2001年2月06日更新

自宅で出来る銀塩写真のデジタル化

お店に頼んで銀塩写真をデジタル化することはお手軽で、初期投資もほとんどかかりませんが、頼んでから受け取るまでに時間がかかるなどの制約があります。フラットベットスキャナーや、フィルムスキャナーをそろえることにより、自宅で銀塩写真をデジタル化することも出来ます。手間も時間もかかりますが、それもひとつの楽しみです。むかし、黒白フィルムで写真を撮り、疲れていることも忘れて早速フィルムを現像し、徹夜でプリントしていた楽しみを思い出す第一歩となるでしょう。

フラットベットスキャナー フィルムスキャナー

HOME

《フラットベットスキャナー》

私は主にプリントをデジタル化するために使用していますが、透過原稿ユニットというものをつけることにより、ネガポジフィルムのデジタル化も可能です。デジカメと並んで近年高性能化と、価格の低下が進んできました。フラットベットスキャナーの性能を測る指標でもっとも注目されるのは「解像度」でしょう。
私の購入したエプソンGT-7600Uは光学解像度1200dpiです。50dpiから9600dpiの範囲で任意に解像度を選択できますが、1200dpiより高い解像度は複数回のスキャンになります。1回のスキャンで得ることの出来る最高解像度の1200dpiが性能の目安になります。購入当初は「透過原稿ユニットを使いフィルムもスキャンしたい」と思い1200dpiの製品を選びましたが、プリントのスキャンを目的とするなら600dpiの解像度で十分です。このクラスのスキャナーは1万円程度で購入が出来ます。また1600dpiと高解像度のものでも、透過原稿ユニットをつけて3万円台です。
それでは解像度について考えてみましょう。よく使われる単位として先ほどから使っている“dpi”があります。Dot per Inchの略ですが1inchは25.4mmなので1200dpiで1mmあたりのdot数は47.2となります。サービス版の大きさが120mm×82mmですから1200dpiでスキャンすると
長辺 120×47.2=5,664
短辺 82×47.2=3,870
画素数 5,664×3,870=21,919,680
2千万画素だから2百万画素のデジカメと比べて10倍きれいなどと考えてはいけません。デジカメの進化とともに言われ てきたことは、130万画素でポストカードに、2百万画素でA-4サイズに、300万画素でA-3サイズにプリントするために十分な画素数になったということです。画素数が多ければ多いほどきれいなプリントを得ることが出来るということはありません。写真をスキャンする場合は300dpiが推奨されており、300dpiでスキャンしたデータと、1200dpiでスキャンしたデータからA-4にプリントした物を比べても見分けがつかない程度の違いしかないのです。またサービス版を1200dpiでスキャンすると80MB程度のデータ量となり、フォトレタッチソフトで加工する際も、保存する際も使い勝手の悪いものとなってしまいます。ですからプリントをスキャンする目的で購入するならば、光学解像度600dpiのスキャナーで十分ということになります。
先ほど紹介をしたように光学解像度1600dpiのスキャナーが発売され、人気があります。このような高解像度は透過原稿ユニットを使い、フィルムをスキャンする際に威力を発揮します。135やAPSのフィルムはフィルムスキャナーという選択肢がありますが、120以上となるとフィルムスキャナーはまだとても高価な機器です。安価に120以上のフィルムをスキャン出来るスキャナーとして人気があるようです。またフラットベットスキャナーは高い精度が求められます。この精度を求めるためモーターなど駆動系統に精度の高いものが使われているのではないかということで、1ランク上の高解像度のスキャナーを求める人もいるようです。
我が家ではフラットベットスキャナーはUSBケーブルでパソコンと接続しています。現在スキャナーはUSB接続が主流となり売れているようですが、Windows95時代のパソコンでUSBインターフェースを持っていないパソコンをお使いの方にはSCSIインターフェースのものも用意されています。パソコンからの操作はEpson Twain 4というドライバソフトを使って行いますが、その使い勝手などはまた別のスペースで紹介してゆきます。

《フィルムスキャナー》

135、APSサイズのネガポジフィルムをデジタル化するためのフィルム専用スキャナーです。120サイズ以上がスキャン出来るフィルムスキャナーもありますが、私が使っているNIKON COOLSCAN III(以下COOLSCAN)と比べると数倍高価になります。これより前に購入したフラットベットスキャナー(以下GT-7600U)の透過原稿ユニットを使ってもフィルムをスキャンすることが出来るのですが、なぜあえてフィルムスキャナーを購入したのかというあたりを中心に紹介してゆきます。
COOLSCANは2700dpiの光学解像度を持っていて、任意の解像度でスキャンすることが出来ます。COOLSCANのマニュアルによればインクジェットプリンタで出力するためには、プリンタのカタログスペックの1/3から1/2の解像度、つまり1440dpiのスペックを持つインクジェットプリンタで使用するならば720dpiでスキャンすれば十分なデジタルデータを得ることが出来るということです。それならば1200dpiのフラットベットスキャナーと透過原稿ユニットを使えば十分と思えるのですが、COOLSCANを買ってよかったと思っています。COOLSCANのメリットはフィルム装填の手軽さ、ごみ、キズ対策などがあげられます。
GT-7600Uの透過原稿ユニットを使う場合は専用のホルダーにフィルムを装填してから、GT-7600Uの透過原稿ユニットに乗せます。専用のホルダーはしっかりと固定するタイプではないので、取り扱い中にずれてしまったりもします。プレビューをしてからスキャンエリアを選択し、スキャンボタンを押します。COOLSCANではストリップフィルムアダプタに6コマ切りのフィルム(以下フィルムストリップ)を差し込むことで装填が完了し、ずれも生じません。サムネイルで画像を選択したあと、プレビューをして色調の調整や、スキャンエリアの指定などを行うことも出来ますが、色調調整の必要がない場合(このケースの方が多い)は、プレビューを行わずにスキャンしてしまいます。プレビューにかかる時間は約1分、スキャンにかかる時間は約1分30秒です。ただ待っているとかったるい時間ですが、テレビを見ながらなど、ながら仕事で出来るので大して苦になりません。またフィルムストリップには6コマの画像があり、これを続けてスキャンすることが可能です。GT-7600Uと比べてCOOLSCANでの作業は1/5程度に軽減されているのではと感じます。
次にごみ、キズ対策があげられます。フィルムでもプリントでも、スキャンをする際に必ずといっていいほどごみがつきます。またフィルムの中には傷がついてしまっているものもあります。これらはデジタル化した画像に忠実に再現されるため、フォトレタッチソフトを使って修正をしなくてはなりません。黒白写真をやっていた人は作品に細かい筆を使ってスポッティングをした思い出があるでしょう。COOLSCANにはフィルム上のごみやキズを検出して、それをなかったかのように修正してくれる機能がついています。古いネガほどごみや傷が多くなり、それを修正する作業にはうんざりしていたのですがその作業からも開放されました。私がCOOLSCANを選んだのはこの機能がついているからで、使ってみて十分満足しています。
COOLSCANとパソコンはSCSIインターフェイスで接続しています。フィルムスキャナーでもUSB接続のものも出てきていますがまだSCSIが多いようです。パソコン上での操作はNikonScan2というドライバソフトを使って行います。