自主の記録

2005/4/16(土)〜17(日)
木曽御嶽山/山スキー


◆メンバー 久野眞由美(L)、伊藤幸雄、岩本一郎、伊藤栄子、福田洋子
◆記録 久野眞由美


 木曾御嶽山・剣ヶ峰を、御岳ロープウェイスキー場から往復する山スキーのコースは、本来は朝一番のゴンドラに乗り日帰りするコースとされています。が、今回は敢えて「テント泊の山スキー」というコンセプト(?)で臨んでみました。

 うららかな春の日、御岳スキー場のゲレンデトップからも、春霞の中に中央アルプスが望めました。この地点で既に標高2150m。初日は、森林限界付近にテントサイトを求めての小1時間程度の登りだけなので、昼頃の何とものんびりしたスタートとなりました。

 シールを着けて、ゴンドラ終点から正面の樹林帯の尾根に取り付きます。幕営用具を背負うとちょっと汗ばむほどの陽光でしたが、シラビソやトウヒの樹林帯の中は、日差しも遮られて涼やか。樹々を避けながら尾根を直上、斜度は適度。しかし、幕営用具を背負う山スキーの登りは流石に重く、軽快にサクサク、とは行きませんでした。(私はね)

 尾根上、次第に針葉樹の間隔が広がりダケカンバが混じり始めるあたりで、格好の場所を先頭のI氏・Fさんが見つけてくれました。御嶽山の山容が、ド〜ンとよく見える!素晴らしいロケーション。標高にして、丁度2300m。事前に地形図でチェックしていた思惑通り。

 テントを設営し、さっそくプシュッとプルトップを開け(!)、午後の日差しを浴びながら、シールを乾かしたり、明日のルートを観察したり、降りてくる人達の滑りを観察したり。いやいや、明日が楽しみです。カッコヨク滑ってくる山スキーヤーやテレマーカーに刺激された(?)I氏両名、明日最初に取り付くダケカンバの広い尾根を登って、カッコヨクひと滑りして来ました。ターンの度にガリガリとエッジが音を立てていたので、明日一番の登りは、スキーアイゼンかな?

 夜半は風が強かったですが、防風林のように立ち並ぶ樹のそばに設営したお陰で、テントは大して揺れずにすみました。

 翌日も朝から晴れ。しかし、風強し。雪面は固かったので、シールとスキーアイゼンを着けて、まずは昨日I氏両名が滑ったダケカンバの疎林の尾根に取り付きました。この尾根を登りきると、ここからは無木立。大きな大きな沢状の素晴らしい広大斜面が広がっていました。まだ始発のゴンドラも動いていない時間なので、この広い斜面を登っているのは、当然、私達だけ。

 夏道となっている尾根との合流点に向かって、雪崩の危惧も無く、それぞれのペースでそれぞれのルート取りで登っていきました。

 シールだけで頑張るIさん、途中からアイゼンに履き替え板を担いだI氏、シール・スキーアイゼンの残り3名(このうちFさんはフリートレック)とそれぞれの好みのスタイルで。パシっと締まった雪面、青空をバックの白い尾根のスカイラインに向けて高度を上げていく姿はなかなか絵になる構図でした。気持ちのいいものです。

 尾根に上がると、風は相変わらず強く、下降してきた登山者の話では、頂上稜線は突風との事。山行前の打ち合わせで、アイゼンは必携とするが軽量化の為ピッケルは持たず、頂上稜線付近ではツボ足・アイゼン・ストックで登れる状況範囲内で行動しよう、という事にしていました。この風の状況では、滑落停止や耐風の面で稜線上の行動は難しいと判断し、稜線直下の2900m地点・覚名堂までを目標としました。

 Fさんは、尾根の平坦地点に板をデポ。他は、雪で埋まった石室山荘の屋根まで板を持って登りデポ。石室山荘から、ツボ足アイゼンで覚名堂を往復しました。覚明堂の石垣で、冬姿の白い雷鳥2羽を発見。丸々と肥えていて、「う〜ん、ブロイラー・・・。」 

 覚明堂のテラスに立ち、登って来た斜面を遥か見下ろすと、始発のゴンドラで上がってきた登山者・山スキーヤーが森林限界付近に現れ始めていました。かなりの人数が上がってきているようでした。

 板をデポした地点まで戻り、ブーツのアイゼンを外して板を履き、いよいよ滑降モード。

 ワクワクしながら斜面に立つと、わっ!!。これから滑る斜面を、先程の登り軍団が、広い斜面一面にわらわらと展開しつつ登りにかかっていました。トレースを追うような雪の状況と異なり、春の締まった雪ではどこでも縦横無尽に歩けるからでしょうが、下から歩兵部隊に攻められているような、ちょっと恐ろしい(?)光景。皆が上向いて登ってくるこのど真ん中を滑り降りるのは、ちょっと恥ずかしいような・・・。

 意を決して、向かい来る登り軍団(?)の只中へ飛び込んで行きました。広〜い中斜面で雪質も上々、大き目の中ターンで気持ちよ〜く、登り軍団の間を抜け(こっち見ないでねっ!)、登る人が皆無の右側の尾根側壁に、ひとまず逃げました。

 ここの雪は硬めだが凹凸が皆無、ビシッとエッジの効いたカービングが出来る人にはたまらないのでは?(ちなみに私はできません)。ともかくも広くて人がいないので、ガリガリとスライディングターンながらでも気持ちのいい滑りでした。

 ダケカンバの疎林に飛び込むあたりからは、雪はさすがに湿って重くなり、程なくテントサイトに到着。テントを撤収して、登って来た樹林帯の尾根を下降。撤収後とはいえ、日帰り装備よりは重〜いのザックを背負っての下りは、意図せずとも意外と加速が付きました。転ぶと起きるのが大変そうなので、シュテム混じりでちょっと慎重に。ザラメながらも軽〜いコブの出来たゲレンデを、下まで滑り下っていると、さすがに膝が疲れました。


【フリーベンチャーの使用報告】 福田 洋子

FREE Venture(フリーベンチャー)トレッキングスキー専用製品
付属品:ビンディング、シール、アイゼン、すべり止め、固定器具(登山靴時使用)
長さ :1m 幅 :11.5cm 重量(片足):1.5kg

【使用上の注意】
・ 山岳地帯では、十分注意し過激な滑走はお止め下さい。
・ 急激な力がスキーに掛らないよう滑走下さい。
・ アイスバーンや荒れた斜面では、十分注意して滑走して下さい。

とっまあ、こんな物を今回の御嶽山では使わせていただきました。私の腕前から使用感想を述べるのはちょっとおこがましいのですが、今の所と言う事でお許し下さい。

@ 登り:足が軽いです。重さもさることながら付属のシールも足を滑らせて持って行くのに楽ですし斜面ではしっかり止まります。乾きも早いように思います。
A 滑走:滑りの上手い人には物足りないかもしれません。私にはこの位のスピードで十分です。元から早く滑るつもりが無いですから。
B 荒れた雪面:でっかいスノーシューの踏み跡には苦戦します。穴に簡単に滑り込んでしまいます。ただ態勢を直して起きあがるのは楽です。足がこんがらがったりしませんから。
総合的に4月の雪でしたらほぼ問題無く使用できると思います。2月に使用した時は、やはり潜りすぎて埋まってしまい下りでも歩いてましたから深雪ではスノーシューの替わりとしての利用がよろしいようです。ただ1月・2月でもスキー場の圧雪した斜面なら普通に滑ります、最近のショートスキーと同じようなものでしょうか。

そして、何よりの利点(今回の一番のメリット)は、持って走れることです。家から駅までと新宿での乗り換えが間に合ったのはこのスキーにしたからでしょう。


【行程】 
4月16日(土) JR木曽福島駅10:30集合、車に分乗して御岳ロープウェイスキー場ゲレンデトップ(12:30)〜標高2300m付近にてテント泊
4月17日(日) 幕営地(7:20)〜覚明堂(10:50/11:00)〜幕営地(12:00/12:30)〜ゲレンデトップ(13:05)〜御岳ロープウェイスキー場駐車場(13:20)