■2005年11月〜12月の自主山行の記録
11月3日(木)
三ツ峠 RCT
◆メンバー:松永己幸(L)、伊藤幸雄、伊藤栄子
◆記録 :松永己幸
10月にY川氏、Y野ご夫妻から三ツ峠でのご指導を戴いたので、忘れないうちに復習をしたい、という強い思いがあった。当初は、右フェースの一般ルート周辺でウォーミングアップをし、クーロワールか十字クラックを登れたらよいなぁと考えていた。
四季楽園周辺は霜柱が立つほど寒さが身にしみた。ウォーミングアップでは身体も硬く、思うように動かない上に、岩も冷たく指先の感覚もなくなり不安は大きい。3本もアップすると気温も上がり、身体も温かくなってきた。 二ピッチ目クーロワール、三ピッチ目権兵衛チムニー、いずれも面白いルートであった。
午後は私の実力では到底行くことができないルートを、先輩の力を借りて、左フェース、亀ルートを登らせていただいた。一、二ピッチは問題なく登れたが、三ピッチ目は思わずミシンを踏んだ、八寸バンドでは八寸もないじゃんと文句を言いながらトラバースする。実際トラバースすると八寸に見えてくる不思議なバンドであった。
今回の三ツ峠は、少し背伸びさせていただいて、充実しました。
【行程】駐車場(7:00)〜トレーニング〜駐車場(17:00)
11月3日(木)
日和田 RCT
◆メンバー:小室郁子(L)、小室宏文、高橋一也、福田洋子
◆記録 :小室郁子
25期の小室×2、高橋さんで日和田自主デビューです。
言い出しっぺの私(郁)は多少不安を抱えながら、事前に公園でロープワークを練習して楽しみにしていたところに、心強い先輩の福田さんが来てくださることになり嬉しいスタートになった。
8:00過ぎに日和田岩に着くとさすがに先客は一組だけで、講習で使った男岩南面2箇所にトップロープを張ることができた。モタモタしながらも福田さんのチェックを受けながらセット完了。クライムダウンで降りる練習も有意義だった。4本ほど登ってから西面にロープをセットし直す。すでに南、西面ともすだれ状態で「バルジ」と「アンダークリングフェイス」付近に張った。「バルジ」の下で私が「これはどうやって登るのかな〜」とぶつぶつ言っていると、偶然にも以前山塾にいらした方が一手一手足の置き場を言ってくださり登ることができた。行き当たりばったり我武者羅に登るのではなく、足、手の置き場を考えながら登ると良いのだろう。講習で得た知識を自主で練習する。あれ?どうだっけ?と言いながらとても有意義な一日だった。いつかは日和田全ルート制覇したいな〜。
※帰り道に寄ったうどん屋は関西育ちの私好みでヒットでした。夕5:00〜ですよ。
【行程】 開始(8:00)〜終了(16:30)
11月3日(木)
湯河原/幕岩 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :山野美香
約一年前に某ジムのスクールで一度だけ行ったことのある幕岩は、これからの季節がベストシーズンです。朝5時の始発に乗るために(←相変わらず早い集合なのだ!)家を出たときは冷えた空気に身震いしましたが、真鶴駅に着くころにはポカポカ陽気となり、絶好のクライミング日和となりました。
今日の目標は一年前にトップロープでトライした「サンセット(10a)」と「アリババ(10b)」のレッドポイントです。臆病な私はリードクライミングにものすごく恐怖を感じ、いつもなかなか思うように登れないのが悩みの種でしたが、いつまでもそうも言っていられません。
今日は、胸の中に蠢く弱気の虫をうまく封じ込めて、前向きにトライできるかどうかが最大の課題です。
トップロープで「夕暮れ時(10b)」をアップがてら登り、となりの「アボリジニ(10a)」にトライしている女性を眺めているうちに思い出しました。前回来たときに、「難しそうだなぁ、いつかは登れるようになるのかな」と思っていたことを…。ということでじっくりと観察させていただき、空くのを待ってさっそくトライしてみました。短いルートなので高さに対する恐怖を感じずにいけるのが気分的にとても楽で、なんとかフラッシュすることができました。
目標の「アリババ」のレッドポイントは残念ながら次回へのお預けとなりましたが、日暮れまでたっぷりと(なんと12本!)登りに登った一日で、自分の得意・不得意がなんとなく見えてきました。
また、リーダーのクライミングに対する取り組み方やトレーニングについてなど、色々と参考になることを身近に聞けて有意義な一日となりました。どうもありがとうございました。
【行程】 開始(9:30)〜終了(16:30)
11月5日(土)
黒山・聖人岩 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :横川秀樹
10〜11月はフリークライミング強化月間だ。とは言っても、山塾の、ということではもちろんなく、私が個人的にそう決めただけのこと。
10月からフリーのゲレンデでのリードクライミングを本格的に始め、レッドポイント(RP)グレードはこの前の週に5.10dまで上がったので、この聖人岩には気分的に余裕を持って臨めることになった。
自宅5時半発。所沢、6時35分でM同人をピックアップ。越生を越え、黒山三滝近く、目指す聖人岩下の駐車スペースには7時45分ごろ到着。(ここには3台ほど、ちょっと手前の路肩にも数台駐車できるようだ。)
準備をして、しっかりした踏み跡をたどること10分ちょうどで岩場に着く。
M同人は初めての聖人岩、私はPUMP2のレベルアップスクールのとき一度来て以来二年ぶりで、ほとんど何も覚えていない。
ということで、まずはアップをティータイム(5.8)で。フリートレの場合、アップが非常に重要で、易しすぎるくらい易しいものから始めたほうがケガ防止のためにも絶対によい。
余談だが、一年ほど前の深川スポーツセンターで、当時そういう知識のなかった私は、目標としていた課題にいきなり本気モードで取り付き、左手の中指と右手の薬指を痛めたことがある。その二本の指は今でも曲がったままでまっすぐ伸ばそうとすると激痛が走るのは一年以上経った今でも変りません。ということで絶対にアップは必要なのです。
この日は特に狙ったルートというのはなく、5.10台でどんなのがあるかなぁ・・・という程度だったので、とりあえず空いている10台以下を登ってみた。
◇5.8
ティータイム H:OS/MS M:FL
◇5.9
おっとりマミちゃん H:OS/MS M:FL
◇5.10a
ダイエットシェイク H:FL M:OS/MS
痛い魚の目 H:FL M:OS/MS
風の子カンテ H:OS M:L1T
◇5.10b
コーヒータイム H:OS/MS M:TR1T
ウォーミングアップ H:RP M:TR1T
梅ごのみ H:RP M:L1T
10a、10bの課題が意外と難しい。高さがあまりないので、その分、グレードが辛くなっているのかなぁという気もする。この日は、8本登ったところでかなり上半身が疲れてしまったので終了とする。
ガバのどっかぶり「貂(てん)が見ていた/5.11b」、カチ系の人気ルート「黒山賛歌5.11b」には、次回チャレンジしたいところだ。
岩場は6パーティー20人ほど。(元山塾講師、TimtamのM氏も4人で来ていた)
帰りは、ウェルサンピア埼玉おごせで日帰り入浴。500円で広々として、すいていた。
【行程】 駐車場(7:45)〜岩場(8:00)〜終了(15:00)
11月12日(土)・11月26日(土)
丹沢/堀山の家 ボッカ訓練
◆メンバー:工藤寿人(L)、松本善行、伊藤由以
◆記録 :工藤寿人
11/12 「堀山の家」押し掛けボッカその1
話は、今年の5月28日、小草平ノ沢を詰め上げ、登山道脇で休憩していた場面までさかのぼるのです。通りがかりの方から写真を撮らせて欲しいといわれ、喜んで撮ってもらいました。堀山の家のホームページに載せてくれるとのことでした。以前にメールで皆さんに紹介したと思います。とても楽しそうなホームページです。私もぜひ堀山の家に遊びに行きたくなり、自主ボッカを兼ねて堀山の家の押し掛けボッカをやることになったという訳です。由以さんがメールで連絡を取ってくれて、強力・松本君も参加して勇んで大倉に集合です。
当日は、ホームページを作っている頼兼さん(きっかけを作ってくれたカメラの方です)と堀山の家の看板娘なっちゃんが出迎えてくれました。荷物は、燃料の灯油やビール、ジュース類で松本君が30kg、私と由以さんが20kgほどのライトボッカです。小屋に着くと、小屋の主のような通称ひげさんがさっそくワインで大歓迎。手作りビールなども出て、朝からほろ酔い気分。でもこれから車の運転が待っているし、午後からの予定もあったのでお昼には小屋を後にしました。
その後、大倉のおそば屋さんで酔いを醒まし、その日の第2弾の予定、ストーンマジックに途中の渋滞もものともせず向かった3人でした。3時間ほどのクライミングの後も近くのデニーズで盛り上がり、気がついたら夜の10時でした。本当に若者のように目一杯遊んだ、盛りだくさんの1日でした。
11/26 盛りだくさんな1日その2
それぞれの都合で本ボッカに参加できない私と由以さん、前日の準備の前に「堀山の家」のボッカをやろうという事になりました。松本君も加わってまたまたライトボッカです。小屋では、常連の方が炭火で焼いてくれた美味しいさんまやおでん、もちろんビールにワイン。どうも堀山の家ではワインは、美容にいいと奨めるのが決まり文句らしい。お手伝いにきたのか、たかりに来たのかはっきりしません。この日も午後からのボッカ準備のため早々に下山。
この日も帰宅途中のジムで、10時の閉店までクライミングを楽しだのはいうまでもありません。
目一杯遊んで、満足の1日でした。
11月19日(土)
名栗・河又 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :横川秀樹
フリークライミング強化月間、11月のフリクラ自主はこの日が三回目。
前の週の土曜に5.11aをレッドポイント(RP)し、日曜には別の11aをフラッシュしていたので、精神的にはさらに余裕が出てきた。(?)
7時に所沢でM同人をピックアップし、8時に駐車場着。ほとんど満車状態で、辛うじて一台分のスペースがあった。
のんびり準備してから出発し、20分弱で岩場へ。
今日の目標は、私が「大五郎」5.11a。M同人は「大将」5.10b。
アップは、「ミヤザキミドリ」5.9から。朝イチと言うことで、動きが硬い。手も冷たい。先日フラッシングしたM同人も、今回はテンションしたり、終了点直前から豪快なフォールをしたりで、なにやら不安なスタートとなった。
もう少しアップをしようということで、次は「忍吉98」、これも5.9。出だしは右から行くが、結構パワーも必要だ。これを左から行くと、さらに腕力が必要となるが、あえて左から行く必要性を感じない。なのに他の人々はみんな左から。不思議だ。
さて、続いては「忍吉」。10aとは言え、あなどれない。体が空間に飛び出す三次元的なクライミングは石灰岩ならではで、慣れていないと少し怖い。私は二便目でRP。M同人にとっても、これはちょっと苦手系だったかな。
その後、私は「ターミナル・ドライブ」5.10bをオンサイトし、いよいよM同人の本日のメインイベント「大将」。「日本100岩場」では5.10bだが、実際は5.10cはあるだろうというのが某クライミングインストラクターの見解でもある。一便目は、使うホールドを微妙に間違って核心のトラバースができす、二便目で成功。あとは落ち着いて終了点まで行って、M同人は自身の最高RPグレードを更新した。
私は5.10aの「カッパ」を触ってから「大五郎」に挑むが2テンに終わる。今ひとつ効率的なムーブが見つからないが、次回来たときには多分RPできるだろう。
登ったルート
◇5.9
ミヤザキミドリ アップ
忍吉98 H:OS/MS M:TR1T
◇5.10a
忍吉 H:RP M:L1T
カッパ H:L1T M:TR1T
◇5.10b
ターミナル・ドライブ H:OS/MS
大将 M:RP
◇5.11a
大五郎 H:L2T
【行程】 開始(8時頃)〜終了(15時頃)
11月19日(土)
日和田 RCT
◆メンバー:小室郁子(L)、小室宏文、高橋一也
◆記録 :高橋一也
人気のゲレンデのため、前回同様8時に集合。と思ったら、渋滞で集合が8時30分になってしまいました。しかし、前回日曜日の8時では既に1名来ていましたが、今回の土曜日は一番乗り!嬉しいような寂しいような・・・。
集合後、すぐにロープを張るため、ゲレンデ上部に行きました。しかし、いつものことながら、作業がはかどらない。ついこの間、やはり自主で来たときに、福田同人にロープの張り方をしっかりと教授していただいたにも係わらず、「このリングだったけ??」、「スリングが短すぎない?」「ロープが岩角にかかっているよ」・・・。なんと、前回同様、ロープを張り終わったら、もう9時30分。はあ〜、ロープ張りに1時間もかかってしまいました。
でも、ゲレンデには、ちらほらの人しか来ていません。う〜ん、工藤講師が日和田Bの講習の時に、土曜日は空いているけれど、日曜日は混むなあと言っていたのが、ホントでした。
まずは、ステミングフェースから。先頭は、25期リーダーのI子さん。初のステミングフェースながら、「落ちる〜!!」とか絶叫しながらも、なんとクリアしてしまった。H文さんは、1本目では、できませんでしたが、2本目でクリア。なんと、本科劣等生の小生は、期待を裏切らず、4本とも宙づり状態。過去3本の宙づりと合わせ、7本と宙づり記録更新中。
昼食後に左ルートを登山靴で数本登り、その後、リッジへ。何本か登る中、I子さんとH文さんがクリア。もちろん、小生は・・・。
最後にもう一度ステミングフェースに挑戦も、無惨に記録更新と相成りました。まあ、成果と言えば、1手上まで行けたかな。
今まで、9.5mmのロープを使っていましたが、この間の机上で、阿出川同人からの新10.5mmロープをオークションでゲットしたので、更なる精進をと誓う毎日です。
結局、前回の自主同様、ゲレンデにはもう1組のみ。暗くなる中、急ぎ足でそば屋に向かいました。
【行程】 開始(8:30)〜終了(16:30)
11月19日(土)〜11月21日(月)
足尾周辺/袈裟丸山(二子山尾根・小法師尾根)
◆メンバー:福田洋子(L)、伊藤栄子、伊藤幸雄
◆記録 :福田洋子
この山域は山塾に入って二年目の春に石倉山・大萱山・白浜山(たぬき山)、秋には赤倉山・舟石のハゲ山、そして昨年は残雪期の皇海山から北上し湯元までをたどった。それ以来久々の入山となる。計画段階でのコースの選定に迷い最終決定が3日前となり、この時点ですでにメンバーに迷惑をかけることとなる。
一日目、楡沢林道の入り口付近に車を止め歩き始める。数件の人家を見送り採石場跡地を過ぎた辺りで尾根に取り付く。急な岩を回り込みながら斜面を登りきり、尾根に出ると県境に合流、そのまま忠実に尾根筋をたどる。エアリアでは登山道の表記は無いが県境のため、踏み跡はしっかりしていて標石も等間隔とはいかないが幾つも現れている。ときおり舞う風花は谷川や沼田方面からの物であろうと話しながら、ふと東西を分ける袈裟丸連峰の稜線の積雪量が気にかかる。標高1330mで付近がうっすらと白化粧となり二子山に着いた時は2〜3センチ。一般登山道に合流すると中途半端な積雪のため、岩が所々出ていて歩きづらい。予定通り避難小屋のある幕営地に到着。広場は4〜5センチの積雪、地面が凍り付いていてテントのペグを打ち込むのにも苦労する。
二日目、寒さのためもありシェラフから出られず全員で寝坊、出発が2時間遅れる。アイゼンを付け歩き始め約1時間半、袈裟丸山(後袈裟丸山)に到着。天気は安定している。気になる沼田方面からの雲もそれほどかかって来ないため、パラつく程度の雪が舞う。積雪も思ったほどではない(5センチ程)。この先の稜線から東に向って、下降に使う小法師尾根の防火帯が伸びているのが見とおせる。出鼻で2時間の遅れはあったがルートを見渡せた事、今日のこれまでのペースが順当なので行けると判断し、予定通り進むことにした。
樹林のアップダウン、倒木、笹漕ぎ、多少の紛らわしいマーカー等もあり尾根分岐まで3時間15分。この間、小法師尾根の金色に輝く道を頭で描きながらひたすら歩む。分岐からも笹薮が続くが頭には防火帯に入れば何とかなる、との思いで高度・方向を確認しつつアップダウンを繰り返し越えて行く。しかしそのピーク一つ一つが平坦で胸までの笹に覆われていて、次につながる尾根のつなぎ目を判断するのに労力を使う。そのため時間ばかりが経過して距離が稼げない。
小法師岳をすぎ、やや笹が落ちついてきたが膝上でまとわりつく。尾根上の樹木少なく、ここが多分防火帯と思われるが、頭に描いていた金色に輝く道は、とにかく急がねばならない状況に陥っていてとても楽しめたものではない。1526mのピークで原向駅を指す標識に出合い少しホッとするも、ヘッデン使用せざるをえない時間となり磁石の方角のみが頼りとなりはじめる。隣の尾根や自分の尾根の幅も判別がつかない状態だったが、地形図上にも破線が示されるルートに入ったので踏み跡もなんとか読める程度にあり巣神山に到着。
磁石とマーカーが一致する方向にすすみ、高度1180mで左折する地点を探す。マーカー・踏み跡とも見当らないが磁石を信じて下降する。この時点で、下る斜度から現在地に不安をいだく。沢の出現で場所の見当をつけ直し、あたりの偵察をしながらルートを探すがヘッデンの狭い視野と落ち葉に隠れた沢筋とでは思うようにいかず、完璧にルートを外した。メンバーで協議の結果、今日の下山は無理と判断してビバークすることに決めた。
今立っている所は急傾斜の沢沿いなので、先ず水の確保をしてから下って来た方向に近い右岸の尾根を登り返す。落ち葉が多く傾斜がきついので慎重に樹木を拾いながら、1時間ほど登ると小広い疎林の尾根上に出た。南東の方向に鉄塔の赤い点滅(唐風呂の発電所と思われる)が見え、月明かりにより尾根の広さが判る。あたりを偵察すると西にのびてピークにつながる形状から、自分達の現在地を巣神山から南へのルートを直進500m、高度1140mのベロの形をした尾根上と判断した。
テントを設営後、食料の持ち合わせの確認。行動食非常食はそのままにして、1日目で凍って食べられなかったオムスビを余っていたラーメンのスープでお粥にして3人で食す。食べながら明日の行動を確認。先ずピークに登り返し、はっきりと確定できる地点まで行ってから下山する事を決めた。
三日目、昨日のミスを挽回すべく早立ち。と言っても暗すぎて又ルートを探すのが困難ではしょうがないので、昨夜のルートと合流する頃に明るくなるのを計算し5時半に出発。30分で巣神山の山名板を発見、しかし昨日通過した時に見たものと違っていたため、疑心暗鬼になり更に登る。あたりと足下に注意しながら辿ると見覚えのあるマーカーや踏み跡に確信を持ち、1360m地点で折り返す。やはり同じ巣神山に到着。先程の通過で気付かなかった別の山名板が昨夜見た山名板であり、登りと下りで目のとまる板が違っていたためであることが判った。
方向を確認し更に下り1180m地点、左折し取り付くピークが見える。ほんの2〜3mの範囲には幾つものマーカーがあり方向を指し示しているが、昨夜のヘッデンの照射範囲ではそのマーカー・ピークなど見えるはずも無く、ちょうどそこにあった岩を越えた事は憶えていたので足元に注意がいっていた事も原因のひとつだろう。ここで迷ったポイントの確認が出来てスッキリした気持ちで先に進むと、後はほとんど一般登山道と変わらない道が続く。ときおり他に分ける仕事道があるが、一番しっかりした道を選びながら飛ばして、切幹の国道122号線に出て今回の山行を終えた。
【反省】
・ 行動時間の読みが甘かった。本二冊・ネット上での記録など拾い集め、距離高度から行動時間を割り出したが見事にはずれた。
・ 朝の行動遅れがあったにもかかわらず、後袈裟丸山での見通した稜線の誘惑に勝てなかった。
・ 小法師尾根分岐で13:00到着は戻るにも遅く六林班に抜けるとか、餅ヶ瀬林道に下降するには不安材料が多く予定コース以外考えられなかった。帰ってから調べ直したら六林班より庚申山荘に抜ければその日の内に下りられたかも…?それでも山荘に17:00。
・ 胸以上、自分の背丈ほどもある藪漕ぎは全身運動、体力が無いとなかなか前に進めない。
・ 今までもヘッデンでの行動は何度もしていたので不安はなかったが、今回で照射範囲の狭さをつくづく実感した。
・ 装備について、ほぼ冬山だろうと防寒着・アイゼンなどは事前に打ち合わせていたがリーダーの自分が手袋を冬仕様にしていなかったため、オーバー手をメンバーに借りた。(大々反省)
≪ビバークから翌日の下山まで、それぞれ冷静に対処はできたが、一部の方にご心配・ご迷惑をかけてしまった。又、メンバーにもリーダーの不手際から迷惑を掛けてしまい深くお詫び致しますm(_ _)m。でも、この経験を踏まえて次回は計画しますので皆様その節は宜しくお付き合いの程、お願い致します。≫
【行程】
19日 楡沢林道入り口(9:40)〜△1159.9m(11:45)〜1400m(13:00)〜小丸山(15:00)〜小丸山避難小屋テン場(15:40)
20日 テン場(8:00)〜後袈裟丸(9:40)〜小法師尾根分岐(13:05)〜小法師岳(時間記憶なし)〜巣神山(18:00)〜1110m沢付近(19:00/19:55)〜1140m地点(21:00)予定外幕営(21:30梅オムスビの雑炊22:00就寝)
21日 起床(4:30)出発(5:30)〜巣神山(6:00)〜1360m地点(6:50)〜切幹(9:30)〜公衆電話(9:40)
11月23日(水)
西上州/表妙義縦走
◆メンバー・記録:松本善行
紅葉の時期、晴天、数年ぶりの妙義。相変わらずハイキング気分で稜線に足を延ばす人の多いこと。あの人、大丈夫かなあ?いやいや、人の心配をしている場合ではない。数日前の氷川屏風岩での右肩脱臼で、右手をオープンに広げることが恐ろしい。
つまらないが今回はしっかり左手で鎖を頼った。それでも案外楽しく過ごせた。肩の調子がよくなったら、きっとまた来ることだろう。
【行程】 妙義神社(10:20)〜大の字岩峰(10:50)〜白雲岳(12:30)〜タルワキ沢分岐(12:50)〜中間道合流地点(13:20)〜妙義神社(14:20)
11月26日(土)
丹沢/モミソ沢懸垂岩 アイゼントレーニング
◆メンバー:伊藤栄子(L)、伊藤幸雄、久野眞由美、福田洋子、松永己幸
◆記録 :伊藤栄子
新茅荘前広場に駐車し、準備。
電車組の女2人は、ザックの荷物をより分けるのが面倒なのでギアを身に付けヘルメットをかぶった。アイゼン、行動食は買い物袋に入れ岩場まで20分程で到着。
最上部の太い立ち木に向かいMさんがバシバシとリード。少し右下のピンにはKさんが丁寧に向かう。2ヶ所にトップロープを張り、アイゼンを装着しクライミングスタート。
右手は傾斜が柔らかいので、全員スムーズに登っていった。立ち木側は上部の三分の一辺りに立った面を直登しようと皆が試みるが、ホールド・スタンスが不安で右か左にまわった。
Yさんは、アイスクライミングだったら先端の爪が利くのだが、それができないため片足に乗り込み、ズリズリとパワーで上がって行った。
最後に右手下部のハング(スタンスが逆層)を、精一杯頑張って全員クリアし終了した。
爪一本でも立ち込みができるアイゼンの威力は素晴らしいが、一本の爪に神経を集中させるので岩登り以上に疲労困ぱいした。
【行程】 開始(9:40)〜終了(13:00)
11月29日(火)
藤坂ロックガーデン RCT
◆メンバー:野中達也(L)、松永己幸、宮下卓宏、山野美香
◆記録 :野中達也
天候は晴れ。平日ながら下道は混んでいたため、練習を開始するのが予定より30分ばかり遅れた。
藤坂ロックガーデンの所在地は岩場のガイドブックで調べてもその地図の曖昧さからか、少々わかりづらい場所である。
4、5台車が停められるほどの駐車場から歩くこと約5分、雑木林の中から突然その岩場が姿を現した。
トイレこそ無いものの、岩場基部には常設のテントとテーブルが設置されており、オーナーの心遣いを感じた。
まずはウォームアップで南壁の南稜ルートを登り、早めの昼食を取る。途中登攀に来ていた宮下さんの知り合いの方と少々言葉を交わした。
午後からは2チームに別れ各々3本ずつほど登る。午前中は日が射していたゲレンデも初冬からか次第に翳りはじめ、風が少しずつ強くなった。懸垂のために投げたロープが風でひどく流されるが、大事には至らなかった。
この藤坂ロックガーデンの印象として、平日だったこともあったろうが、とても静かで、ルートもこじんまりとしてはいるものの、日和田と比べても、マルチもでき、今年ここでの講習がなかったことが少し残念に思ったほどだった。
アクセスもJR佐野駅から相乗りで行けばたいした距離ではなく、結構得した気分で帰路に着いた。
参加してくださった皆さん、職場に自分の椅子はありましたか?
【行程】 開始(9:30)〜終了(16:00)
12月3日(土)
伊豆/城山南壁 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :山野美香
前々から行ってみたいと思っていた城山に今回やっと行けることになって、前夜はトポをみていたらワクワクしてきてなかなか寝付けなかった。
夜が明けるのが遅いこの時期、暗いうちに起きるのは辛い。寝不足でもうろうとした頭を振りながら目覚まし時計を止め、勇気を出して温もりのこもったベットを抜け出した。
駐車場から登山道を10分程で広々とした南壁の基部に着く。予報に反してどんよりとした空模様の中、まずアップにリーダーが「ブルースカイ(5.9)」「とんとん拍子(5.8)」をリードし、次にトップロープで登らせてもらうがこれがどちらもあなどれない。それぞれ核心部はトップロープならではの大胆なムーブでなんとかクリアしたが、今日はリードでガンガン登りたいと思っていた気持ちが早くも萎んできてしまった。
マルチピッチのバトルランナーを登ろうとしたが、他パーティが取り付き始めていて時間がかかりそうなので、空いているルートへと移動した。
今日トライするのによさそうなルートを選び、まずリーダーが「ハートルート(5.10d)」にトライ。おしくもオンサイトは逃すが、ムーブの組み立てを正確に頭にいれ、次のトライで確実にレッドポイントするところはさすがだ。
私のトライする「スクールゾーン(5.10c)」は、スッキリしたボルトライン、ボルトの間隔もほぼ一定、ちょっと気になるのは長めのルートで終了点が見えないこと。ヌンチャクを10本下げて、オンサイトは欲張らないが、何度テンションが入っても途中であきらめずに必ず終了点までいこうとひそかに心に決めて取り付く。中間くらいまで順調に進んだところで、ルートからはややはずれるがなんとも素敵なテラスが目に入ったところでからだは自然とそちらへ動いていた。そこは先ほどリーダーが登った「ハートルート」の終了点でもあり、安定しているので一息つけた。ところがそこから先、少し左に戻って直上しなくてはならないがホールドもスタンスも微妙に悪く、行きつ戻りつをいったい何回繰り返しただろうか。ここで終了か…と何度も思ったが、もう一度、あとちょっとと自分に言い聞かせなんとか先に進むことができたが、そこを切り抜けた先には、はるか遠くに見えるボルト。支点の間隔が遠いと思うととたんに恐くなり、ここで集中力が切れてテンション。やっと終了点についたときヌンチャクはほとんど残っていなかった。
日の当たる南面は登っているときは暖かくて快適だが、日陰で時折強い風の吹く中で長時間ビレイをしてくれていたリーダーはすっかり凍えてしまったようだ。どーも、すみません!
次のトライで無事レッドポイントでき、達成感で大満足の一日となった。
【行程】 駐車場(9:00)〜岩場(9:10)〜トレーニング開始(9:30)〜終了(16:00)
12月4日(日)
丹沢/塔ノ岳大倉尾根 ボッカ訓練
◆メンバー・記録:高橋一也
1週間前のボッカ訓練は所用があり参加できなかったため、自主ボッカと相成りました。1人寂しく秦野駅に降り立つ。そこでお願いをしていた秦野在住の元部下が車でのお出迎え。暫し会話を弾ませ、いざ出陣。大倉バス停で降ろされ、元部下は、あっという間に車で下っていってしまった。あ〜、また一人・・・。しょうがない、頑張っていきまっしょい。
横川同人が先週、水で重さを調節したとのことから、事前に購入していた灯油のポリタンクに水を詰め、必死にザックに入れ、ボッカ開始。
暫く車道を歩き、国定公園の石碑のある二俣を登山道へ。ものの本には、標高差1,200mの登り一辺倒とあったが、いきなり急坂って感じ・・・。あ〜、先が思いやられる。
歩くこと数十分。右手に建物が。小屋なのか住まいなのか・・・。2枚着て32kgを背負い歩いていたため、大汗が。そこで、1本取りながら、半そでシャツ1枚になる。
暫く進み町並みを展望し、さらに進み、見晴茶屋で1本。なんとなく雪が舞っている感じ・・・。やばい、下山できるのかなあ・・・。今から引き返そうかなあ・・・。なんて考えながら、半そでなのに、背中からの湯気を感じながら休憩。しかしこの休憩が曲者。なぜなら、灯油ポリに完全にビッチリは水が入らないので、ザックを背負いながら休憩していると、微妙に背中で水が揺れるんですよね。だから、立っていても左右に微妙に揺れていいて、なんか休憩している感じになれないです。
見晴茶屋を出発すると階段交じりの登りが始まる。僕は、この階段って大キライなんですよね。我が儘なので自分のペースで歩けない、この階段、嫌だ!これが「バカ尾根」の始まりかなあ。雪も強くなってきた気がするので、帰ろうかなあ・・・。駒止茶屋で、また1本。今日は休憩が多いなあ。やはり一人だと優柔不断な性格が、すぐに出てしまう。いかん、いかん。でも、緩やかになってきた。なんだ、バカ尾根って、これだけだったんだ。いや〜良かった!!なんて、のん気な性格。堀山の家のベンチで、また1本。しかも、ジュース100円の文字が。や・安い。つい、ザックから出すのが億劫で、買ってしまった。でも、なんだか手の感触が変。そうです、250ml缶でした。あ〜、安物買いの・・・。気分が落ち込んだまま、山頂目指し、黙々と出発。
さっきでバカ尾根が終わったと勘違いしたバカ者にとっては、ここからが至難の登りでした。ひたすら階段攻め。やっと緩やかに。と思ったら、なんと延々と続く階段地獄。急な階段、そして、吹雪。2段登ると、ファ〜っと休憩。2段登ると休憩・・・。足元しか見ていないが、たまに、腰を伸ばすと、なんと延々と階段が・・・。帰る気力もなく、ただ黙々と。半そででも大汗をかいていたが、さすがに腕は寒い。花立山荘のベンチでレインウェアを出し、上だけ着る。展望を試みるが、町並みが、ではなく、ただ吹雪が・・・。ガッカリしながら、さらに黙々と。金冷シからは、なだらかな道。やっと終わったか。やれやれ、と思ったら、最後にまたも急登の階段。やっと登りきったら山頂のよう。でも、小屋もよく見えないくらいのエライ吹雪。時計は・・・、なんと13時半に限りなく近い時間。下山できるの??不安を胸に、目の前が見えない状況のため、小屋に水を置いていくこともやめ、急いで脇に水を流し、ダッシュ!!2度3度、転びながら、駆け下りていきました。花立山荘って、こんなに近かった??もう堀山の家??駒止、見晴・・・、あっという間に車道まで。無事帰れた。でも、そう思った瞬間、大倉バス停までが長い、足が重い・・・。なんとかどんぐりハウスまで辿り着き、あったかいラーメンを頼み、こそこそとザックからパンを取り出し、腹にしまい込みました。そうです、昼食を取っていなかったのです。登りはヘトヘトで食事なんか忘れていたし、山頂からは、早く下山しなくては!!と昼食なんか、すっかり忘れていました。バスを待つのも嫌だったので、元部下に迎えを依頼。腹も満たされ、車が到着するや否や、コーヒーの1杯すらご馳走せずに乗り込む始末。秦野駅までは熟睡。そして、小田急線新宿駅まで、更に熟睡。で、おまけは、後日、元部下から運転手代として、昼食をご馳走させられてしまった。
たった32kgなのに、この有様。この先、雪山では、どうなることやら・・・。
【行程】大倉バス停出発(8:00)〜塔ノ岳山頂(13:30)〜大倉バス停(16:00)
12月3日(土)〜12月4日(日)
湯河原/幕岩 フリークライミング
◆メンバー:伊藤栄子(L)、伊藤幸雄、伊藤由以、工藤寿人、久野眞由美、沢口千鶴子、福田洋子、南谷やすえ、松永己幸
◆記録 :松永己幸
自主両日とも大勢のクライマーが来ていたので、人と人の合間を縫って登った。
12月3日
桃源郷 @washing―トップロープでウォーミングアップ
A蟻さんルート―リードの練習
希望峰 Bシャックシャイン―壁から剥がれてガリレオ・ガリレイの振り子状態
C帰還兵 ―レイバックでパシッパシッと登っていたIさん
Dホー・チ・ミン―帰還兵とシャックシャインで腕が張ってしまったので敗退
12月4日
てんとうむしロック Eスウィング―トップロープならではのムーブで核心部をのぼる
マコロンランド Fマゾおけさ―またしてもかぶっている所をヌンチャクで引き上げてしまった。
アリババの岩場 Gコンマクラック―ステミングでスイスイ
雨が本格的に降り出してしまったのでこれで中止。ヌンチャクで引き上げたり、テンションをかけまくって登ってしまった。登るためのトレーニングが足りないことを実感した。
【行程】
12月3日 (10:00)〜(15:30)
12月4日 (9:00)〜(11:30)
12月10日(土)〜12月11日(日)
春日渓谷/アイスクライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、金沢和則、坂口理子、山野美香、松永己幸、野中達也
◆記録 :松永己幸、野中達也
12月10日(松永己幸)
アイスクライミングは前シーズンに講習で一度トライしたきりで、すっかり登り方も忘れてしまっていて不安である。取り付き手前、歩いて15分程のところに駐車し朝一番の到着かと思いながら歩くと、すでに2パーティが登っていた。
春日ルンゼのF1は美しい名前で“羽衣の滝”と呼ばれている。凍っていない時も見てみたいものだ。さほどきつい傾斜ではなく、ここはすでに棚状になっていて、アックスやアイゼンを打ち込まなくても乗せるだけで十分である。基本的な登りかたを習い、頭で一つ一つ考えてゆっくり登る。フリークライミングの基本と同じだ。あとはバリエーションの登り方が幾通りもある。
午後はF1から遡行する。セカンドで登らせていただいたが、早速1m以上も滑り落ちる。リードでなくて良かったけど、精神的なダメージが大きい。一体何が悪くて落ちたのであろう、またリードで登るとしたらアイススクリューも打ち込まなくてはいけないのか。そんなことを考えながらも滝は続く。支点ではオーバー手袋をしていたので上手に操作できない。アイスの時はオーバー手袋が邪魔になる。カラビナももっと大きい物を使うべきだ。F2〜F3、F3〜F4間は夏であれば河原歩きであろう。F4は氷の下に水流を感じ、バイルを振り込んだら水が溢れ出すのかしらと思った。帰路は同ルートを下降する。積極的に身体を動かさないと、目の前の滝のように凍ってしまうのかもしれないという恐怖がよぎった。
今回のアイスクライミングで沢を夏冬通して登れるという新たな山の楽しみを知ることができた。また凍った滝の力強さと相反する神秘的な青白さはもう一度見たいと思った。
【行程】 取り付き(9:30)〜終了(15:30)
12月11日(野中達也)
前夜からKさん、Sさん、私の3名が合流し計6名となる。朝目が覚めるが、未明からの雪がまだ降り続いて、出発時間になっても止まない。「これから何処に滑りに行こうか」などと談笑するも、リーダーの判断で春日渓谷へ向かう。
車で林道を登るに連れ雪が小降りになり、気がつくと止んでいる。昨日と同じところへ駐車しF1へ向かう。既に4パーティほどが取付地点にいて昨日より混雑している。身支度を済ませ登る順番を待つが、前に出た組は殆どがF1に留まらず上へ抜けていく。ならばということで、K・S組みはF4まで行くこととし、残る4名はF1で集中的に特訓することにする。
Yリーダーにトップロープをはってもらい早速のぼる。約1年振り、2度目のアイスである。アックスやアイゼンを置くような感覚を意識する。落ち口を乗り越すところでは傾斜がきつく窮屈に感じられたが、脇が開いて胸が近すぎると指摘してもらう。確かに、その時の「貴重」な写真を後で見させてもらい納得がいく。冷静でいるつもりであったが間違いなくビビッていた・・・。
約10本ほど登った中で、バリエーション的な登りも課題にしてもらう。Mサブリーダーが課題としていたザックを背負っての登攀、シングルアックスでの登攀、トラバースやクライムダウンなど、結構楽しめ勉強になる。特にトラバースでは上方と横方向のアックスの位置関係が難しく、上方の手が次第に下がってきてしまい、つい余計な力が入る結果腕がパンプしてしまう。また、足と手を運ぶ順序がつい乱れてしまい、なかなか進まない。
止んでいた雪が再びちらついてくる。
縦爪やモノポイントのアイゼンや、マイ・アイスアックスを購入するのが先か、しかし経験不足を少しでも補うためのアイスクライミング山行費用を貯めるのが先か・・・・。ちょっと嬉しいような悩みが今回の経験でまた増えた。
【行程】 取り付き(9:00)〜終了(15:00)
12月23日(金)
伊豆/城山南壁 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :横川秀樹
今月2度目の城山。上のワイルドボアゴージやチューブロック付近もたくさんのルートがあるのだが、ややグレードが高いため、きょうも下部の南壁でトレーニングすることにする。
特別ゲストとして、その昔山塾にいて、今はノマドに籍を置くU松氏が参加。もう一人PUMP1のアドバンススクールで一緒だったS井氏は、なぜか途中で違う電車に乗ってしまったとかで1時間遅れでやってきた。
さて、アップは「鎌形ハング1P目」(5.10a)。出だしからしばらくは簡単だが、最後はポケットが3手ほど続く。手順を考えないと行き詰ってしまうので、ちょっと面白い。
続いては、今のルートの左隣で「ブルースカイ」(5.9)の右隣にある「フルハムロード」(5.10b)。オンサイトを狙うが、上部でホールドがなくなり、何度も行きつ戻りつ粘ったあげくテンション。すると左のほうにポケットが見えた。う〜む、これは初見では登りにくい課題だ・・・。
風がどんどん強くなってきて、登っていても壁から引き剥がされるのではないかという恐れもあり、もう終了しようかという気にもなってきた。が、あと少しだけ登ろうということになり、「ブルースカイ」で軽く体を暖めたあと、今度は「ロンググッドバイ」(5.10b)に挑戦。1年半前にトップロープで一度登りかなり簡単という印象を持っていたが、その印象通り一撃。M同人もフラッシング(FL)して、自己最高のFLグレードを更新していた。
最後に「タナバタのタナボタ」(5.10c)を登ってみたが、全くムーブが解決せずにA0で何とか上まで抜けて終了。
登ったルート
鎌形ハング1P(10a) H:RP(再登) M:RP
フルハムロード(10b) H:RP(2撃)
ブルースカイ(5.9) H:RP(再登) M:RP
ロンググッドバイ(10b)H:RP M:FL
タナバタのタナボタ(10c) H:×
【行程】 開始(9:00頃)〜終了(14:00頃)
12月24日(土)
八ヶ岳/広河原沢周辺 アイスクライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :横川秀樹
この3連休、元々は黄蓮谷のアイスに挑戦するつもりだったが、今年は12月から全国各地で大雪という状況なので(なぜか富士山だけは雪が少ないが)あえて雪崩やラッセルの心配がある場所に突っ込むのはやめることにして、初日は城山でフリー、残りの二日間で八ケ岳アイスという計画に変更した。(あとで黄蓮谷に入ったパーティが続々と敗退してきたという話を聞き、この判断がまずまず正しかったことを知る)
さて、この日は、広河原沢左俣を登って御小屋尾根を下降というプラン。上部に大滝が二つあるというプチアルパイン。来年に延期した黄蓮谷への試金石でもあると思ったのだが・・・。
まず、船山十字路に車を置き、林道を歩く。これが長い。林道終点までちょうど1時間で、そこからさらに20分少々でやっと広場に着く。ここで左俣と右俣に分かれるので登攀準備を開始。F1まで20分という情報だったが30分経ってもF1が現れず不安になる。GPSを取り出し現在地を確認していると、ちょっと先にそれらしき滝が見えた。
F1は3mほどの小さな滝だが、手前の釜が凍っていなくて、滝自体も雪がべっとりついていて、ちょっと取り付くのが大変な雰囲気だ。どうしようかなと思っていると、先行パーティが滝の上に現れた。どうやら右(左岸)から高巻いたようだ。我々もそれに習って高巻くが、沢床に降りるには20mほどの懸垂が必要になってきた。ここで思案。一旦降りると、万一の退却時にはF1の釜で靴を濡らすことになりそうだ・・・。M同人のペースも上がらない。雪も多く、先行パーティはワカンを持っていた・・・。と、これらを計算して出した判断は「撤退」。
と、決まれば右俣へ戻ってクリスマスルンゼの大滝を登ろう!と張り切るが、二俣からがまたまた遠い。右俣本谷と3ルンゼの分岐まで1時間以上。本谷に入って、右(左岸)から入る支沢を見送ると、5〜6mほどの滝があり、ここで初心者の講習会が行われている。この滝の左、階段状をフリーで越え、しばらくすると右からルンゼが入ってくる。これがクリスマスルンゼだろう。しかし、トレースが途中で消えている。むむむ、これはすごいラッセルだ。胸まであるぞ・・・。ということであえなく敗退。
どうやら今日は、広河原沢の彷徨に終わってしまいそうな気配が濃厚となってきた。が、最後、戻りがてら途中で左岸から入ってきた支沢に行くことにする。そこには「武藤返し」と呼ばれる滝があるはずだ・・・、あった。だが、高さ7m、幅5mという小さな滝にすでに2パーティが取り付いている。待つしかないかぁ。
ようやく我々の順番が回ってきて、2、3本登り早々に終了。ここ広河原沢では氷は楽しめない、という結論を下し、明日は南沢大滝へ行くことに決め船山十字路へ戻る。
雪の多い時期に広河原沢に入るなら、スノーシューかワカンがあったほうがよさそうだ。
【行程】 船山十字路(6:52)〜林道終点(7:50)〜広場(8:10/8:45)〜左俣F1(9:20)〜高巻き後撤退〜広場(11:00)〜右俣本谷分岐(12:10)〜クリスマスルンゼ出合から撤退〜武藤返しの滝(13:30)〜下山開始(15:30)〜右俣本谷分岐(15:50)〜広場(16:25)〜船山十字路(17:10)
12月25日(日)
八ヶ岳/南沢大滝 アイスクライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :山野美香
昨日の広河原沢では、寝不足からかそれともボッカ訓練をしていないせいか、テント泊用の重荷を背負っての歩きにペースが上がらず参った。パートナーにも迷惑をかけてしまった。
予定変更で今日は南沢大滝。明るくなり始めた頃に、身を切る寒さの中駐車場から約1時間歩く。南沢小滝を見てから(ホントはここでやりたいなぁ…という気持ちを言葉には出せずに)南沢大滝にはもちろん一番乗り。
去年一度来ているが、その時よりも下部がずいぶん発達しているように見える。そして大きい。大滝という名前だから大きいに決まっているが、とても登れるとは思えないくらいに大きい。
昨日はようやく探し当てた滝で中途半端な1本を登っただけで寒さとだるさで早々にやめてしまったので、今日は実りある一日にしたいとは思うが…。
右側は水が流れているのでやや左側をさっそくY氏がリードで行くがさすがにこれだけの大きな滝、ましてや上部の傾斜は80〜90度となり、慎重にロープを伸ばす。アックスの振り方やムーブ・フットワークを、ビレイしながらたっぷりと観察させてもらった(からといって同じように登れるわけもない…)。
トップロープで登る準備をするが、あまりの寒さで手足はかじかんで頬もこわばりうまく喋ることもできない。いつものことながら不安げな情けない顔をし、きっと目も泳いでいたのだろう。「途中まででいいから」という言葉に安堵しつつもアックスを握ると胸がドキドキしてきた。
課題はアックスが氷面に刺さる前にぶれてしまいはね返えされたり、浅くしか刺さらないで何度も打ち直すためにすぐ腕が疲れてしまうこと。今回はそれを克服するべくリーシュの長さ、グリップの握り具合、腕の振り方、打ち込む位置などいろいろと考えながらゆっくりと登らせてもらった。やはり特に左腕は疲れてくると肘が外側に曲がり握力もなくなってヘッドがぐらつき思うように振ることができない。
始めの一本は途中まででやめ一旦降り、冷えきった身体を内側からなんとかしなくてはとテルモスの熱いお湯でパンを流し込みんで、気を取り直してもう一本トライ。気を付けるべきところを考えつつ時間はかかったがなんとか終了点まで登ることができた。
この一本を登っている最中に私が起こした落氷で、他パーティのビレイヤーの方が怪我をしてしまい、大変申し訳ないことをした。また、私自信もビレイ中に落氷を避けきれず脛に氷があたりアザができた。アイスクライミングは自分が登っているときも顔に氷の破片があたったり、ビレイ中も避けきれずに落氷を受けることがあるので十分注意が必要だと痛感した。
【行程】 駐車場(6:45)〜南沢大滝(7:55)〜終了(14:00/14:40)〜駐車場(16:00)
12月29日(木)
八ヶ岳/ジョウゴ沢 アイスクライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、山野美香
◆記録 :山野美香
28日、一年の仕事もようやく終わり、職場で仕事納めのあとの納会で軽く飲んで、それに続く二次会の誘いを断って家路を急ぎ、明日に備えて早寝をする。
今年一年もよく山へ出かけたなぁなどと考えながら、まだ真っ暗な中央道を小淵沢へと車を走らせる。
今シーズンのアイスクライミングは春日渓谷に始まり、広河原沢、南沢大滝と比較的天気にも恵まれいいトレーニングができた。そして今日は快晴。赤岳鉱泉までの道は初めての山塾での山行から幾度となく歩いているので快調に進む。そこから15分ほどでまだだれもいないジョウゴ沢F1に到着する。さっそく身支度をととのえ、F1右の緩い氷のステップでフラットフッティングやシングルアックスでの登下降をしばらくトレーニングし、左側をトップロープで何度か登ってから先へ進むことにした。
F2は10mほどで傾斜は70度前後、比較的やさしめの凹角を<そろそろこのくらいの滝をリードできなくては…>などと思いながらフォローで登る。
名前とは似つかない堂々と発達している「乙女ノ滝」を右に見ながら進むとナイアガラの滝に着く。太陽に照らされてキラキラ光る薄いブルーの氷った滝は実に綺麗だ。ここは陽射しが心地よく、アイスクライミングでこんなに暖かく快適な思いをしたのは初めてだった。
リーダーが滝の右側をリードで登りトップロープを張ってくれた。右のルートは氷が硬めだったがアイゼンを蹴りこまなくてもスタンスが拾いやすい形状だったので、うまく立ち込むと腕が疲れずに比較的スムーズに上まで行けた。滝中央のルートは日がよく当たるせいか水が滴っていたがその分氷は柔らかい。それでもかなり傾斜がきついので、アックスを打ち込む前に肘が氷に当たってしまいうまく打ち込むことができない。また、なかなかちゃんと立ち込むことができずに、すぐに腕がパンプしてしまった。氷の状況・形状により難易度が大きく変わる。それにきちんと対応できるようにならなくてはいけない。もっともっと登りこまなくては、と思った2005年最後のアイスクライミングだった。
【行程】 美濃戸(6:50)〜赤岳鉱泉(8:45/9:00)〜ジョウゴ沢(9:15/9:30)〜F1にてトレーニング(10:45)〜ナイアガラの滝(12:10/14:40)〜赤岳鉱泉(15:45/16:00)〜美濃戸(16:55)
12月30日(金)
湯河原/幕岩 フリークライミング
◆メンバー:横川秀樹(L)、福島彰男、山野美香
◆記録 :福島彰男
今日は、いつも幕岩へ行くより一時間早い。さすが横川さん。真鶴駅7:48分集合。天気はうす曇りで時々日が差し、風もないので寒くはない。冬の季節としてはまあまあの日であった。クライマーは暮れのせいか少なかった。
横川さん、山野さんとのクライミングは確か5月の小川山のチェアキャンプ以来7ヶ月振りである。お二人とも山塾きってのフリークライマー。
横川さんは10月〜11月をフリクラ強化月間にして、山野さんと相当登り込んできたようだ。そのようなメンバーの中に参加することに躊躇があったが、この半年間、ジムで、そしてゲレンデで練習をしてきたので、少しはついて行けるのではないか。また、いろいろ勉強になると思い、参加させてもらった。
さっそく身支度しクライミング開始。最初はアップということでアリババそばのシャワーコロンから。無論トップは横川さんがリードで登り、次にトップロープで自分が登る。その後山野さんが再びリードで登る。この順番でいろいろなルートを登った。
さすがにこの所登り込んできただけに見ていても切れが良いお二人である。テクニックとダイナミックな動きで登る横川さん。細かいホールドを見つけながら華麗に登る山野さん。見惚れてしまう。場所を変えルートを変えて登った1日であった。
◆登ったルート
アリババの岩場 シャワーコロン(5.9)
アリババvar. (10b)
マコロンランド クリスマスローズ右、左(10b)
桃源郷 フック船長(10a)
てんとう虫ロック ミッツェル(10c)
アナザガール(10a)
フライング(5.8)
自分のトライ結果:一回で完登したルート(トップロープ);シャワーコロン、アナザガール。再トライで登れたルート(トップロープ:テンション有り);アリババvar.、クリスマスローズ右、フック船長。2回共登れなかったルート;ミッツェル。リード(一回)で登った所;フライング。
◆今回の自主で学んだこと。
お二人の登りを見ていて感じたことは、グレードが上がってくると一見ホールドがなかなか見つからない場合がある。そのような中でも、使えそうなホールドを探し小さなホールドでもあるいは遠いホールドでも、腕(指)と足をたくみに使いバランスを崩さないように登ることがクライミングのテクニックではないかと。また、どう使うかは練習と実際の岩場での経験で養われるのではないかと思った。自分の場合、行き詰まる場面が出てきて、身動きができなくなってしまうのはそのようなテクニック(技術)が未だ身についていないからだと思った。もっともっと登り込みをしなければ・・・。
横川さんからは特に足の置き場(スタンス)を登る前から見つけておくこと、そして足を使って丁寧に登ること等のアドバイスを受けた。今後に生かしていきたい。
大変勉強になった一日でした。ありがとうございました。
【行程】開始(9:00)〜終了(16:00)
12月29日(木)〜12月31日(土)
南アルプス/鋸岳
◆メンバー:金沢和則(L)、坂口理子、松永己幸
◆記録 :松永己幸
前日から何だか風邪っぽいかしら、下調べの段階で簡単なルートでないことは分かっていたので不安はあったが、当日の朝体調も回復し、気合十分である。
山行予定は角兵衛沢を登り、熊ノ穴沢を下る計画であるが、雪の状態で予定の変更はあり得る。角兵衛沢を上り甲斐駒ヶ岳をまわる行程、また馬ノ背から仙丈岳に行く行程などなど。結局、角兵衛沢に行くことにする。戸台から角兵衛沢出合までは雪も少なかった。角兵衛沢出合の樹林帯をテン場とする。
翌朝6時に出発の予定であったが、谷間なので6時では周囲が未だ暗く、ルートを誤ってはいけないので、辺りがもう少し明るくなるまで時間を過ごす。大岩下ノ岩小屋の水場を確認したかったが、ルートが異なったので、次回への持ち越しとする。中腹辺りまでは雪が積もっていたがトレースがあり歩きづらいということはなかった。樹林帯を抜けると風が強く、雪も吹き飛ばされ岩場の山であることを認識させられる。尾根に出ると周囲が吹き溜まりになっていて、強風に足を取られそうになってしまった。一方第一高点ではほっと一息、風も幾分和らいでいて眼前に広がる山並みの美しい景色の虜になってしまった。まずは小ギャップまでの懸垂下降、ロープも手袋も凍っているので滑りそうである。鹿窓までの登りは鎖が張ってあったが、ちょっと急な登りである。そこが鹿窓というほんの2mほどの下り、ロープをFixし懸垂する、K氏の口から思わず想定外の懸垂と漏れていた。鹿窓から吹く強風に舞う雪がモンスターに見えた。鹿はこの窓から覗く光景をどんな思いで見ているのだろうか。懸垂するロープを準備している間、第三高点へいくルートを探索する。トレースこそないもののこの尾根かとまぶたに刻んだ。鹿窓周辺の足場は強風で雪が飛ばされていてガレている。落石に細心の注意を払いながら慎重に懸垂をする。第二高点まで行く間に辺りは薄暗くなってしまい、私の歩くスピードでは到底中ノ川乗越までは無理な様である。第二高点直下の尾根でテントを張る、テントが飛ばされないようにFixしてからポールを挿入する。一メートル程の落差があるところに斜にテントを張ったので、椅子に座るような状態で一晩やり過ごした。ストーブをつけている間はほんのり暖かくずっと続けばいいのになぁと思いながら、風が吹き付ける音を聞きながら、でもしっかり熟睡?してしまった。
早朝テン場からみえる仙丈岳は今日も輝いている様であったが目を凝らしてみると風雪が舞っていたので、この尾根のように強風が吹き荒れていることが伺えた。中ノ川乗越は風の通り道ではなさそうで、きっと別天地であったのだろう。雪も吹き飛ばされる地形で、沢下りではあるが危険が少ないと判断し熊ノ穴沢を下る。角兵衛沢と同じ様なガレ場を下る。100mも下ると雪が増えてきて、更に下ると上級者はグリセードで快調に下れるが、未熟者の私は転ぶたびシリセードになってしまう。途中岩壁に凍った沢が出現しここまでアイスクライミングをしに来る人は少ないであろうが、絶好のルートがあった。この沢はさすが熊ノ穴沢というだけあって冬眠しきれないのか熊の足跡があった、思わず熊の足跡に震えあがってしまった。
雪山の歩くスピードといい、現状の判断の仕方、対応の仕方、すべて背伸びさせていただく様な山行になってしまったが、私にとって大収穫の忘れられない山行になった。
【行程】
12月29日 戸台(13:30)〜角兵衛沢出合(15:30)
12月30日 角兵衛沢出合(7:10)〜第二高点下テン場(18:56)
12月31日 テン場(7:15)〜戸台駐車場(13:00)
12月30日(金)〜12月31日(土)
八ヶ岳/赤岳西壁主稜
◆メンバー:伊藤幸雄(L)、伊藤栄子
◆記録 :伊藤幸雄
年末の山行計画としてあまり考えていなかったが、どこも行かないのも寂しい気がして、急遽近場の八ヶ岳に夫婦で出かけることにした。また、どうせやるなら栄子氏の冬季登攀入門を兼ねて赤岳西壁主稜を選択した。初冬季登攀を経験した栄子氏の感想は後文にて。
泊まりはテントとしたため、荷物はテント、登攀具、ザイル、お泊りセット、スコップ、ピッケル、食料等々かなり重くなってしまったが、これも冬季登攀の一歩。そんなこともあり30日はゆっくりと自宅を出発し、16:00に赤岳鉱泉に到着。年末でもありテントの数も多く、鉱泉泊まり客も大勢であった。
31日、7:00に赤岳鉱泉出発、行者小屋にてハーネス装着などの準備をして文三郎道を登る。
文三郎道から分かれて主稜取付きへのトラバースは先行パーティのおかげでしっかりとした踏み跡がついていた。ただ、風がもろに吹くところなので強い時には注意すべき箇所である。
取り付きには先行パーティが順番待ちしており時間のかかる登攀になることを覚悟する。
さらに順番待ちしている間に危険はあるもので上から先行パーティのピッケルが落ちてきた。
おもわず「オイオイ」と声が出てしまう。どうも、このルートは新人登攀者も多く落石だけではなくいろんな物が落ちてくるので上に注意。
こちらの冬季登攀入門者も慣れない手袋使用でのロープワークにちょっと緊張気味。
1ピッチ目はチョックストーンがあるチムニーで雪が少なければ潜って登るが、今回は下に雪がついており無理。チムニー左からチョックストーン上部に這い上がり右に渡り凹角状を登ってコルにでる。簡単に言うと鳥居の上を渡る感じでクラス的にはW級(?)らしい。
2ピッチ目は垂壁の左から身体を外に出す感じで凹角を登り、ザイル一杯まで登ってピナクルでビレイをとる。3ピッチ目はミックス帯から雪稜、4ピッチ、5ピッチ目は岩稜だが脆いので一つひとつの確認が必要。6ピッチ目は栄子氏のリードで40mぐらいの岩稜まじりルンゼを上部壁下まで登る。斜度はきつくはないがランニングの取り方によってロープの流れが悪くなり引っ張られているようだった。やはり緊張していたのかもしれない。7ピッチ目は垂壁でこのルートの核心と言われている。垂壁の正面からのぼりリッジに出てビレイすると稜線を歩く一般登山者が見えてくる。あとはリッジ状に登り登山道に合流し赤岳頂上にでる。
登っている最中も風に吹かれていたが、頂上に出ると更に強く小屋に入って休むことにした。
15:10、待ち時間もあって相当時間をついやしてしまったが、これも仕方がないことで休みも早々にして下山することにした。
17:30赤岳鉱泉着、ちょっと休憩してからテントを撤収しヘッ電で美濃戸口に下山。20:30着。
後半、ちょっと忙しい山行ではあったが、これで2005年も無事終了することができ満足というところでした。
◆栄子のひとり言《感想》
最初で最後の雪稜か?
寒い、荷物重い、アイゼン重い、しんどい二日間だった!やはり身の程知らず過ぎた!!
ルートに入って、ビレイをしながら『こんな寒い思いをしてまで、登るなんてどこが面白いの?』とか『懸垂で下りたい!』と4ピッチ位まで胸の奥底で思っていた。
リードしてと言われても喜び勇んで行きたいとも思えず、しかたなく交代した状態。いざセカンドをビレイしても、手袋は滑りロープは重く、思うようにたぐれない。ほとほと困ったが、苦心惨たんして手に二重に巻きつけ、息もたえだえに引っ張りあげていった。最終ピッチなど 声も出ず、足はよろよろで疲れ果て、テントに戻ってゆっくり眠りたいと思った。
テン場に着いてもテントに入る気力もなく、行動食をむさぶるのが精一杯だった。(空腹なのにぜんぜん美味しくなかった。)
そして、がんばって撤収をし、夜道を美濃戸口に向かった。
【行程】
30日 美濃戸口(11:40)〜赤岳鉱泉(15:00)
31日 赤岳鉱泉(7:20)〜主稜取付き(9:20)〜1ピッチ目(10:00)〜赤岳頂上(15:10/15:30)〜赤岳鉱泉(17:30)〜美濃戸口(20:30)