<炎>
夏。縦走だ!岩だ!沢だ!で、今回は沢登り。沢登りとくれば焚き火・・・沢の流れる音と焚き火の炎、旅情すら感じさせる。
焚き火。人間と動物の違いは何か?の問いかけに、さまざまな解答があるがそのひとつにあげられる。人間だけが火を使う。火を扱える。(ま、人間と動物を区別したがるのが人間の特徴かも)
ともかく人類は火の活用により作られた土器で煮炊きでき、消化の悪かった穀物を多量に食するようにもなった。人以外に加熱して食する動物は知られていないようだ。遠くアフリカの谷で人類の祖先が見た火と、数千年前に縄文人が見つめた火とも基本的には同じ、でも炎はゆらめく、その瞬間に燃え盛るまったく違う炎となる。そうしたところに人は引かれ誘われるのか焚き火に関してはいろいろ蘊蓄を語る人、こだわる人は多いようで、近所での落ち葉焚きから、川辺や海でのファイヤー、山ヤをはじめ「川遊びと焚き火料理」にこだわる怪し気な集団などなど、密かに盛り上がっているようだ。焚き火は人にとって、暖をとったり煮炊きしたり明かりをとる以外に、人の心を解放し気持ちを反映してくれる対象なのか。
沢登りでの焚き火はテン場についてからの薪集めに始まる。当然濡れている状態の木もあるだろう。雨のときも・・・そんな時こそ炎が恋しくなる。薪となる木々を集めるのは時間的にも場所的にも制限されるので、井桁型に薪を組んでガンガン炎を出すキャンプファイヤーモードより、組まずに隙間を小さくし炎は小さめの俗に言うインディアン方式になるだろう。時々、火が安定し炎がしっかりしてくると人格が変わってしまい?!なんでも燃やし尽くてやろうというトリップ状態になる人も・・・あ、単なる酔っ払いか。汚染物質のダイオキシン云々などの話も出ているだけにやり過ぎにはご用心。
さて沢の中、濡れて火がつきにくいことを前提に話を進める。火床に石や丸太・落ち葉などを敷いて熱が逃げるのを防ぎ、その上に細い枝などを平行に密に積み重ね、火をつけ、細い木を押さえつけて熱を溜め込むようにして、火種を大きくしていきます。細い木から順次大きな木へと火を育てていくが、これらの木も火が小さいうちは平行に並べる。木が濡れている場合は木に切れ目を入れるとか、水を拭くなど工夫することも。焚き付けにはメタが有効。また新聞紙や布製のガムテープを使う手もありますが、有害物質を嫌う人は使わないことも。団扇や火吹き竹などの小道具は軽量でもあるし、この場での必需品。もっともはやく火をつけたい気持ちが先行すると、熱をいたずらに逃がしてしまい、逆に火のつきが悪くなることも。ある程度火がつくまでは我慢するのがいいようだ。
メインとなる薪によっても微妙に違いがあり、針葉樹のモミ・杉・ツガなどは火つきはいいが、煙りが多くすぐ燃え尽きる。広葉樹のクヌギやブナは火のつきは悪くてもおき火をつくり、じっくり燃やすにはいいといわれる。ナラは夏場の水分含有が高く雨のときに生木を燃やすのは大変なようだ。まあ、実際は木の種類を選ぶ余地なんてないんだけどね。流木や朽ちた木を拾うのだから。
雨の中では燻されるだけで炎が上がるまでに時間もかかるが、懇切丁寧に育てる気持ちが大切。反面そこまで必要かっていう話しにもなるが・・・
燻されるといえば、好みもよるだろうがこの燻された香りもいい。タープに染み付いた香りがステータスであったり・・・本当か!? ついでながら薫製につかわれる素材は市販のハムなどにサクラやヒッコリーなどがある。ヒッコリーといえば昔はスキーの板に使われていた。ヒッコリーはアメリカ中西部からメキシコあたりが原産のクルミ科の落葉高木でカシグルミのように種実をつける。これはペカン(ピーカン)といわれよくアメリカのお菓子なんかに利用されているやつだ。まあ、こんな薫製に向いた木で燻されることはないだろうけど。
最後に焚き火は後始末も大切。いろいろ失態しないよう適宜に制御できると楽しい山のアイテムと成りうるか。う?ん。ある意味大人の火遊びだもんね。