今月のTIPS (No.10) 〜氷の登り方〜

 山には「旬」というものがある・・・岩崎さんの言葉です。

 では、1月の「旬」と言えば何でしょう。工藤講師なら山スキーとなるでしょうが、私の場合は、やはり「氷」、アイスクライミングです。山スキーは、5月ごろまで比較的長期間楽しめますが、「氷」の場合は1〜2月(場所によっては3月)のごく短い期間しか楽しめません。
 ですから、短期集中で取り組まなければなりません。
 また、山塾でのアイス講習は年一回、入門編があるだけですから、黄蓮谷などのクラシックルートを目標にする人には、自主などでステップアップしていくべきかと思います。

 さて、今回、お伝えするのは細かい技術ではありませんが、覚えておくべき基本的な事柄です。まず、傾斜による登り方の違いです。

  (1)ゆるい傾斜は、アイゼンのフラットフッティングだけで登る。
  (2)それより傾斜が強ければ、フラットフッティングとピッケルを杖にして登る。
  (3)さらに傾斜が強ければ、シングルアックスで登る。
  (4)それ以上の傾斜になれば、ダブルアックスで、正対で登る。
  (5)さらに急(ほぼ垂直)の場合は、ダブルアックスでムーブを組み立てて登る。

 (1)〜(5)が、それぞれ何度ぐらいのことなのかは、実地で体験する必要がありますし、経験により多少の個人差はあるかもしれませんが、登り方は柔軟に変えられるようにしておくほうが有利です。(それぞれの具体的な登り方は、ここでは割愛)

 そして、もう一つのポイントは、アックスやツァッケ(アイゼンの前爪)は、強く打ち込む必要はないということです。これは、特にセカンドで登る場合の基本です。リードで登る場合、墜落は絶対許されませんから、強く打ち込む必要がありますが、セカンドで登る場合は別です。トップがあけた穴を積極的に利用し、できる限りひっかける(フッキング)だけで登りましょう。慣れないうちは、不安もあるでしょうが、徐々に、落ちそうかどうかの判断がつくようになります。フッキングは、スピードアップのためにも有効な技術です。
 もちろん、どうもフッキングの感触がイマイチだという場合もあるでしょう。そういうときは迷わず打ち込んでください。(そうしたときのためにも、強く打つ練習は必要です)

 3月に、これらの基本的事柄を実践する技術研修会(アイス講習受講済みの方を対象)を開く予定です。興味のある方はお問い合わせ下さい。

無名山塾・本科会報「月刊 岩小舎」に連載