■2005年10月の講習山行記録
10月2日(日)
日和田 RCT
◆メンバー:工藤寿人(講師)、伊藤幸雄、宮下卓宏、福島彰男、松永己幸、神森揮要子、尾久一朗小室宏文、小室郁子、高橋一也、神山直三
◆記録 :神山直三
今回は「登山靴による岩登り」、アルパインを想定しての講習ということでしたので、周囲の人の足元を見ると“登山靴”、なかには今から縦走するのかと思うような靴を履いている人がいてドキリ。私はアプローチシューズで参加、気恥ずかしさを覚えましたが、初心者と言うことで勘弁して頂き講習開始。
初めは、「つづら岩」でも教えていただきましたがロープの結び方や支点の取り方、ビレイのやり方などの講義を受け、その後トップロープにより岩の上まで登り、そこでトップロープの「支点の取り方」や「バックアップについて」とか、また「なるべくロープが岩に擦れない位置までスリングを延ばし調整をする。」など、一つ一つ納得のいく説明を受け「なるほど理にかなっているな!」とうなずくばかり。本当に勉強になりました。
その後、登り下り合計5回やらせて頂きましたが、うち2回ほど難しい場所では“握力、腕の疲れ”(後日、手・腕が痛くて箸を持っても違和感を覚えました)と“支持がよくできていないという不安”により途中で断念してしまいました。
その断念した中の一つは、午後になって伊藤さん達が通称「重箱」と言うルートをやっていたので見に行ったところ、「やってみませんか」と声をかけられ、早速クライミングシューズに履き替えて挑戦。とはいえ、当初から最後のきついオーバーハングは無理とわかっていましたので、そこを避けて右のルートを選定し果敢に挑むが有効な手掛かり・足掛かりが見つからず、後少しのところで断念、テンションとコールして降りました。
「岩は足で登る」と教えていただきましたが、やはり指揮棒を握る程度の握力では体を支えることは困難(三点支持不十分)であるということを実感した今回の講習でした。
今後はこのことを教訓に脚力はもちろんのこと、握力・腕力など「岩登り」・「沢登り」に必要な筋力作りに取り組もうと思っています。
ロープも降ろし、撤収作業をしていると、最後に工藤講師の「岩のつかみ方」の講義がとうとうと始まりました。工藤講師いわく「小さい岩の手掛かりでも親指を人差し指の先に添えて(少し包み込む感じ)やると、より確実になる」とのこと。その場で実験してみたが、そのとおり、しっかりとれている(つかんでいる)感じ「あ、これだ!」「工藤さん、はじめに教えてよ!」と思いつつ、でも知らなかったから勉強になった部分もあるのかな、とも思っています。とにかく、この次は「やるぞ!」と「本気」にさせていただきました。
最後に、今回の講習に際しまして参加された皆様の暖かい励まし・ご指導に感謝致します。ありがとうございました。
【行程】 講習開始(10:00)〜終了(16:00)〜後片付け(16:25)
(この日は30℃を超す気温、特に岩の上はカンカン照りで汗ダラダラでした。)
10月22日(土)〜10月23日(日)
西上州/赤岩尾根
◆メンバー:工藤寿人(講師)、福島彰男、松永己幸、尾久一朗、神森揮要子、小室郁子、小室宏文神山直三、牛山和人
◆記録 :小室宏文
10月22日
朝9時、 西武秩父駅に集合、車に分乗し落合橋に到着。初日の行程は小倉沢の登山口から赤岩峠を経て大ナゲシへ。当日は早朝から天気が悪く、家を出て早々に雨模様となりさいさきが悪いと思われたが、入山時点では曇りになり一安心。まずは集合写真を取り、皆さん身じたくを整え出発。途中、工藤講師から、読図についてのお話などを聞きながら1時間半程で赤岩峠に至る。ルートは下草を刈ったばかりと思われる跡があり藪漕ぎをすることも無く、普通の登山道と全く変わらないと言っても良いくらい整備されていた。
峠から大ナゲシへの途中、地形図上では等高線の間隔も広く、かなりなだらかであろうと思われた場所に差しかかったが、そこには思っていた以上の起伏があり、おかしいなと思っていたところ、講師から「等高線の間隔は一本が10mなのでそれ以下の起伏は地図上には表せない」と言われ、なるほどと納得。
さて、いよいよ本日の核心、大ナゲシへの登りだ。せり出している岩を左側にトラバースする所が少々いやらしかったが全員スムースに通過し無事に頂上に着く。たまにガスが上がって来たが眺めはまずまずで、地形図と照らし合わせながら両神山や明日登る赤岩岳などを確認した。下りはトラバースを避け、急下降のルートを懸垂下降で降りる。下山後、神山さんの情報から、当初予定していたビバーク地点を、テントを張るスペースも十分にあるトンネルを抜けて直ぐの東屋に変えた。
10月23日
夜中に雷を伴う激しい雨が降り、テントの中で、明日はどうなるのだろうと心配していたが、いざ起きてみると朝焼けも綺麗で清々しかった。今日も赤岩峠までは同じルートをたどり、まずは赤岩岳まで。
午前中は風もありかなり冷え込んでいた。そのせいか眺望の良いところでは、山頂に雪の積もった浅間山や遠くは北アルプスまで見渡せた。こちらのルートも最近はかなり人が入っているようで、赤テープがかなり付けられている。だが尾根に向かうにも巻き道に向かうにも踏み跡があり、読図だけでは判断しにくい所が多々あった。
1583m峰の前衛ではザイルを出しプルージックでの登高。そう難しそうな登りでは無いがゲレンデではなく実戦での登りは初めてなのでやや緊張したが、カラビナのかけ替えなどもなんとかこなせ終了点へ到着。ここでは三回巻きのプルージックで登ってみたが流れが渋く、二回巻きの方がよいことを確認した。その後は登り下りを繰り返してP4からP1まで。こちらもやはりトラロープが付けられているところがあり、そのうち実線ルートになるのではと思われるほど整備されている。
最後のP1も直登したら面白そうな所だったが今回は巻いて八丁峠へ。峠で終了の集合写真を取り、途中、滑のある沢沿いに落合橋まで下山。
今回はルートファインディングやザイルを出しての実戦でのクライミング、そしてあらためて山での歩き方など、二日間とも内容の濃い講習を受けることができました。
【行程】
10月22日 小倉沢登山口(11:00)〜赤岩峠(12:25)〜大ナゲシ(13:50)〜赤岩峠(15:45)〜小倉沢登山口(16:30)
10月23日 落合橋(6:15)〜小倉沢登山口(6:55)〜赤岩峠(8:10)〜赤岩岳(9:00)〜1583m峰の前衛峰(9:55)〜1583m峰(11:10)〜P4(11:35)〜P3(12:30)〜P2(13:45)〜八丁峠(14:30)〜落合橋(15:15)
10月30日(日)
奥多摩/つづら岩 RCT
◆メンバー:金沢和則(講師)、坂口理子、福田洋子、南谷やすえ、松永己幸、伊藤稔、野中達也 神山直三、神森揮要子、小室郁子、小室宏文、牛山和人
◆記録 :牛山和人
本科の講習に初参加した西上州・赤岩尾根では、自分だけが懸垂下降をできずに寂しい思いをした。そこで岩登りは来春の日和田から受講しようと思っていたけど、救助訓練もあるし急遽つづらに参加した。千足の駐車場を出発し500m以上の高度差を、たっぷり汗をかきながら1時間半ほど登り岩場に到着。
まずは金沢講師からダブルロープの技術指導、マルチピッチや懸垂下降の注意点が説明された。しかし今にも降り出しそうな寒空が身体を冷やし、膝をガクガク歯をガチガチいわせながら聞き入った。
続く実践では3人グループを編成、トップがダブルロープでリードしセカンド以後はそれぞれのロープで登る。3組が同じルートを選択したおかげで、先行するグループの様子を見て流れを勉強することができた。それなのにいざ自分の番になるとメインロープの結索にセルフビレイ、どれもスムーズに手が動かない。さらに先行者の使ったホールドやスタンスのことなどすっかり忘れ、ラインを見ることもなく登り始めた。
最初は夢中でホールドをつかみスタンスを探して楽に登れたが、核心部が近づくとそうはいかない。金沢講師にいくつかアドバイスをいただいたが、ついには行くことも戻ることも出来なくなってしまった。手探りで次のホールドを探すが、つかんだ方の手は疲れてくるし膝はガクガク震えて言うことを聞かない(この記録を書くためにあの時のことを思い出してみると、今でも手のひらにびっしょり汗をかきます)。まだ1ピッチ目の前半なのに最後の力を振り絞ってなんとか核心部を抜けて1ピッチ目を登り終えた。2ピッチ目は確か後半が垂壁だった気がするけど、正直言うとどうやって登ったのか憶えていません。
最後はいよいよ50mの懸垂下降が待っている。ところが下降の準備中に押さえ手を放してしまった。補助ロープをセットしていただいたおかげで落ちなかったが我れながらこんな初歩的ミスは情けない。下降し始めると途中壁が無い場所もあって空中懸垂になったがなんとか無事降りることができた。
最後は終了点でロープを回収していただき担いで下りてもらったりしたため岩場で日没をむかえた。それから全員がヘッドランプを装着して下山、思いもよらずプチカモシカを体験することができた。
次回は全ての動作が無駄なくスムーズに流れるようイメージトレーニングや練習を行なおうと思う。そのためにもホールドやスタンスを素早く見つける眼力と、少しだけ軽い身体が欲しいと感じた。
最後になりますがアドバイスをしていただいた皆さんと金沢講師、本当にありがとうございました。
【行程】 武蔵五日市駅集合(8:15)−千足駐車場(9:00)〜つづら岩講習(10:30/17:50)〜千足駐車場(19:00)