2001年2月03日更新

《ネガフィルム》

フィルム現像後、オレンジ色のベースに反転画像になるフィルム。プリント作業で再び反転されることにより実際に目で見た色の画像を得ることが出来、フィルム自体は中間原稿的な位置をしめる。一般的に写真フィルムといった場合、こちらのネガフィルムをイメージされる方がほとんどだろう。
ネガフィルムの特徴はポジフィルムに比べ情報量が多く、露光(フィルムに当てる光の量)の許容範囲が広いことがあげられる。その特徴を生かしレンズつきフィルムのような、露光制御が粗末なカメラが誕生した。コンパクトカメラも一眼レフに比べると露光制御が見劣りするものもあるが、ネガフィルムを使う限り大きな問題は生じない。露光が適正でなくてもそこそこのプリントを得ることが出来るが、厳密に比べてみると適正露光が最もよい状態で画像を記録している。
コダック、富士写真フィルム、コニカよりいろいろな製品が販売されているが、サービス版程度プリントする場合はほとんど差はない。ポジフィルムより感度を上げやすくISO3200/36という製品も存在していた。感度を上げるほど画質が荒くなるので、必要以上に高い感度のフィルムを使用してはいけない。見本の写真はたまたまISO400/27になってしまったが、私は普段ISO100/21を使用している。
店頭で現像、プリント処理するミニラボが多く、ポジフィルムに比べ現像出来る拠点が圧倒的に多いこともネガフィルムのメリットである。新聞社などは「速報性」というニーズにこたえるためネガフィルムを使用することが多い。ただし最近はデジタルカメラが使われるケースが大勢を占めている。ミニラボでは店頭に持ち込んでから23分、45分、1時間といったようなサービスを謳っている店もあるが、割増料金を取られる場合もあり2時間仕上げくらいが妥当な処理時間と考えている。料金も時間などの兼ね合いがありまちまちだが、36枚撮りのフィルム代、現像代、サービスプリント代あわせて1500円くらいが妥当だろう。
ネガフィルムは情報量が多く、プリントにする際にはその一部を取り出して画像を得る。「焼増しをしたら色が変わった」「違う店でプリントしたら色が変わった」と言うようなことは情報の取り出し方の違いから起きる。サービス版ではほとんど機械の性能によって決まってしまうが、気に入った色でプリントしてくれる店を選ぶべきである。
ただし同時プリントの仕上がりを見て「色が悪いのは店のせい」と短絡的に考えるべきではない。ネガフィルムを見てもあなたが欲している情報が確実に記録されているのか明確にならない。納得のゆかない場合はほかの店で焼増しをしてみるとよい。ほかの店で色調が大幅に改善されれば、今後そちらのお店とお付き合いをすべきだろう。
細かいことを言えば、フィルム現像の品質についても考慮すべきである。サービスプリントで確認出来るような傷がついていたり、ごみの写り込みの多い店は避けた方がよい。またアマチュア向けの現像所と、プロラボで現像したネガフィルムは情報量に微妙な差がある。プロラボで現像したものの方がハイライト部とシャドウ部に情報が多く残っており、六つ切り程度に引き伸ばした場合、このあたりの情報が写真の味というか、深みとして現れてくる。大きく引き伸ばす可能性のあるネガフィルムはプロラボで現像することをお勧めする。一度失われてしまった情報はどのような手を使っても取り戻せない。ただしこの情報量の差は、サービスプリントでは確認することは出来ないし、デジタル化する際にも捨てられてしまう情報である。アマチュア向け、プロ向けのネガ現像の特性を知り、使い分けてゆくべきだろう。