C-UPコラム『新人クライマーのひとりごと』 (第7回)

 〜本科生のオススメ本第二弾なのだ!〜

2万5000分の1 地図の読み方/平塚晶人(小学館)
 この本を読まずして、ルートファインディングは始まらない。重箱の隅をつつくような恐るべき地図読みの手法はリーダー必読。

登山の運動生理学百科/山本正嘉(東京新聞) 
 山に登るなら、これを読むべし。

沢登りの本/岩崎元郎(白水社)
 沢に登るなら、これを読むべし。

最新クライミング技術/菊地敏之(東京新聞)
 岩に登るなら、これを読むべし。新保講師はビレイの章に異論を唱えているが、本科生なら、まずは一読して自分なりに考えてみたい。

新版 邂逅の山/手塚宗求(平凡社)
 今月3日、白樺湖へ出張に行ったついでに霧ケ峰の車山肩まで足を伸ばした。あぁ、コロボックルヒュッテはここにあるんだ・・・と思いつつ中に入り高原牛乳を一杯飲む。そのときに買った一冊。手塚氏は昭和31年から小屋を守っている。その珠玉の随想集。

山小屋の主人の炉端話/工藤隆雄(東京新聞)
 36の山小屋の主人が語る話はどれも秀逸。事実は小説よりも奇なり。山小屋には様々なドラマがある。

殺意の三面峡谷/太田蘭三(祥伝社)
 「脱獄山脈」「誘拐山脈」とこの3作を読んでみたが沢の季節なのでこれを推薦。ミステリーとしては二流だが沢や登攀の描写はワクワクだ。

遠き雪嶺/谷甲州(角川書店)
 「白き峰の男」の谷甲州が、日本初の本格ヒマラヤ登山となった立教大のナンダコート登頂を淡々と描いた。熱い思いが静かに伝わってくる。

処女峰アンナプルナ/モーリス・エルゾーグ(山と渓谷社)
 人類初の8000m峰登頂の陰には、こんな苦難があったとは・・・。

荒野へ/ジョン・クラカワー(集英社)
 エヴェレストでの大量遭難を描いたクラカワーの「空へ」は有名だがあえてこちらを推す。アラスカで衰弱死した青年の足跡を追い、何故彼は荒野を目指したのかをルポ。我々が山を目指す理由も同時に考えさせられる。

ヒト、山に登る/柏瀬祐之(白水社)
 近代文明開化のきっかけはモンブラン登頂であった・・・、という独自の論や、人は何故山に登るのかといったやや哲学っぽいが、興味深い内容。

クマにあったらどうするか/姉崎等(木楽舎)
 クマ研究家の22期A人氏にオススメしたい。アイヌ最後の熊撃ちハンターが語るヒグマの全て。説得力が違う。

百名山の人 深田久弥伝/田澤拓也(TBSブリタニカ)
 深田久弥の意外な人間像が浮かび上がる。日本百名山に関心があるなら是非読みたい。

世界百名山I〜V/白川義員(小学館)
 現在、世界百名瀑を撮っている世界的(?)写真家白川義員の写真集。登ったこともない山の写真を、3冊も見るのは疲れる。一冊3万8000円と超高価。興味があれば、図書館で借りよう。 

無名山塾・会報「C-UPワールド」2003年6月号に掲載