■自主山行の記録
10月1日(土)
日和田 RCT
◆メンバー:福島彰男(L)、工藤寿人、宮下卓宏、伊藤由以
◆記録 :伊藤由以
日和田に、岩登りの総合的な練習に出かけました。巾着田の彼岸花祭りの最中で、高麗駅は驚くほどの人であふれかえっていました。
前日『行かれないかも!』という冷たい工藤さんの言葉に残念さを隠せず、肩を落とし?高麗の駅に降り立った私の目に飛び込んできたのは…駅前のベンチに『田村正和』よろしく足を組んで座っている工藤さんでありました!よかった〜。予定どおり、全員集合!
岩場に着き、福島さんにバルジにトップロープをセットしてもらい、サクッと登る練習を始めたところ・・・知り合いに出会い、限定登りにはまり込み、練習は盛り上がってしまいました。
本日、みょ〜に頑張って登り続ける宮下君の後押し&特訓をするべく、全員が総力をつぎ込み、あっという間に一日の練習は終了となりました。
岩登り終了後、巾着田でお花見をし、自分の登りが納得できずものすご〜く悔しがっている宮下君を励ます会を開き、再び盛り上がりました。メンバーのせいでしょうか、いったい何度盛り上がるやら!シワが激増しそうな、楽しく・内容豊かな・ハード?な一日となりました。
最後に・・・ 『宮下君は、遠足のオバ様たちにはモテルけれど、ジョッキはモテナイほど登りこみました!』by Kudou。
【行程】 高麗駅(8:40)〜日和田にてトレーニング〜終了(16:00)
10月1日(土)
奥多摩/後山川 三条沢
◆メンバー:南谷やすえ(L)、伊藤栄子、久野眞由美
◆記録 :久野眞由美
午前7時15分、JR奥多摩駅前。電車で集合するIさん・Mさん両名を迎えに出るべく、バタンと車のドアをオートロックで閉めた瞬間、「しまった!!」と血の気がひいた・・。イグニッションには、無情にも車のキーがぶらぶらと揺れている・・。
そーです。車のキーを車内に閉めこんでしまったのです。スペアキーをつけた財布は、この時に限って持って出なかった・・。かくして「三条ノ湯に泊り、三条沢と青岩谷を楽しむ1泊2日秋の沢自主」は、私の一瞬の不注意によりハプニングからの幕開けとなりました。
JAFの到着を待つこと1時間半。いざ到着のJAFのお兄さん、まずは颯爽と鍵穴へピッキング的なアプローチ。しかしこれがダメで、今度は強力吸盤とゴム製くさびを取り出し窓に隙間を作り、金属棒を差し込んで車内からカギの解除を試みる。が、うまくいかず、更なる試みはイグニッションにぶらさがっているキーを抜いて持ってくるという技。これも虚しく、キーが回り車の電源が入っただけ。万策尽きたかと思いきや、再度ピッキングをチャレンジして、これで万歳!!やっとカギが解除されました。見ている方も手に汗握るJAFの格闘30分。JAF様様、感謝・感謝。(会員は料金無料!)お待たせしたIさん・Mさんにはホントに申し訳なかったです。(御両人、JAFの車の工具箱から勝手に道具を引っ張り出して、いろいろ協議されておられましたが・・^^!)
せっかく早い集合としたのに波乱の幕開けにより、後山林道に駐車して歩き始めたのは、もう11時近くとなってしまった。三条ノ湯への登山道に入ってすぐの青岩谷橋から、三条沢に入渓。緩やかな沢をしばらく歩くと、まずは大きな釜を持つ4m三条大滝。釜は深いぞ・取り付くには結構水に浸かるよ、これは。本日晴天とはいえさすがに10月、水は結構冷たいよネ・・ということで、巻き。その後は、小滝や滑滝があり多少濡れながらも楽しく登れた。カンバ谷出合を過ぎると、すぐに6m銚子ノ滝。スッパリ断ち切れたようなトイ状の直曝で直登不可。滝を充分愛でた(?)のち、左岸を巻いた。ワサビ田跡が現れたかと思うと、ここは三条ノ湯のキャンプ指定地となっていて水場もあった。見上げると、こじんまりとした三条ノ湯の小屋が見えていた。
三条ダルミへの登山道の橋を越え、送水管沿いに登って二段4mの滝。桂沢が滝を落とす出合を過ぎると、8m滑滝。トイ状で水流は比較的あるので、へつりも交えて登る。そして二段6m滝。これらは、思い思いのルートを楽しく登って行ける。その後はしばらく、穏やかなゴーロが続いた。
入渓が遅かったので、時間を勘案して狼谷出合の手前で遡行を終了し、本日の泊りとしている三条ノ湯へ登って来た沢を下降した。この時には沢に日が入り、きらめく沢を楽しく下っていく。日の光で沢の風景はガラっと変わり、なかなか趣き深い。
遡行・下降とも、ロープを出す状況はなしの癒し系(?)沢でした。雲取山の懐、入渓から広葉樹林の林相が広がり、気持ちのいい沢。泊りとした三条ノ湯の小屋も、素朴ながらも小奇麗で、食事も山の幸豊富。たまにはゆるゆると、こんな沢もいいものですね。(いつもだったりして?)
【行程】 JR奥多摩駅(9:40)〜後山林道終点付近(10:40/10:50)〜青岩谷橋(11:05/11:20)〜狼谷出合手前(13:45/13:55)〜三条の湯(14:30)
10月2日(日)
奥多摩/後山川 青岩谷
◆メンバー:南谷やすえ(L)、伊藤栄子、久野眞由美
◆記録 :伊藤栄子、南谷やすえ
(伊藤栄子)
今回の山行で非常に緊張し、印象強かったところを記しました。
気温の高い日で水に浸かってもそれほど冷たくなく、さりげなく入渓しさりげなく青岩大滝まで進んだ。
大滝は水量も多く、一段目20mが垂直に落ち、左岸ルンゼから高巻きに入る。一足一足を慎重に進め、滝の高さに気を配りながら左側のブッシュ(軽め?表現が難しい、そんなにたいへんではないということ)に踏み跡を見つけトラバースした。回り込むように進むが、傾斜がきつく足を置く際に神経を使った。
踏み跡はふんだんにあるが、進み難いと感じる所は1段下がり(それが非常にいやらしい!)、さらにトラバースを続けた。
ザレたルンゼにぶつかり、前方を確認すると岩場で登るのがむずかしい気配の為、私はルンゼ際から更に10mほど高巻きを続け、K野、M谷両名は手前の多少傾斜が緩そうな所から上がって行った。高巻きは上がりすぎると、沢に戻るのがたいへんになるが、予想以上に高く上がる場面を経験した。
大滝上流のルンゼ際の笹藪を笹をつかみながら下降し、10mほどは大須走りの様に降りた。この高巻きに要したのは、歩いた距離約500mあったな?そして1時間たっぷりかけました。
数箇所の釜では岩魚が姿をちらつかせ、最後に見た大物は釣り上げると30cmはあるらしく、大滝の下で50cmの大物を釣り上げた人がいたそうで、別名岩魚の沢と呼ばれているそうだ。
獅子岩谷に入り、やさしい表情のナメ滝が続き、作業小屋を過ぎると水は涸れた。
忠実に沢をつめ、『ブヒョ―』たどり着くと地形図よりも100m低い位置に我らが目指す登山道があった。
(南谷やすえ)
三条小屋を7時に出発。青岩谷橋のたもとから入渓。のんびりとした河原が続く。紅葉の頃はきれいだろうなあ。
夏ならばもっと水とたわむれるところだけれど、10月。今日はたぶん今年のわらじ納めです。
しばらく歩くと12mの大滝。大きく高巻く。結構苦労した。でも、こういうところが沢のおもしろいところでもある。
小さな釜を注意深く見ると、30cmはある魚!ぜんぜん逃げない。10月に入り、禁漁期間になったのを知っているな。あとで三条小屋のおじさんに聞いたら岩魚だろうということで、尺イワナも時々あがるそうです。途中青岩鍾乳洞の看板あり。どんなとこだろうと思ったが探検はしなかった。
獅子岩谷に入り、つめていく。あと100mくらいのぼるかな、と、つめていたらしっかりした登山道にでた。ここでいいのかと考えていたら登山者が通り過ぎていったのでよしとした。再び三条小屋まで戻り、青岩橋まで戻り、後山林道で車に乗り、奥多摩駅へと向かった。しみじみした良い沢だった。
【行程】 青岩橋(7:25)〜青岩大滝下(8:45)〜大滝上流(9:45)〜青岩鍾乳洞下(10:05)〜二俣(11:10)〜わさび田跡(12:00)〜登山道(12:45)〜三条小屋(14:15)
10月2日(日)
奥多摩・奥秩父/三峰山表参道〜雲取〜石尾根 トレイルラン
◆メンバー・記録 松本善行
印象に残ったこと
・前白岩山通過直後、木の根に足を引っ掛け、派手に転んで手足擦過傷。雲取避難小屋で、血だらけの足にスポーツドリンクを吹きかけていたところ、心やさしい登山者より、丁重にお断りしたにもかかわらず、濡れティッシュと三角巾を頂いた。そのご好意にとても感謝している次第。
・下山後、奥多摩駅前で山塾おんな三人衆に出会ったこと。
【行程】 大輪(奥秩父縦走路起点)(8:50)〜三峰神社(9:40)〜霧藻ヶ峰(10:35)〜雲取山(12:20)〜鷹ノ巣山(13:55)〜奥多摩駅(15:20)
10月8日(土)〜10月11日(火)
関西/台高山脈縦走
◆メンバー:黒田記代(L)、福島彰男
◆記録 :黒田記代
前泊地はできたら明神平でということだったのですが、私の都合で大又林道終点22:00になってしまい、タクシーを降りた所でテントを張ることになりました。
後々、明神平に上がる2時間がその後の行動予定の遅れとなってしまいました。この時は、あすから出発を早め、暗いうちから歩きはじめたら遅れは取り戻せると思っていましたが、実際には真っ暗ではルートが判りづらくて、歩けませんでした。
10月8日
4:30出発。始めしばらくは林道歩きでよかったが、やがて沢沿いの道に入った所で、暗いので道がよくわからなくなってきたので、少し明るくなるのを待つ。5:30になると山道の様子が見えるようになり、再び歩き始める。テントを出る時、霧雨だったのに明神平に着く頃には本格的に降り始める。
雨の中、明神岳〜千石山〜赤倉山と進み、池木屋山への登りでかなり時間がかかってしまった。ホウキガ峰を過ぎたあたりで15:00を回ったので、そろそろテント場を考えながら歩く。水場のある平地ということで、できるだけ進んだ地点を目指す。いよいよ16:30ともなると暗くなり始める。(雨のためガスっていてなおさら暗い)平になってきたのでこの辺にテント張ろうかと相談する。ぬかるみに熊の足跡発見。こんな所はいやなのでもう少し進んで、近くに沢のありそうな平地をみつけたので、テントを張った。多分、ここも熊が通る道だろうと思うが仕方がない。熊も沢に水を飲みに行く通り道なんでしょう。一日目に予定していたテント場の霧ノ平からコースタイムにして2時間手前?
沢筋を降りて、水を汲む。夕食もすんでシュラフに入り休みかけた頃、外で枯れ木を踏む「バリッ」という音。熊だ!。だんだんテントに近づいて来る。そして息遣いが聴こえる。間違いなく熊だ。実際に目で見て確認したわけではないが、2人で間違いないと確認しあう。声なんて出せない。ひたすらじっとして、音を出さないようにするのが精一杯。早く何処かに行って欲しい、と願うのみ。やがて物音がしなくなりホットする。一つへッ電をつけて、テントの中央部にぶら下げて寝た。寝るが勝ち。
10月9日
4:00起床。5:30出発。
一晩中雨が降っていた。起きた頃は霧雨であったが、歩きはじめる頃には止んだ。昨日のように予定のテント場に行けなくても水さえ確保できていれば、どこにでもテントが張れるので、次の水場(霧ノ平)でまず行動中の水とテント食用の水2リットルを各自汲む。
なんとか雨も上がり歩くが、ザックが重いせいか、なかなかコースタイム通りに歩けず時間がかかる。ほぼ稜線を行くが、登って下っての繰り返し。かなりきつい。
もうすぐ山ノ神の頭というところで暗くなってきた。ここで初めて人に会った。2人グループで彼らは山ノ神の頭から下って来た。下の鞍部でテントを張るという。我々は山ノ神の頭山頂にテントを張ることにした。予定より、コースタイムにして3時間半の遅れか?夕食は外で作って食べた。
今晩も、テントの外で熊かなんか判らないが、動物がガサガサ音を立ててテントの周りにしばらくいた。その物音がしなくなるまで、寝つかれなかった。福島さんは気づかずに寝入っていたようです。(福島さんは毎晩睡眠導入剤服用)
10月10日
4:00起床。5:30出発。
夜半から雨。テントを出る時、本格的な降りに。一日中雨。
出発してから2時間半ほど歩いた所からルートを見失う。テープマークを頼りに歩いて、分岐点を間違えてしまった。後で判ったことだが、正しい分岐点にはちゃんとここで曲るというメッセージがあった。間違って真っ直ぐ進んでもしばらくはテープマークが続いていたので、間違っているとは思いもよらなかった。でも、途中からテープマークはなくなるし、ルートもおかしくなってきて、おかしいと思い始めた。進むべき磁石の方向にそれらしい道がなくなってきたが、テープマークが所々にある。後で気がついたがテープの色が違っていた。おそらく我々と同じように迷った人が付けたテープだったのだろうか。間違ったと思い少し元に戻ってみるが、テープマークがあるしネと言いながら右往左往して道を探した。福島さんがやっとGPSで今居る地点を捉え、ルートから逸れていることが判り、来た道をさらに戻って、やっと正しい分岐点を見つけることができた。正規のルートに戻るのにかなりのロスタイムとなってしまった。ホッとして歩きはじめて一時間しないうちに、テープマークを頼りに進むと又道がなくなってしまった。おかしいおかしいと言いながら道を探すが見つからず。そうこうしているうちに福島さんが雨量計を発見。インターネットの山行記録の中で、水場の近くに雨量計があるという記事があったと福島さんが思い出す。それで、今居る所が1082mのキャンプ適地であると判断。もうすぐ12時になる。このまま行っても今日中に下山できないことが判明。地図を見ると、すぐ近くに林道が走っているので、林道に出た方が少しでも早く下山できるかと思い、行ったがその林道は崩壊していて降りられず、予定通り大台辻〜大台ケ原に進むことにした。この時点で一日下山が遅れることを覚悟し、先ほどの雨量計のある地点に戻りました。15:00。
疲れも相当あり、今日はこの辺でテントを張ることに決め、水場とテント場を探して辺りを歩き回った結果、キャンプ地と水場の標識を見つけ、そこにテントを張った。この日の行動で進めた距離は僅かだった。食料は十分にあった。夜中中ずっと雨。熊が出そうな所なので、今晩はラジオをずっと掛けたまま寝た。
10月11日
4:00起床。5:30出発。
朝になっても激しい雨は止まず。昨日のうちにルートを探しておいたので、そのルートに従って歩き始める。テープマークがしっかり付いていて、今日はほぼコースタイム通りの時間で歩いて、大台辻14:30に到着。あと2時間で川上辻に出て終了点となるので、ひと安心したのもつかの間、大台辻から川上辻までは赤線ルートの一般登山道なので、そのつもりで歩いていると倒木帯に行き当たってしまった。この辺りから道が不明瞭になってきた。
福島さんがインターネットで、大台辻と川上辻間が昨年の台風で道の一部が崩壊しているが何とか通れるという情報を得ていた。何とか通れるということだったので、計画段階でこの道を行くことにしたが、実際に行ってみるとだんだん道が不明瞭になって来た。人があまり歩いていない様子。で、このまま行って引き返すことになると、時間ロスとなるので、大台辻まで戻って、別ルートを行くことにしました。この別ルートの道は確実に通れるが、時間が3倍かかる。もう今となっては時間がかかっても確実に下山できる道を行くことに決めた。
疲れもピークに達していたこともあり予想以上に時間がかかり、大台ケ原に下山したのが22:00になってしまった。
10月10日 12時の時点で下山予定時刻に下山でき」ないことが判った時点で、何とか連絡しなければと携帯電話をかけたが圏外で通じず。今回無線は持ってこなかった。
10月11日もあちこちで携帯電話を試してみましたが、圏外。最終的に大台ケ原に下山しても通じないことが判り、公衆電話を探して右往左往。やっとビジターセンターに人を見つけて、電話をお借りして、金沢さんに連絡を入れることができた。
テープマークに引きずられてルートを間違えるミスを犯してしまいました。もちろん地図と磁石でルートを確かめながら歩いていますが、幅広い尾根から枝尾根がいっぱい出ていたり、二重山稜になっていたりで、出だしを間違えると違った方向に行ってしまうので、確認の意味でもテープマークを頼ってしまいました。
歩くペースが上がらず計画通りに進めないうえ、途中ルート間違いによるロスタイムがあったりで、下山が遅れてしまいました。結果的には大台辻までは、すべて予定通りのルートをたどることができました。雨にもかかわらず秋山縦走を堪能できた山行でした。又機会があれば行きたい縦走路です。
【行程】
7日 近鉄・榛原駅(20:40)(タクシー)〜大又林道終点(22:00)(テント泊)
8日 テン場(4:30)〜明神平(7:30)〜明神岳(8:00)〜千石山(10:00)〜赤倉山(11:30)〜池木屋山(14:10)〜ホウキガ峰〜1258m地点(16:30)テント泊
9日 テン場(5:30)〜弥次平峰〜霧ノ平(9:00)(水くみに行く)〜馬ノ鞍峰(11:00)〜地池越(14:30)〜父ガ谷越〜山ノ神の頭(16:30)・テント泊
10日 テン場(5:30)〜1164m付近??(8:00)〜1082m付近(15:00)(キャンプ適地)・テント泊
11日 テン場(5:30)〜父ガ谷高(7:30)〜振子辻(10:30)〜(12:00)〜添谷山(13:00)〜大台辻(14:30/15:30)〜粟谷小屋(17:30)〜日出ガ岳(21:00)〜大台ケ原(22:00)〜大台ケ原ビジターセンター(22:30)公衆電話から金沢さんに電話
10月9日(日)
東北/早池峰山
◆メンバー:山野美香(L)、山野昭人
◆記録 :山野昭人
東北自動車道、北上江釣子(きたかみえづりこ)インターを降り、釜石街道を1時間ほど走ると岩手県遠野市に至る。人口3万3千人ほどもある市とは思えない、懐かしさにあふれた静かな土地柄で、住居と馬舎が鍵の手につながった曲家、柳田国男の遠野物語に代表される民話、そしてなんといっても昨年新聞ネタにもなった河童で有名なところだ。テレビ番組でも河童淵で河童を見たというおじいさんが何度か紹介されたこともある。
今回の登山の基地となったのは、遠野市の観光名勝である「伝承園」の隣、「河童淵」への入り口がすぐ向いという絶好の立地にある、長龍商店という友人の家。ご夫婦が東京在住の頃から行き来をしていた関係で、今でも毎年のように訪問している。遠野に行くたびに、日本百名山のひとつである早池峰山にいつかは登りたいと思っていたが、今回ようやく実現させることができた。
遠野市から北側を望むと薬師岳、角度によって早池峰山の頂を望むことができる。遠野物語によれば「初めて早池峰に山路をつけたるは、附馬牛村の何某といふ猟師」だそうだが、それから数百年、今では国定公園にもなっており、登山道入り口の河原坊には立派な駐車場を備えたビジターセンターがあった。8時に到着したときには、残る駐車スペースは数えるほどになっていたのには驚いた。浦和ナンバーの大型バスまで来ている。さすが百名山!通常は河原坊からピストン、もしくは小田越に下山するのだろうが、今回はまず小田越まで紅葉に色づき始めた林道を歩き、河原坊に下山することにした。林道を歩いていくと、谷という谷のほとんどに水音が響いていた。
小田越に到着すると「早池峰山」「小田越登山口」の石碑がある。二つの石碑の間を抜けて登山道に入った。天候は晴れ時々曇り程度だったが、昨晩雨が降ったわけでもないのに登山道がなんとなく湿っている。途中水が流れているようなところもあった。水量の多い山なのだろうか。30分ほど登っていくと、すぐに森林限界となった。東北の山の森林限界の低さを実感した。
早池峰は御影石の山ともいわれているようだが、この辺から露岩が目立ってくる。大きな石畳に乗ったところで振り向くと、薬師岳の北面が視界一杯に広がった。遠野側から見る南面はまだ緑が濃かったが、北面は紅葉真っ盛りとは言えないまでも深い赤や黄色が点在し絶景だった。ここでしばし地元のおじさんにつかまる。ひどい東北弁で何を聞かれているのか判らずきょとんとしていると、山野(美)が答えているではないか。私は半分くらいしか理解できなかった。
10分くらいの話の後また登り始めると、ボルダリングに良さそうな大岩がところどころにそびえている。「こんな岩が庭にあったらいいね」などと言いながらお気楽山行は続く。登り始めてから1時間程で五合目の看板を見たときには、さすが百名山になるような山は大きいと関心したが、上を見ると先があまりないように思える。「手前のサブピークが見えてるのかな」などといいながら登ること30分。平な所に出た。やたらと人が居る。まさか頂上のハズがないと思いながら小屋の看板を見ると「頂上小屋」と書いてある。あの五合目はどこから五合目なんだろうか。頂上の避難小屋はとても立派で、二階建てになっていて、夏に泊まった北岳肩の小屋の別棟を超立派にしたくらいはある。山小屋といっても良いくらいの設備だった。頂上でお湯を沸かしてゆっくりとお茶を飲み、早池峰神社で写真を撮った。
下山は予定通り河原坊方面をたどった。頂上付近は結構な急斜面だ。コメガモリ沢が頂上付近からまっすぐ南に麓まで延びていて、登山道はこの沢の両岸に沿っているため、降りても降りても頂上を望むことができる。滝こそないけれど、山頂目指して紅葉の沢登りも悪くないかもしれない。徒渉も4〜5回程度あり、雨天で水量が増すと下山しにくいのではないかなどと考えながら渡った。
下山開始から2時間程度で河原坊到着。スケールは小さいがそれなりに楽しい山だと思った。冬にはどうなのだろうか。どの程度雪が積もるのかにもよるだろうが、小田越まで車は入れないだろう。たとえ入れたとしても小田越からのルートは広い南側の尾根を登ることになるので、特に頂上付近は雪崩がありそうだし、河原坊からの沢沿いのルートはもっと危なそうだ。岳から鶏頭山を経由して中岳を越えるルートが安全なのだろうか。
冒頭の長龍商店の東隣、今はりんご畑になっているところに、朽ち果てた鳥居がたっている。昔はここが信仰の山、早池峰山への登山道入り口だったとか。ここから歩き始めたら結構遠い。直線距離にして20キロくらいだろうか。来年はこれに挑戦か?
【行程】 土淵(6:30)〜河原坊(8:00)〜小田越(8:30)〜5合目(10:30)〜山頂(11:00/11:40)〜河原坊(13:40)
10月15日(土)〜10月16日(日)
那須/朝日岳東南稜
◆メンバー:野中達也(L)、松永己幸
◆記録 :松永己幸
前回の槍ヶ岳縦走をしたとき落石を起こしたという苦い経験がある。これを克服したいという思いがあり、ガレ場歩きの練習をするため今回の企画のルート変更をリーダーに申し出た。それが那須朝日岳東南稜ルートである。
駐車場から破線ルートを通り、取り付きまで向かう。破線ルートではあるがよく踏まれた立派な道である、但し若干の藪漕ぎがある。取り付きは明礬沢上の堰堤であるが、雨が降り出してきてしまった。尾根をできるだけ忠実に辿ることとする。この岩場は怖い。ピナクル状の岩に取り付くが頭2〜3個分の岩がボロッと取れそうになり、そーっと元に戻す。足元が不安定で思わずミシンを踏みそうになる。ロープを出さなくてもクライムダウンできるかなぁと思えたが切れ落ちていたので懸垂下降する。ガレ場歩きの練習をしに来たのに早速落石をする。下に登山道がなくて良かった。あと一歩で山頂というところで簡単に登れそうなルートもあったがハングにチャレンジ、悔しいけど登れない。スリングで引き上げてもらった。山頂にはギャラリーが多く、山頂からは鬼面山と隠居倉の紅葉が一望に見渡すことができた。予定時間を過ぎていたので、急遽、隠居倉に向かう。地図読みの復習を行い、現在地の特定をし、下れそうな尾根からルートファインディングしながら行くということになり、楽しい藪漕ぎを開始するが予想以上に笹が深く前進を断念する。エアリアには熊出没注意とありやめて良かったのかもしれない。
翌日姥ヶ平まで落ち葉拾いをするが紅葉する前に落葉していた。ガレ場歩きの一環として登山道ではなく涸沢を歩く。途中溶岩でできた岩山がありトップロープで遊ぶが見た目と違いホールドが不安定でビレー中石がボロボロ落ちてくるという状態だったのでとても怖かった。硫黄を含む水蒸気の噴煙の隣から茶臼岳山頂まで登ることにする。風向きが変わらないことを祈った。このルートはひどいガレ場の急斜面だったので、少し登るのにも苦労した。山頂手前、硫黄が噴出した跡と思われる草一つ生えていない岩場は銀一色に染められていて、生命を拒む死の世界を予感させられた。一方山頂はロープウエイで来られるだけあって、サンダルに毛が生えたような靴やスカートで上がって来ている人がいたのには驚いた。
今回の大きな目的の一つはガレ場歩きだが、上達するには更なる練習が必要であると痛切に感じた。風は強そうであるが東南稜はアイゼントレの一つとして雪の時期に来てみたい。
【行程】
15日 駐車場(8:10)〜東南稜取り付き(9:20)〜朝日岳山頂(12:20)〜隠居倉(14:30)〜三斗小屋(15:30)
16日 三斗小屋(8:00)〜姥ヶ平(10:00)〜溶岩岩(12:00)〜茶臼岳山頂(13:30)〜峰ノ茶屋(14:00)〜駐車場(15:00)
10月15日(土)〜10月17日(月)
南アルプス/鳳凰三山
◆メンバー:久野眞由美(L)、伊藤栄子
◆記録 :伊藤栄子
10月15日
バスで最寄駅に着くと乗車予定の車両が停車しているため、慌てふためき改札に駆け上る。
と同時に、監視カメラに映る電車が滑り出て行った。『ウギャ―!』駅員を目の前にして、ブツブツ独り言を呟きながら、頭の中を段取りが駆け巡った。が、甲府駅到着時間を確認し、リーダーに連絡しチョット落ち着いた。
場面は変わり、夜叉神登山口駐車場は、紅葉の時期にしては車の数が少なかった。
夜叉神峠テント場は整地ができていたが、ペグ変わりに使える石が殆どなく、大小集めても一張り分ほどだった。
10月16日
小雨の中出発し、樹林帯の整備された登山道を高度を上げていった。シラビソ原生林の中に紅葉した木々が明るく感じる。
苺平から下りて行くと、目の前にブルーの広い物が目に飛び込んできて、(プールかと思えるほどの大きさと色)それは南御室小屋の屋根だった。
湧き出ている南アルプスの天然水を補充し、薬師岳に向かい一時間程で森林限界となり、白砂と岩の稜線に出た。
薬師岳小屋手前のピークを過ぎると、叩くような音が響き、ガスの中に落葉した真っ白で曲がりくねった木が、幻想的な風景を創っていた。(響いていた音は、小屋番のお嬢さんが薪割りをしているものだった。)
そして、白砂の斜面と巨岩を積んだ様子の薬師岳を目の前にした。白砂のザレ道を行き、岩場では踏み跡とルートマーカーを確認し進む。
2500mを過ぎてくると、少しの登りでも一歩一歩が重く感じられ呼吸が苦しい。
観音岳山頂には、仏像と観音像が安置されていた。
鳳凰小屋分岐で、地蔵岳からテント場に入ることに変更した。鳳凰峠分岐までの高度差50mは私にとって、今回最大の難所になり、岩場を上がるのに非常に体力を使い、ヘトヘトになった。(テントに着いて、チューハイを2口飲んだ途端、高度障害と思われる吐き気に襲われ、食事が摂れなかった。)
地蔵岳山頂には、多くのお地蔵様が安置され、堂々としたオベリクスがそびえ立ち、男性が一人しゃがみ込み、手元で何かいじっていた。(祈祷?お払い?と思った。)近づくと、オベリクスをバックに写真を撮るために、カメラをセットしていたのだった。が、タイミング良く私達に出会ったので、K野さんが撮影してあげたのでした。
そして、豪雨にでもなれば、岩が流れ落ちそうな斜面を、『ここの登り返しはきつい』と言いながら、テント場に向かった。
テント張りに石は使用禁止で、石などなかったが、ペグも持っていず、小屋所有の物を借りた。
10月17日
予定変更し、落葉松の黄色が綺麗な尾根を、雲海に浮かぶ八ヶ岳や岩肌を見せる甲斐駒ヶ岳を眺めながら燕頭山経由で御座石鉱泉にむかった。
バスで韮崎に出るつもりが、道路に岩が落ち運休になってしまい、タクシーを頼んだところ、鉱泉の自家用車で割安料金で穴山駅まで送ってくれることになり(岩崎さんのネームバリューが効いていました。)無事、夜叉神に戻ったのでした。
【行程】
15日 夜叉神登山口(13:30)〜夜叉神峠(14:30)〜高谷山往復(15:10)〜夜叉神峠(16:00)
(幕営)
16日 夜叉神峠(5:50)〜杖立峠(7:40)〜南御室小屋(10:00)〜薬師岳(12:05)〜観音岳(12:50)〜地蔵岳分岐(14:05)〜地蔵岳(14:30)〜鳳凰小屋(15:10)(幕営)
17日 鳳凰小屋(5:40)〜御座石鉱泉(8:50)
10月29日(土)
秩父/二子山西岳中央稜
◆メンバー:伊藤栄子(L)、伊藤幸雄、久野眞由美
◆記録 :久野眞由美
「曇りのち午後から雨」、という微妙な天気予報。当初の計画より集合を早めて、雨に捕まらないうちに何とかしよう、ということになった。が、予報とは裏腹に、登り始めるとどんどん青空が広がり、結局下山するまで雨に祟られずに済んだラッキーな1日となった。(教訓:行ってみなきゃ、わからない)
3人のマルチピッチなので、取り付きでまずはピッチ毎のロープの交換手順を確認した。Y氏は3回目、Eさんは2回目、私は初めての二子山中央稜。ワクワクドキドキ、緊張半分・期待半分のスタート。
1P目、リードEさん、私、Y氏の順。Eさんが、逡巡しているところがあるのを下から見て「私、登れるのかなあ?」と次第に不安になってきた。登ってみると・・・やはり。安全第一、ためらいなくA0。
2P目、リード私、Eさん、Y氏の順。次の支点、次の支点を見ながら、とにかく登る。ランニングを取って1〜2歩登った後で、もうちょっとロープの流れを考えた方がいいな、カラビナゲートの向きも次のロープの流れを読んで考えた方がいいな、と反省。ビレイ点に何とか辿り着き、支点を構築。頭の中では順次の手順が先行するが、手がもたつく。支点を作り確保体勢を作りながら、「こんな支点の構築も考えられるなあ。」なんて迷いもあったりして、「ビレイ解除。」と声を掛けるまでが、ものすごく長く感じられた。(実際、長かったと思います)スムーズで確実、迷いのないロープワークをせねば、と反省。
3P目、リードEさん、私、Y氏の順。後続の3人パーティにここで先行してもらう。(このうちラストの女性は、何と!妊婦さんでした!「(出産までの)最後のマルチです。」と爽やかに登っていきました。素晴らしい!)クラック・凹角をずりずりと、使えるものは全て使い(?)、登る。大きなテラスに出て小休止。
この頃にはすっかり晴れて、紅葉した木々が点々とアクセントとなって綺麗。振り返ると、両神山のゴツゴツした山容が眼前にあった。
4P目、リード私、Eさん、Y氏の順。クラックでも凹角でもないので、何とかクリア。やや広めのビレイ点で、2P目の時よりも落ち着いて支点構築・確保ができたが、やはり「スリングはもう少し短くした方がいいかな。」などの迷いが頭をよぎる。煩悩のない(?)ロープワークを、と反省。
5P目、リードEさん、私、Y氏の順だったが、フェース沿いに直上するルートを取り、左のフレークを使い乗り越す所で苦戦。選手交代したY氏のリードで突破。続く私は、問題の個所は2〜3トライでとっととあきらめ右に回り、スタンス・ホールドがたくさんあるが脆い所をおっかなびっくり這い上がる。ラストEさんは、再度トライで見事に越えていった。
青空が隠れ厚い雲が出てきた6P目、ラストで登って来たEさんがそのままリード、Y氏、私の順で、雨の来ないうちに、と少し気ぜわしく登る。(が、ラストの私は少々途中でもたつく・・。反省)
7P目、ほとんど階段状なので、ラストで上がった私がリード、Eさん、Y氏の順。頂上稜線の終了点に上がった時は、気持ちよかった。上がって直ぐに目に付いた岩でビレイ点を取ろうとして、その後に奥の木の方が確実・しかしロープの流れは悪いかな、と逡巡したりで、一発で煩悩のない支点構築をせねば、とまたまた反省。
リードでは反省多々、セカンド・ラストの登りではこれも反省多々。長らくお待たせしたY氏・Eさんには申し訳なかったですが、今後の課題も明確になったマルチピッチでした。再トライして、もう少しスムーズに二子山中央稜をこなしたい、と思います。
ゲレンデのマルチピッチ練習では見えてこなかった部分がちょっと垣間見られた気もして、更に次へ繋げるにはいい土俵なのではないかとも思いました。
【行程】 芦ヶ久保(7:35)〜林道駐車地点(8:45/8:55)〜中央稜取り付き(9:15/9:35)〜横断バンド(11:48/12:00)〜中央稜終了点(14:30/14:50)〜駐車地点(15:40)
10月31日(月)
広沢寺 RCT
◆メンバー:伊藤栄子(L)、久野眞由美
◆記録 :伊藤栄子
【ルート】
1. プレゼントファイブ
体の動きが悪い為、一足一足を丁寧に置き、2ピッチで登った。
2. クラックルート
クラック最初の上がり込みに、スリングを使用した。
3. 一般中央ルート
リードを交代し、2回行った。
【課題】
1. 小さいテラスで、ロープを垂らさないように気をつけて操作すること。
2. ロープを手繰りあげ、確保器をセットし、セカンドをビレイするまでの時間の短縮。
3. 終了点で、懸垂の準備のロープワークをスムーズにすすめる。
【行程】 開始(10:00)〜終了(15:00)