2001年2月03日更新

お店に頼む銀塩写真のデジタル化

銀塩に記録されたフィルム、プリントの写真をデジタル化するサービスを紹介してゆきます。昔の写真を明るい暗室で加工して楽しむ場合や、銀塩の一眼レフカメラを愛用している場合に簡単に時間をかけずデジタル画像を得ることの出来る方法です。

フォトCD ピクチャーCD、フジカラーCD

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《フォトCD》

フォトCDは135、APSの現像済みのネガポジフィルムをデジタル化するサービスで、パソコンは持っているけれど、デジカメはない。昔の写真(フィルムがある)をデジタル化したい、という方には安価で使いやすいデジタル画像を得ることが出来ます。私もデジカメやスキャナーを購入する前はこのサービスを愛用していました。
以下の5種類の解像度でデジタル化するため、添付ファイルにして友達に送る写真、ホームページで使う写真、自宅のプリンターで印刷するためのデータなどそれぞれの用途に合ったサイズのデジタル画像を得ることが出来ます。
名称 サイズ 画素数 PSPでのデータ量 JPEG画像
1/16Base 128 X 192 2万5千 72KB 4KB
1/4Base 256 X 348 10万 288KB 10KB
Base 512 X 768 40万 1.1MB 23KB
4Base 1024 X 1536 150万 4.5MB 58KB
16Base 2048 X 3072 600万 18MB 151KB

注1) JPEG画像はデータ量を減らすためレベル60(高圧縮)で保存しています。

ほとんどの写真店で受けてつけてくれ、納期は3日から1週間くらいです。料金体系は以下のようになっていますが、店によりもう少し安くサービスをしています。
基本作業料 ディスク代 ネガ1コマ ポジ1コマ
500円 1000円 100円 120円
フォトCDは1枚のディスクに100枚程度の画像を記録することが出来、すでに持っているディスクに追加して書き込んでもらうことも出来ます。ディスクのない状況から100コマをデジタル化してもらって約1万円ということになり、これはかなり安いです。同時プリントのように現像時にすべての画像をフォトCDに書き込んでくれるサービスもありますが、これはピクチャーCDやフジカラーCDサービスの方が有利でしょう。
デメリットについても書いておかなければなりません。120サイズ以上のフィルムは受け付けない、フィルムにキズやごみがある場合そのままデジタル化されるなどです。120サイズ以上はプロフォトCDという別のカテゴリーになり、プロラボで受け付けてくれます。プロフォトCDは料金は高くなりますが、色調を調整してくれたりなどそれなりのメリットがあり企業が財産として持っている写真などをデジタル化する際はこちらを利用します。フィルムにあるゴミやキズがデジタル化されてしまった場合には、フォトレタッチソフトを使用し自分で修正をしましょう。
フォトCDはコダックが提供している、サービス名で、フジも(もしかしたらコニカも)同様のサービスを提供している(いた?)のですが、サービス名を忘れてしまい両者のHPからそれらのサービスの現状を見つけることが出来ませんでした。フォトCDについて詳しく知りたい場合はコダックのHPか、写真現像会社のHPでサービス内容を紹介しています。

《ピクチャーCD、フジカラーCD》

ピクチャーCDはコダックの、フジカラーCDは富士写真フィルムの提供する、フィルム現像時のデジタル化サービスです。どちらも似たようなサービスなのでフジカラーCDを中心に進めてゆきましょう。特に断りのない限り、ピクチャーCDでも大体同じと考えてください。
フジカラーCDはフォトCDと比べ安価にデジタル画像を得ることの出来るサービスです。135、APSのネガポジフィルムからフィルム現像時に何コマでも、写っているものすべてを700円でデジタル化してくれます。フォトCDで同様のことをすると36枚撮りフィルムで約4000円かかることを考えるとこの価格のメリットを感じることが出来るでしょう。
画像はサイズ1000 X 1500のJPEGでファイルサイズは500〜600KBくらいです。添付ファイルとしてメールで送るにはちょっと大きいのでフォトレタッチソフトでサイズを小さくする必要があるでしょう。サンプルCDから我が家のインクジェットプリンターで印刷したものを見ると、A-4でも見られる程度の画像でした。フォトレタッチソフトを持っていなくてもパソコンで写真を見ることが出来るように、ビューアソフトが各CDに焼きこんであります。
1枚のCDに焼き付けられる画像は200コマになりますが、一般的なケースではフィルム1本についてCDが1枚ということになります。5本以下で同時に現像を行えば1枚のCDに入力してくれるのですが、海外旅行でも行かない限り何本も同時には現像しませんよね。すでに入力してあるCDを持っていっても、現像時にそのCDに入力するサービスは行っておらず、結果的にフィルム1本につきCDが1枚ということになります。
フジカラーCDに限り現像済みのフィルムからの入力を受け付けているので、このサービスを利用するとすでに持っているCDへの追加入力が出来ます。ただしフィルム現像時に入力するのと別料金の設定になっているので36枚撮り1本を入力するのに、3200円かかってしまうことになりあまり魅力的なサービスとは思えません。デジタルデータの使い勝手などを考えると現像済みのフィルムのデジタル化はフォトCDの方がコストパフォーマンスがよいといえます。
コニカも同様のサービスを行っていると思われるのですが、コニカのホームページでは同様のサービスを見つけられませんでした。インターネット上に画像データを置くサービスを展開しているようですが、この部分は今後の研究課題とさせてください。
さてなぜこのような安価なデジタルサービスが可能になったのか、その環境について話しておきましょう。多少専門的な話になるので、興味のない方は読み飛ばしてください。
現在でも多くの場合、プリントは光学的に処理されます。ネガフィルムを透過した光を印画紙に当て写真を作成します。もちろん途中に現像処理がありますが、あまり関係がないので省略します。
光学的にプリントを作成する方法でさまざまな技術が開発され、今日のように手軽に高品質の写真を楽しむことが出来るようになりましたが、この方法にも限界があります。たとえば夜景をバックに撮ったら人間の顔が真っ白になってしまったり、逆光で撮ったために人間の顔が暗くなってしまった経験をお持ちの方は多いと思います。サービス版のような機械に任せた焼付けではこれらを修正することが出来ませんでした。(1998年のフォトキナ(*1)アグファ(*2)が液晶のマスクを使ってこの手の写真の救済をするシステムを発表していましたが、他社はこれに追随しなかったようです。)
*1)世界最大の写真関係の見本市。2年に一度ドイツのケルンで開催される。
*2)ヨーロッパ最大のフィルムメーカーで世界では第4位。
1998年コニカはQDー21システムを発表。サービス版焼付けにおいて、フィルム現像後すべてのコマをスキャナーでデジタル化し、デジタル制御の露光機(*3)で印画紙に写真を焼き付けるシステムです。デジタルデータとして処理することにより、光学的にプリントするシステムでは出来なかったことが可能になったのです。それ以前もフジのフロンティアシステムなど、焼増し時にデジタル処理をして写真を救済するシステム(別料金)がありましたが、同時プリントでそれを行ってしまうという発想は画期的なものでした。
*3)インクジェットプリンターがインクを打つように、RGBの光源を制御し、印画紙に光を打って露光させるプリンタ。光源にはレーザー光や、LEDが用いられる。
2000年のラボショー(*4)ではほとんどのサービス版プリンタメーカーで、デジタル処理のシステムが出揃い、我々もそのサービスの恩恵を受けることの出来る環境が整いました。つまり今後多くの写真がデジタル処理されるようになり、その副産物としてデジタルデータが発生します。そのデータの使いまわしのためピクチャーCDやフジカラーCDは安価なサービスを提供出来るのです。
*4)毎年6月に東京で行われる写真現像会社向けの展示会。