講習山行の記録
2005/7/3(日)
奥多摩/岳嶺岩 夏山サバイバル訓練
◆メンバー 金沢和則(講師)、工藤寿人、松本善行、横川秀樹、山野昭人、山野美香、福田洋子、 伊藤幸雄、伊藤栄子、南谷やすえ、久野眞由美、坂口理子、沢口千鶴子、渡部吉実、 福島彰男、黒田記代、阿出川忍、尾久一朗、野中達也、小室宏文、小室郁子、松永己幸、本多美貴子
◆記録 野中達也
今ひとつはっきりしない天気だが、雨の心配はなさそうな朝だ。本科生の数人で岳領岩に着くと、既に金澤講師はじめ先輩方が今日のサバイバル訓練講習の準備をしてくださっていた。今日のメニューは大まかに、
(1) エイト環を使用しての仮固定から自己脱出(ロープ登高)、実際に懸垂下降途中での仮固定
(2) 砂袋に重りを詰め、それをトップのクライマーに見立てての墜落衝撃体験及びビレイヤーの脱出
(3) 沢の徒渉(末端交換三角法)
の3本立てと、非常に濃い講習内容である。早速2班に別れて講習を開始する。
(1)では、エイト環にロープを通す方向と利き手、それに対し仮固定するためにロープを巻きつける方向との関係を一から教えていただき納得できた。また、巻きつけるロープを最初に手に取る場所(長さ)が仮固定をし易くするポイントだと実感した。
自己吊り上げでは、スリングの長短で一度のアクションにおける登高量は変わってくるが、個人の体格、腕(筋)力、柔軟性等により、その人に合ったスリングの長短が導き出されるのではと思った。
(2)では、とにかく緊張した。一人の衝撃体験者のために大勢が力を合わせてダミークライマーを引き上げ、そして墜落させる。私の場合は正直引っ張り上げられるほどの衝撃は感じなかったが、ビレイから脱出までの手順を一通り行っている最中は皆の視線が突き刺さるようであった。ある意味パニック時と似た状況かも、などと思ったりして・・・。
(3)では、股下ほどの深さの流れを3名1組で徒渉した。晴天時ならばかなり気持ち良さそうだが、当日は沢に入るには少々気が引ける天気だったので、内心徒渉訓練・後組で良かったと思った。
大掛かりな引き上げシステムの構築や肌寒い中、最後の講習生が徒渉し終わるまでじっと待っていてくださった講師はじめ諸先輩方、本当にありがとうございました。
実感として、この講習は普段の山行的内容とは明らかに質が違った。あってはならないが万が一の場面に遭遇してしまったとき、そのとき本当にこの私がその危機を回避あるいは脱出できるのだろうかという疑念を持ったのだが、答えは「ノー」である。
しかし決して無意味だったなどと言っているのではない。この講習はサバイバル術のほんの入り口を見つけのだと思う。勉強したことを忘れずに(できるだけ!)、これを基本としてこの先のステップへとつなげていきたいと思った。
山の世界を広げるため、即ち、自分自身、そして大切なパートナーのリスクを少しでも取り除くために。
【行程】 講習開始(9:40)〜講習終了(17:00)