<The River Wild>

 邦題「激流」とういう1994年のアメリカ映画。メリル・ストリープ、ケビン・ベーコン、デビッド・ストラザーンらが出演。ゲイル(メリル・ストリープ)は二人の子供の良き母親であったが、家庭を顧みない夫トム(デビッド・ストラザーン)に失望し離婚を考え始めていた。家族最後の旅との予感を秘めながら、息子ロークの誕生祝いにゲイルの故郷でリバーツーリングをすることになった。そんな彼らの背後に逃亡中の凶悪犯(ケビン・ベーコン)が忍び寄る。人質となり、逃亡の手助けの川下りとなる。ファースト・シーンの静かな川、そこに細長いボートのへさきと細長いオール、そして後半の激流へと流れは続く。沢・川の流れの様がイメージでき面白い。また映画の細かいことはさて置き、個人的には、なぜか技術委員会メンバーにそれぞれのキャラにはまりそうなのがいるので、当てはめながら見ると面白いと思っている。


 さて水流に関連しての本題へ。

 登山道が無い山頂へのアプローチとしては積雪期を狙う。雪がない場合は沢筋からのアプローチがある。登山道がないころにおいてそうであったように。そんな雰囲気が多く残っていると思われるのは北海道の山。いつだったか夏にK山に入ったとき。台風一過の後の快晴。アプローチの登山道はもともと沢沿いにある。小さな渡渉があったり沢登り状態だがさらに追い討ちをかけるように増水していた。とくに下部においては流水部分だけで20メートル以上、沢じゃなく川だ。深さは一定で太ももの半ばくらい、水勢はたおやかな感じだが、幅が広いので緊張する。こんな登山道が一般的?!な北海道にチョット感動。いやこんな時は入山しないのが常識か(笑)。ともかくロープを出すことはなくすんだ。なんとなくプリミティブな山の匂いが懐かしい。

 そんなことをまた味わってみようかと長野県にもかかるY岳を目指す企画をつくった。K尾根経由で。時期は残雪期。名は知られているが入山者は他のメジャールートに比べ少ない。道が荒れている、そのときの雪の状態でルートも変わる。怪しげな古い赤布くらいしか残ってない。沢の渡渉などルートファインディングがポイント。天候の影響をうけやすい。退却ルートが少ない。しかも運もある。などなど山の持つ本来の楽しみがいっぱい。なんといってもピークを踏み、別のところに抜けていくのがいい。

 気楽にいけるかと思ったが実際予想もしないところで、渡渉しなければならないこともあった。渡るポイントを見つけようと探すがなかなか見つからない、雪解け時期なので水は冷たい。確実に腰近くまでは水に濡れ、水勢にあおられそう。服装は短パン・ハーネスで対応。足先は都会育ち!?デッキシューズやネオプレンで装備したひとも。下肢部分が冷えてもなんとかなるが、足指が冷えると長い時間の渡渉はかなりつらい。沢登りで使う人もいるネオプレン靴下は結構よさそうだ。でも装備だけじゃ対応できないこともある。冷えた流れだけじゃなく水勢の強さが半端じゃない。握りこぶしくらいの石を放り込むと、瞬間、水没する前に流れにはじかれ白い泡に消えていく。

 何度か渡れそうな(と思うところ)を見つけ振り子式ロープ活用でトライ。用心しながら入水、深さは太ももくらい。しかし水勢は激しくおなか近くまで濡れてしまう。下肢の動きは重力Gをかけられた感覚に陥り、対岸までは程遠い。水深よりこの勢いがすばらしく強くやっかいだった。結局、困難と判断、退却となってしまった。この判断は理にかなったものであったが、同時に、ロープワークの大切さも思い起こさせてくれた。岩とは異なる流れを読んだ動きが必要とされる難しさがある。そして人数が多いとき、二人目三人目が振り子式の持つ安心感を得られるようなロープワークもしっかりできるようにしないと・・・なんて感じた山でもあった。

 そうそう7月の夏山サバイバルにはこうした状況に応じたロープワークができる、いままで以上のトレーニングプラン考えないとなあ・・・こうご期待か?!