勝てる投手


勝利を目指すのがプロスポーツの目標だと思います。
それではプロ野球チームが勝利数を積み上げるのに必要な条件とは何でしょうか。
独自指標を考察する際に得点や失点と強い相関関係にある要素を列挙しました。(このページの2項と4項)

単純に野球ファンとしてイメージしてみた時に、傑出した打撃成績を残す選手の有無が勝利数に直結しているようには思えません。
優秀な打者の存在は試合を勝利に導く可能性を高くしますが、それだけでは不十分であることは野球ファンであれば実感できると思います。
これは、弱いチームでも打撃タイトルを獲得する選手が多いことを知っているからでしょう。

しかし、15勝投手が3人いれば優勝争いに加われます。打撃成績は試合の構成要素の1つで、勝利数は試合結果の積み重ねですから、これは当然のことです。
では、勝利数の多い投手となるために必要な条件とは何か。 低い防御率や低い被安打率、長打を打たれにくい、四死球が少ないなど能力的な要素が思いつきます。個々の選手の能力評価とは別に単純に勝利数に直結する記録はないものか。 それが今回のテーマです。

個人記録を検討した結果、非常に単純な項目がみつかりました。
それは「投球回数」です。 勝利数が多い、イコール登板数や投球回数が増えるのは自明のことですが、投球回数と勝利数、敗戦数の関連を調べてみたところ、下表の数値が得られました。

2005年から2019年までの投手記録、のべ4,714選手分をもとに投球回数(10回刻み、1桁回は切り捨て、210投球回以上は210回に計上)毎に平均勝利数と平均敗戦数を算出してグラフ化したものです。
投球回数に比例して勝利数と敗戦数が増加していきますが、140投球回で敗戦数の伸びが止まり、それ以降は勝利数だけが増加していきます。

ちなみに10敗以上の投手196人の投球回数は、140回以上が134人(勝敗差は▲3.4)、100〜139回が49人(同▲5.2)、100回未満が13人(同▲7.2)となり、グラフにはこれらも含まれています。

130投球回までは勝敗数はほぼ同数で推移していますので、統計的には投手の能力にかかわらず、1年間ローテーションを守り通す投手が多ければ多いほど貯金数が増えることになります。
それでは、誰が借金を積み上げているのか。

投球回数単位に勝利数と敗戦数の差を集計してみました。 それが下表となります。
(縦軸が勝敗数の差、横軸が投球回)

借金を作っているのは投球回数が少ない選手です。
能力的に疑問の残る投手を登板させたり、取っ替え引っ替え投手を試して失敗を重ねるという、弱いチームのイメージと重なるものがあります。
結論としては、登板させる投手数を絞り、ローテーションを確立させるという、強いチームの特性が浮かび上がる結果となりました。


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