講習山行の記録

2005/3/27(日)
北アルプス・天狗原 山スキー

◆メンバー 工藤寿人(講師)、久野眞由美、福田洋子、シニア1名
◆記録 福田洋子


 栂池ロープウェイ自然園駅を降り立ち身支度を整えて歩き始める。借り物無し、自前のスキーにシールの本ちゃんデビューである。気温が高い所為なのか初めて使うシールの所為なのか3月の西大巓の時よりも足が重く感じる。

 30分ほど歩いて1900m、この先は樹木がほとんど無くなるので一本とる。何年か前の夏にここを下りた事があるが記憶にある風景とは何一つ一致しない。頭の上をもう何機ものヘリコプターが往復しているリッチなヘリスキー客で大繁盛のようだ…。斜度が増し雪面が次第に固くなりしっかりシール面を雪につけないと今にも横滑りしそうな状態に容赦無く風が吹き付ける。思わずストックを付いて耐風姿勢をとってしまう事が数度。後ろのS氏のスキーが登りに難儀している様子。シールの幅が狭い為にエッジが滑ってしまうようだ。私のシールはお店の人がエッジもすっかり隠れるようにカットしてくれたおかげできっちり止まるのでちょっと安心。

 そうこうする内にヘリで上がったと思われるスキーヤーやボーダーが次々と滑り降りてくる。「金掛けて労力掛けずに滑り降り……てか!」他の人はどうかしらないが、もっかの所自分は全然羨ましくない。登りの方が気が楽で、この後の滑りの方が問題の腕前だ。

 出発から1時間半弱で天狗原到着。とにかく風が強い、風除けになっているのかなっていないのか判らないような岩陰で下りの準備をする。物を飛ばされないように苦心しながらシールを外して荷物をまとめてすぐに出発。みんなの後に続くがこの時のあせりがすぐ後の失敗の因となる。横風に負けないように気をつけながらカリカリのバーンを横切りシュカブラの段差を越えられたかと思った時バランスをくずして転倒、急いで立ちあがろうと手を付き頭が下を向いたその瞬間、バラバラと目の前を見覚えのある物たちが逝きすぎて行ってしまった。かろうじて行動食のみ拾えたが頭の中は(今飛んでったのは何だ?白かった。えっと、えっと地図と白い袋に何入れていたっけ…)とはっきり認識できない。
(でも今は考えていてもしょうがない、すっぱり諦めて気持ちを切り替えろ)でとにかく態勢を整えて気遣ってそばに居てくれているKさんにザックのチャックを閉めてもらい先に進む。

 すぐに広々としたやや急な斜面に出た。先ずは工藤さんが斜面の凸凹を避けながら滑って行くその後に続くが雪のぼこぼこに腰も引けて何度も転んでやっと追い付いた。と思うと次は下らないようにトラバースで右の尾根の鞍部を目指すと言う。下らないようになんて行けるのかな?と思っていたら吹き上げる横風がうまく身体を進めてくれて目指す鞍部に到着した。しかしここでショッキングな事が発覚!実は今回の下りは講習の予定では「山ノ神尾根のルート」だったが山ノ神尾根の下半に沢沿いルートがあるのと尾根上の平坦な部分が長いので宿のオーナーに教わった別のルート(人が滑っていない美味しいルート)山ノ神尾根からすぐを南に下り尾根を乗越し自然園に戻る、を行く筈だったのだ。そこで鞍部に到着し自分達の位置の確認をした所そこは予定していた下降点を当に過ぎた山の神尾根の上だった。RF失敗の原因は[1、出発前の方位確認を強風に負けて怠った。2、リーダーの勘違いを否定できなかった。3、後について行くばかりで何もしなかった(私)。]で、取りあえず全員反省。

 地図上の位置を再確認し検討の結果は本来の予定通り「山ノ神尾根」を行く事になった。スキーツアーとしては一般的なようでルートはしっかり付いているし別のパーティもすぐにやって来ている。ただ一つの不安要素は私の足だがとにかく行くしかない。長い長い斜滑降の始まりであった。滑って改めて思うのは尾根上を行くと言っても常に尾根の真上を行く訳では無いと言う単純な事、歩いている時は気付きもしなかったが微妙に外しておまけに途中に木もあり避ける為のちょっとした登りかえしが有りながら常に尾根の左斜面を行くみたいな感じで自分の腿はドンドン張っていき辛いのなんの……。一人自分だけ辛いのは明らかにスキー板の乗り方が未熟な所為なんですがこうなるとどうにもならない。急な斜面に出たら出たで横滑りでズリズリやって今度こそボーゲンでと思っても顔面から前回転で転倒。起きあがる時にはどうしてこうゆう姿勢になっているのか自分でもわかりません。よく怪我をしないもんですが私の取り柄の身体が柔らかいのが幸いしているらしいです。

 最後の急斜面を終えて「後は沢沿いを林道までだよ頑張れ!」と皆は励ましてくれるけどコレもまた沢底を行くわけでは無く微妙に上がった右岸づたいで斜滑降。まわりの斜面からの雪崩れも恐いしでモタモタしていられないという気持ちがあっても身体が付いていかず途中幾度と無く転びながらなんとか最初の堰堤を越えて二つ目の堰堤ではとうとう板をはずして林道に到着。これで終わりかと思いきや、もう踏ん張る力の無い腿でのつるつるの林道は悲しいほど最後の力を振り絞り勢いだけで行きました。スキーの偉いところは「こんなにヘロヘロになっても歩きより早い」って事ですね。

 講師やKさんは「こんな重い滑りにくい雪質で出来たんだからこれからのスキーも大丈夫」と云ってくれるけどこんな辛い事にはそう何度も遭いたくないので早急にスキーの腕前の対処がやっぱり必要です。スキーと云う道具を早く機動力として使えるようになりたいと痛切に思いました。

 私の今回の犠牲者[地図・おニューのサングラス・アミノ酸・クエン酸・磁石・ナイフ・笛]以上飛んで行った物に転んでどこかで落としてきた物達、次のは破壊した物[顔面から転びすぎてミラーが剥げたゴーグル]最後は見難かった〜。


【行程】
3月27日  栂池ロープウェイ自然園駅(9:30)〜天狗原(11:00)〜林道終点・白馬乗鞍ゲレンデ(15:30)