自在放言 399


地球の寒冷化について

地球の温暖化については「放言352」において中部大学総合工学研究所の武田邦彦教授の論文注(1)を紹介したが、温暖化するどころか地球はこれから寒冷化するという東京工業大学の丸山茂徳教授の論文注(2)が出た。

筆者は素人であるから分からぬが、貴重な論文であるような気がする。この要旨を紹介する。

地球上の気温に寄与する最大の要因は温室効果ガスとなる大気である。大気の主体は水蒸気であるが、水蒸気は雲にもなる。雲は平均すると地球の50%を覆っている。

雲の量が1%増えると気温は1度下がる。雲の量は過去20年の観測によると、プラス・マイナス2%の範囲で変動している。

それに比べて、人為的COの排出量は、毎年1.0〜1.4ppm程度の増加である。これを温度に換算すると、0.0040.005度に過ぎない。要するに雲の量が気温に重大な影響を与える事になる。

この状況は巨大火山の噴火によって地球全体がそのエアロゾル(浮遊粉塵)で覆われると、大気の温度が下り寒冷になり、食料飢饉になった事はしばしばだ。

詳細は原論文を読んでもらったほうがよいが、更に続ける。

雲の量にもっとも大きな影響を与えるのは最新の宇宙物理学の知見によれば、銀河宇宙線の飛来量であるという。銀河宇宙線は雲の凝縮核となり、雲を生成する。

地球の磁場が弱くなると、銀河宇宙線の飛来量は増加する。地球の磁場は今どんどん弱くなっている。恐らく後千年もすればゼロになるとみられている。

近年、また太陽活動は減衰傾向が見られるし、地球の磁場が弱くなっている事は、地球が寒冷化に向かっている事を示している。

更に地球の軌道要素についても考慮する必要がある。地球の公転軌道は約二万年或いは約十万年の周期で変動している。太陽との距離や自転軸の角度が変り、日射量が変動する。現在地球は二万年周期の変動期にいる。

標準的な二万年周期をたどるとすれば、平均気温が7度低下するような本格的な氷河期に突入するまでには二千年ほどの猶予があるとの事だ。

氷河期が到来すれば地球が養う事ができる人口は激減する。

CO濃度は年間に1ppmずつ増加しているが、それによる温度上昇は0.004度ほどだ。確かに温暖化効果はゼロではないが、その力は大変に小さく、この値だけで未来を予測する事は不可能だ。

この百年間に蓄積されたCO100ppmになるが、これを温度の換算すると0.4度の上昇になる。ところが雲の増減は、桁違いに大きな影響を気温に与える。

化石燃料消費によって大気中のCOが最大になった1940年から1980年にかけては、かえって気温は下がっている。このデータはIPCC(国連の地球温暖化の研究機関)も持っているが、IPCCは「その期間は、雲が出来たために気温が下がった」と説明している。

IPCCの研究者の多くはこうした実態を十分に認識しているはずである。

そんな状況にも拘らず、政治家は、地球環境を考えている姿勢を示すことが人気につながると考え、CO対策を政治の道具としている。またマスコミは盛んに気温上昇はCOが原因だと説明している。

日本は現在「京都議定書」を遵守するために実に無駄な労力と費用を使っている。日本は世界の模範国家としてエネルギーを効率的に使っていたにもかかわらずこの案を飲んでしまった。まことに思慮の足りない行為ではなかろうか。

注(1)武田邦彦 : 雑誌「文芸春秋」, 平成19年7月号 , 320頁
注(2)丸山茂徳 : 雑誌「文芸春秋」, 平成20年5月号 , 330頁

(2008/04/15)
 
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