今月のTIPS (No.3) 〜セルフビレイの疑問〜

 セルフビレイで悩んだことがありますか? 真剣にクライミングに向き合いはじめた人は、一度や二度、どうするのが正しいのだろうかといろいろ考えた経験があると思います。例えば

 ◇トップロープのとき、ビレイヤーはセルフビレイが必要かどうか。

 ◇リードして終了点に着いたとき、セルフビレイは、メインザイル、ヌンチャク、スリング(デイジーチェーン)のどれを使うのが良いか。

 ◇懸垂下降のとき、下降前のセルフビレイはヌンチャクかスリング(デイジーチェーン)か。また2本必要かどうか などなど・・・

 クライミング初心者にとって(あるいは中級者にとっても)、考えれば考えるほど迷うのがこのセルフビレイです。これを分かりやすくするために、5つにパターン分けして考えてみます。

 (1)トップロープのビレイヤー
 (2)リード時のビレイヤー
 (3)マルチピッチ・・・リードした後
 (4)マルチピッチ・・・フォローで登った後
 (5)懸垂下降時

 誌面に余裕がないので、ここでは簡単な解説に留めます。(他の方法、考え方もあるでしょう)

 (1)と(2)⇒ケースバイケース。セルフビレイをしないほうがいいこともあります。

 (3)⇒まずヌンチャクでセルフをセット。支点構築後、メインザイルでセットし、ヌンチャクを解除。既に残置ロープで支点が構築されていれば、すぐに環付きビナをかけてメインザイルでセットしてよい。

 (4)⇒つるべ式ならば、すぐに登り始めるためヌンチャク(デイジーチェーン)でOK。もちろんメインザイルでもよい。つるべ式ではない場合、メインザイルでセット。

 (5)⇒スリング2本(デイジーチェーン2本でも良いが、現実的でない)で二箇所からセット。二箇所とする理由は、特に本番ルートの懸垂支点等で、錆びたリングボルトやボロボロの残置スリングにセットすることが頻繁にあるため。

無名山塾・本科会報「月刊 岩小舎」に連載