講習山行の記録

2005/5/3(火)〜5(木)
南アルプス/塩見岳

◆メンバー 田中良一(講師)、岩崎元郎、阿出川忍、黒田記代、尾久一朗、福島彰男、シニア1名、
◆記録    福島彰男


 一日目:新宿高速バスターミナル発7時10分の飯田線高速バスに岩崎先生、尾久さん、シニアの白石さんと福島が乗車。ゴールデンウィーク後半(3連休)の初日であるため道路渋滞が心配された。案の定、乗った早々車内アナウンスで道路渋滞のため3時間位遅れる見通しとの事。先が心配、今日中に三伏峠まで行けるのだろうか。
 松川にはやはり3時間ほど遅れて到着。そこからタクシーを利用。途中飯田線の伊那大島駅で黒田さんと合流し(黒田さんは朝8時頃からこの駅で待っていたとのこと。大変な事だと思った。ご苦労様です。)途中大鹿村で無形文化財の歌舞伎が行われていた。その模様を見ながら、大鹿村の中心より鳥倉林道に入り林道終点まで行くと思っていたが、登山口手前で車両通行止めになっていた。ここから登山口まで約2キロの舗装された林道を歩く結果となった。登山口入口には大きな標識がありそこで岩崎先生が写真を撮り、いよいよ登山開始である。その時既に15時50分であった。何時頃三伏峠に着くのだろうか。

 登り始めからいきなりの急登で堪える。テント装備の山行は今年仙丈ケ岳についで二度目であるが、やはりフル装備のザックは重い。30分位で支尾根の上に出て、急登が終わりホッとする。この当たりから積雪があり、道は左に曲がり支尾根に沿って登る。先発隊(塩見小屋の小屋開けのため応援で先に出た田中講師、阿出川さん)との無線交信を再三するが連絡が取れない。
 やがて道は山腹上に沿って登り、そして右に進み三伏峠に向かって西山腹を巻き上げて行く。途中何箇所か倒木があって通行するのに苦労させられた。又かなり急な沢筋を何度か重たいザック背負っての通過は雪道なので一層神経を使い疲れを増幅させた。突然阿出川さんから無線が入るが充分な交信が取れず気掛りである。
 遅いスタートでも日が長くなっている事と、又晴れていた為かなり救われたが午後7時を過ぎるとやはり暗く、ヘッデンつけての行動は雪もあって非常に歩きにくく苦しかった。塩川合流(分岐)付近では疲労も極限に達していた。この分岐の先でようやく気になっていた先発隊との交信が出来、一安心。
 三伏峠についたのは午後8時を過ぎていた。無線連絡で状況を知った先発隊がお湯を沸かしておいてくれたので、疲れた我々は本当に助かった。田中講師、阿出川さんありがとうございました。
それからテントを張り食事をするが、疲れのため好きな酒も余り進まず食欲も出なかった。本当に疲れた一日であった。就寝午後10時であった。

 二日目:4時起床。5時35分、アイゼンを着け、今日のリーダー田中講師のもとに出発。風もなく素晴らしい天気である。今日の三伏峠小屋から塩見岳のコースは地図で読むと行程の三分の二位は登ったり下ったりの連続である。楽なように感じるがこういうコースは疲れる、特に帰りが大変そうである。
 暫くは尾根筋を歩く。30分位登った三伏山の頂上から後ろを振り返ると朝日を受けた赤石岳、聖岳が鮮明に輝いている。正面には太陽の光に阻まれ見えにくいが塩見岳の雄姿が見える。素晴らしい山の朝である。そして更に進むと、今度は後方に雲一つない青空のなかに赤石岳、聖岳に加え、兎岳、中盛丸山、大沢岳が見えてくる。なんと素晴らしい山々なのだろう。朝の山は空気が澄んでいるので一層山々はくっきり冴えるのである。昨日の疲れを癒してくれる。
 登り始めて一時間位経った所でアイゼンを外す。今までは尾根筋のアップダウンだったがこれからは権右衛門山南斜面の長いシラビソの樹林帯をトラバースする。シラビソの枝が我々の往く手を阻み、それを掻き分けて通るのに大変な労力を使いうんざりさせられた。ようやくその枝から解放され尾根上に出て塩見小屋に到着。小屋では小屋開けの為、雪掻きの真最中。昨日まで雪掘にお手伝いしていた田中講師、阿出川さん達が掘っていた大きさは凄かった。大勢の方が何日もかけての作業に驚く。大変な作業である。
 塩見小屋から眼前に見る塩見岳の迫力は凄かった。真青の空に浮び上がった塩見岳の雄姿に見とれ暫し陶酔。ここから最後の登り。天狗岳を越えると頂上までは岩稜地帯なので慎重に登る。10時40分についに三角点のある西峰に。そしてそこから10m位先にある東峰に10時45分登頂。頂上からの景観は最高。富士山、南アルプス、中央アルプス、そして北アルプスが一望である。しばし西峰で休憩し下山開始。余りにも天気がよいので暑い。シャツ一枚の人、半袖シャツになる人もいた。あまりにも穏やかな陽気なので塩見小屋で再び大休止。13時塩見小屋に別れを惜しんで下山。無事テント場に16時到着。
 今日は昨日と違って、黒田さんが持参したご馳走で宴会が始まった。酒が美味い。素晴らしい一日であった。

 三日目:4時起床。今日も快晴。5時40分下山開始。登山道入り口に8時40分。そして鳥倉林道車止めの所に9時30分無事下山。いろいろ苦労があったが本当に素晴らしい塩見岳の山行だった。塩見は遠かった。


【行程】
5/3 鳥倉林道車止め(15:00)〜登山道入口(15:50)〜三伏峠小屋(20:00)
5/4 小屋(5:35)〜塩見小屋(9:10/9:25)〜塩見岳西峰(10:40)〜塩見岳東峰(10:45)〜塩見岳西峰(11:00/11:25)〜塩見小屋(12:15/13:00)〜三伏峠小屋(16:00)
5/5 三伏峠小屋(5:40)〜登山道入口(8:40/9:00)〜鳥倉林道車止め(9:30)