションスタンダードが
’諸刃の剣’になることもあるため、ハードル(項目と目標スコア)の設定は熟慮が必要です。
このようなアクションスタンダードを設定したら、経営幹部はこのルールに基づいた判断を尊重・徹底すべきです。
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