C-UPコラム『新人クライマーのひとりごと』 (第11回)

 〜長谷川カップへの道〜

 「あ〜、やっと着いた・・・」

 2003年6月29日(日)の午前4時。雨の中、ボロボロに疲れきった男3人は、三頭山避難小屋に辿り着いて、そこにヘナヘナと座り込んだ。武蔵五日市駅を出発して、すでに18時間がたっていた。
 山塾で毎年6月恒例となっているカモシカ山行。今年は、22期の私とT氏とY氏の3人でパーティーを組み「長谷川カップ日本山岳耐久レース」の71.5kmのコースをトレースしてみようということになった。しかし、まもなく40歳に手が届きそうな男3人には少々きつく、残念ながら35km地点の三頭山避難小屋で疲労困憊。ここで仮眠を取ったのち、翌朝は白旗を揚げて都民の森へと下山。道半ばにしてリタイアということになってしまった。

 あれから4ヶ月。来る10月25日(土)の午後1時。長谷川カップの本番がスタートする。コースは、五日市会館→今熊神社→市道山分岐(795m)→醍醐丸→生藤山(990m)→土俵岳(1005m)→笹尾根→三頭山(1527m)→大岳山(1266m)→御岳神社(929m)→金比羅尾根→五日市会館という71.5kmの長丁場。これを24時間以内に完走しなければならない。
 山塾からは、私が初出場で、シニアの水上さんが去年に続いての2回目、同人の松本さんは数回目の出場となる。
 しかし、我ながら何でこんなバカげたレースに出るのかと考えないこともない・・・。『自分の限界を知るため』とか『根性を付けるため』とかそれなりの理由はあるにはあるが、登山道を1000人以上が走るイベントであるからして、環境にとっては最悪で、自然破壊レースと言ってもよいだろう。そういう方面にうるさい自然保護団体などから何故クレームが出ないのだろうかと、不思議な気さえする。
 けれども、そういうことを深く突き詰めて考えるのは、あまり得意ではないので、とりあえず「精一杯ガンバって完走を目指そう!」などという単純なことしか今は頭にない。

 さて、この大会に向けた私の準備としては、7月末の剣岳早月尾根に始まり、8月以降、雨飾山(小谷温泉往復)、富士山(御殿場口往復)、硫黄岳(赤岳鉱泉往復)、金峰山(廻目平往復)などでトレイルランをしてきた。(早月尾根は歩き)
 そして、10月に入ってからは、長谷川カップのコース後半部(38km地点〜ゴール)を5日に、前半部(スタート〜30km地点)を13日に試走した。
 一応、やれるだけのことはやってきたので、ヒザと股関節の痛みが出なければ、18時間ぐらいでとりあえず完走はできると思っているが、果たしてそううまく行くかどうか・・・。
 一連のトレーニング中に、買って間もないファイブテンの軽量シューズ「アクセス」を潰してしまって別の靴を新調したし、ヘッドランプとザックとウェストバッグを軽量なもので買い揃えるなど、それなりの投資をして装備は万全のはず。あとは精神力、そして皆さんの応援だけ・・・、でしょうか。
 まっ、とにかく、頑張ります。
 なんだかコラムの場を借りた決意表明みたいになってしまいました。

 長谷川カップのリアルタイム速報は、東京都山岳連盟のホームページ(http://togakuren.com/)でご覧になれます。くどいようですが、みなさん応援よろしくお願いします。 

無名山塾・会報「C-UPワールド」2003年10月号に掲載