今年5月17日午前9時、東大3年生の山田淳氏がエベレストに登頂し、世界最年少のセブンサミッター(七大陸最高峰登頂者)となった。1999年に野口健氏が達成したときは25歳、2001年に石川直樹氏が記録したときは23歳11ヶ月。今回はそれを上回る23歳と1ヶ月でのことだった。
そして、この記録と同時に、もうひとつの世界初が達成されたのをご存知だろうか。
実は、山田氏はエベレスト山頂にIBMの特注ノートパソコンを持ち込み、その起動に成功したのである。残念ながら起動したあとすぐに電源が落ちてしまったそうだが、8850mの嶺にノートパソコンを持って行ったのは山田氏が初めてだ。こうなれば、世界最高峰からEメールが送られたり動画がリアルタイムで発信されるのは、もはや時間の問題だろう。
さて、話は8000mの高みからぐっと下がって一気に現実的になるが、我々安全登山を心がける者にとっても、もはやパソコンなしの山行は考えられない時代になってきた。とは言っても、もちろん山田氏のようにパソコンを担いで登頂しようというのではない。
21世紀の今、パソコンでインターネットに接続し、目的の山、岩、沢の名前を入力しさえすれば、必要な情報は一瞬にして手に入る。これが当たり前の時代である。そして、それを有効に利用した人とそうでない人の差は、残念ではあるが、歴然と存在する。(と思う)
例えば、無名山塾のホームページを見てみると、そこには貴重な情報が満ちている。山道具や食料についての松浦講師の解説や遭難事故に対するノウハウなどは我々の血や肉となるし、岩崎主宰の過去20年にわたる文書の蓄積は我々の精神面を磨き上げてくれるものだ。さらに、山野夫妻担当の山塾写真帳は我々自身の足跡であり、22期の同期として見逃せない労作だ。
もちろん、山は人と人とのつながりであり、直接話して伝えるのが一番という意見は、全くその通りであると思うし、あくまでもネット上の情報は補助的なものに過ぎないと言われれば、それも然りである。また、膨大な情報の中から役に立つものとそうでないものを選別し、正しいものと誤っているものを見極める能力が必要なのは言うまでもない。
しかし、そうした点をかんがみても、あるとないでは大違いというのは、やはり否定できない事実であり、現在ネットに接続できる環境にない方は、土日を1回つぶしてでも、是非その作業をされることをおすすめしたいと思うのだ。
さて、最後に、22期の新人達がネット上で連絡を取り合っている方法についてご紹介します。これはメーリング・リスト(ML)という仕組みを使うもので、sanjc22@egroups.co.jpというアドレスを取得し(Yahooで無料で取得可能)、そこにメールを送ると22期のML登録者全員にそのメールが配信されるという便利なシステムになっています。(FAX同報通信みたいなものです)
このML上では、日常的に活発なメールのやり取りが交わされていて、自主山行の計画、今後の講習参加予定、講習後の反省点、机上講座に出られなかった人に対しての内容報告など、様々なことが話題になっています。
22期でこのMLの存在を知らなかったという方、いらっしゃいましたらゴメンナサイ。参加されたい方はご連絡をお願いします。cupcolumn@yahoo.co.jpまでメールでご連絡下さい。(携帯電話のメールでは参加困難のため、パソコンがいいと思います)
また、これは22期で小さくまとまろうという主旨で作ったのものではありません。まずは横のつながりを作ってホンネで話し合い、時にはオーバーヒートしたりしながら、次のステップでは、上にも下にも斜めにもその輪を広げていくことを視野に入れています。
無名山塾・会報「C-UPワールド」2002年12月号に掲載