今月のTIPS (No.11) 〜二点確保をしてみよう〜

 岩を登る際の基本となる技術が三点確保。三点支持ともいいます。さてこの三点確保ですが、この教え方が日本で一番上手い人は誰だかわかりますか?
 そう、無名山塾主宰の岩崎さんです。ご本人に聞いてみてください。間違いなく「それはオレだ」とお答えになるでしょう。

 では、二点確保の教え方が山塾で一番うまいのは誰だかわかりますか? 「えっ、二点確保・・・。雪上でピッケルと両足のうち、どれか二つが地面に付いている状態のこと?」と、思ったアナタ。なかなか優秀です。それも二点確保ですね。でも、今回のテーマは岩場での話です。
さ、では答です。岩場での二点確保の教え方が一番うまいのは、実は、私です。

 予想通りの回答で面白くもなんともない? ん・・・・む。では、とっとと本題に入りましょう。岩場での二点確保とは何かをまず説明します。これは、「ダイアゴナル」という技術で「カウンターバランス」の一種なのですが、こう書くとちょっと難しそうですよね。でも、内容はいたって簡単です。

(1) 右手でホールドを取りにいくとき、
(2) 左手は、当然ですが、ホールドをつかんでいます。
(3) 右足は軸足として、フットホールドに置きます。(なるべく左手の真下方向がよい)
(4) 左足はバランスの取る足として、左に投げ出すだけで、フットホールドには置きません。

 つまり、左手と右足だけで体を支える瞬間があるので、今回は「二点確保」と名付けてみました。実際には二点確保というよりも、「足を切る」という呼ばれ方のほうが馴染みが深いでしょう。人工壁などへ行くと「はい、そこで左足を切って!」というインストラクターの声が響いていたりします。
 軸足ではない足を無理やりフットホールドに置くと体勢が窮屈になってバランスを崩すことがよくありますが、この「ダイアゴナル=足を切る」を意識することによって、かなり登りがキレイになります。(注意点として、切ったほうの足は、壁にスメアリングしておく必要があります)

 三点確保を基本ステップとすると、今回紹介したテクニックは、応用ステップと言えるかもしれません。ですから、クライミングを始めて間もない人がいきなり実際の岩場で試すのはおすすめしませんが、多少の経験を積んだ方には、是非、人工壁で試して頂きたいと思います。最初は戸惑うかもしれませんが、すぐに登りやすさを実感できることでしょう。

無名山塾・本科会報「月刊 岩小舎」に連載