自主の記録

2005/5/28(土)
谷川岳 一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜・衝立岩中央稜


◆メンバー 横川秀樹(L)、山野美香(SL)
◆記録 山野美香


 初めての一ノ倉。事前のトレーニングや道具の準備や心の準備で出発までにちょっと疲れてしまった。パートナーやK講師や家族など周りの人も、不安からくる私の質問責めにきっと疲れたことだろう。いやな顔もせず付き合って頂いて感謝している。そのお陰でいよいよ出発という時、私の中から不安は消えていた。

 とはいえちょっと気にかかるのは真っ暗の中たった二人で一ノ倉沢までの道のりを歩くこと。けっしてパートナーのことが恐いというわけではない。丑三つ時の一ノ倉…霊感の強い私にとってお膳立てはバッチリだ。そこで無い知恵絞って非力ではあるがヘッドランプをもう1つ用意した。これは今回同行出来なかった‘人生のパートナー’のもので、お守り代わりと一ノ倉を見せたいという思いも込めて…。(←ほんとに??)

 2:10起床。2:45出発。伊藤夫妻も準備が整い4人で一緒に出発できたので暗闇の中を歩くのも心強かった。
 一ノ倉沢出合で登攀具をつけ、アイゼンを履いて薄明るくなってきた雪渓をテールリッジ末端目指して歩き始める。「あれが南稜、こっちが中央稜」パートナーが丁寧に説明してくれる。
 テールリッジ末端でアイゼンをクライミングシューズに履き替え、アンザイレンしてU〜V級程度の岩と笹薮を登っていく。途中トラバースや滑りそうな斜面など緊張する場面も出てきたが、そのようなところでは確保してもらい、無事南稜テラスに到着した。もちろん一番乗りである。

 去年同ルートを経験済みのパートナーから各ピッチの特徴や注意点を聞きいよいよ登攀開始。
 1P目はロープの流れが悪くなるのでチムニー手前でピッチを切る。そのチムニー、圧迫感があるのと始めの一歩が高くてちょっと苦労した。2P目は広いフェースでどこを登っても行けそうな感じだ。3P目、草つき・笹藪の緩やかな登りなので私がリードで。4P目はハング下を左に回りこむ出だしの一歩が大きく、足の短い私はやや難儀。リードした5P目は凹角から馬の背リッジへ出るが、少しずつロープが重くなってくるのに加えて傾斜の緩いところは支点が少ない。終了点が見えたとき迷わずそこでピッチを切ったが、もう少し上にしっかりとした終了点が…そこまで行くべきだった。6P目、烏帽子沢奥壁側へ回りこむとき後ろを振り返ると素晴らしい展望と高度感。最終ピッチは核心部の垂直のフェースでいままでとは違った細かいホールドに緊張したがこれで無事終了となった。

 続々と登ってくるパーティに「もう下降ですか」と声を掛けられながら懸垂下降を繰り返し南稜テラスへと戻り、その後慎重に中央稜基部まで行き、暖かい日差しに包まれてゆっくりと順番待ちをして約1時間後に中央稜に取り付いた。
 ツルベで登ることにしてまず私が1P目を行く。ここは超快適(要するに易しい)に進むが終了点には前のパーティがつかえているので一段下の終了点で待つことに。すでに今日の登攀に満足してしまった私はこの後のリードはパートナーにお願いした。各ピッチともそれなりに核心があり、4P目最後は迷わずA0…。内心「リードしなくて良かったなぁ」などと思ってしまったところがなんとも情けない。
 時間切れとなり4Pを終えたところで今日の登攀は終了とし、下降を開始した。


【行程】  ロープウェイ駐車場(2:45)〜一ノ倉沢出合(3:30/3:50)〜テールリッジ末端(4:30)〜南稜テラス(5:30) /登攀開始(5:45)〜終了点(8:20)〜南稜テラス(10:00)〜中央稜取り付き(10:20) /登攀開始(11:20) 〜4P目終了点(13:30)〜中央稜取り付き(14:40)〜一ノ倉沢出合(16:30)〜ロープウェイ駐車場(17:20)