雪崩ビーコン、ゾンデ(プローブ)、スコップは個人装備が当たり前という意識が高まってきました。でも、それだけで大丈夫でしょうか。今月のTIPSでは、雪崩にあったとき、少しでも生き残る確率を高めるために、以下の3点について考えてみます。
(1)肩掛け式のピッケルバンドは使わない。
(2)ヤッケの上下は、必ず着用する。
(3)ザックのベルト(胸と腰)を外して行動する。
(1)は、最近、雪崩対策の研修会で指摘されている点です。雪崩に襲われたとき、ピッケルがアンカーの役目を果たし、デブリの下のほうに埋まる可能性が高くなる、というのが理由です。リストバンド式であれば、手首から抜けるのでOKということですが、危険地帯に入ったら、リストバンドも緩めにしておいたほうが良いでしょう。
(2)は、言うまでもなく低体温症防止のためです。天気の良い日は、2〜3月でも日中相当暑くなる日がありますが、そんなときでもヤッケを脱ぐ前に、ちょっと自分のいるエリアのこと(雪崩が起こりうる場所かどうか)を考えてみましょう。万一雪崩に遭ったら、ヤッケの着用が生と死の分岐点となることは十分に考えられます。
(3)は、(1)と同じような理由です。雪崩に流されたときは、雪の中を泳ぐようにして、なるべく上に向うようにと言われています。その際、ザックが邪魔になるので、ベルトは外しておき、雪崩が起きたらすぐにザックを捨てられる態勢でいることが重要です。ルートの大部分がナイフリッジや急な雪壁というような山行では、最初から最後までベルトをせずに行動したほうがよいかもしれません。
無名山塾・本科会報「月刊 岩小舎」に連載