講習山行の記録
2005/3/12(土)〜13(日)
上越・武能岳西尾根 雪洞泊
◆メンバー 金沢和則(講師)、本善行、坂口理子、伊藤幸雄、伊藤栄子、伊藤稔、黒田記代、松永己幸、尾久一朗、野中達也、福島彰男
◆記録 福島彰男
一日目:土樽駅に8時50分集合。始めビーコンの取り付けと扱い方を学び、動作チェックしたあと9時20分に出発。土樽駅に着いたときは晴れそうな感じもあったが出発時は小雪。最初は道路を歩くが直ぐにワカンを装着しての歩行。右手に関越の道路がそして土樽のサービスエリアを見ながら蓬沢に沿って南東方向に進む。やがて北東に向きを変え武能岳西尾根の取り付き地点に向け歩行を続ける。途中蓬沢を何処で渡るのか興味があったが渡ったのは西尾根の取付き地点の近くの堰堤手前で川の上と思われる地点を慎重に渡る。そして西尾根の取付きに。そこまではトレースがあったが、そのトレースは蓬沢に沿って続いていた。西尾根からはトレースの跡がなかった。
登り始めは尾根の取付き地点よりやや左よりの傾斜のゆるい斜面を選んで登りはじめる。自分はワカンを使うのは今回はじめての経験。今まで何度かワカンを持参したが使わずじまい。きつい斜面でもキックステップで結構登れるのには驚く。最初の斜面を登りきり先が険しい尾根に差し掛かったところでワカンからアイゼンにはき変え、さらに尾根沿いに暫く登る。
12時40分、出発して3時間、標高約1000m地点に雪洞が出来そうな場所を見つけ、初めての者にとってこんな斜面に雪洞を掘るなんてはじめは信じられなかった。結構急な斜面だ。そんな所に足場を作り早速雪洞を左右から掘り始める。簡単に事が運ぶと思われた雪洞掘りは難航した。
なかなか作業が進まない。雪が岩のように硬くなかなか掘れないのだ。スノーソーも先が思うように入っていかず、スコップでぶつけるが雪に刺さらず悪戦苦闘。2時間経っても見通しが立たず、一体何時間掛かるか心配になる。漸く人が1人入る位の穴が両側から掘り進めていたのが開通。そのときかなりの時間が経過していた。まだまだ開通したトンネルを大きくしなければならない作業が残っている。2人でやっていた作業が4人にそして6人と雪洞内の作業が続く。雪が硬く、あるものはピッケルのブレードで掘り続け、スコップで掘るもの、スノーソーで雪を切るもの、トンネルの真ん中で身体を屈め懸命に作業するもの、とにかく早く何とかしなければとの思いで皆懸命である。そしてついに完成、約5時間余りの難航した雪洞掘りだった。そのとき時刻は既に17時30分を過ぎていた。
やっと雪洞の中に入れるようになりホッとする。お昼を満足に食べていない方も多かったせいか、早速食事の準備をし、待ちに待った楽しみの夕食(酒宴)が始まった。長かった雪洞掘りの疲れも忘れ盛り上がった。そして就寝20時30分であった。
夜トイレに外に出たが相変わらず雪が降りつづいている。明日の天気はどうなるのかなあ・・・。このまま降り続くと明日は大変だと思った。
二日目:6時起床。8時5分出発。相変わらず小雪が降っている。昨日登ってきたトレースは完全に消えていた。いよいよ武能岳に向けて登る。何処まで登れるか。新雪をラッセルしながら交代で登る。西尾根が東に伸びている。次第に晴れ間が出て日の光があたり我々の登る背後の峰々がくっきり映し出された。山の名前は分からないが、朝の山並みは素晴らしい。この冬景色が見られるから冬山は辛くとも来たくなる。
だんだんと高度を上げひたすらに西尾根を東に進む。若手組が積極的にラッセルで頑張る。尾根沿いに登るので雪庇に注意しながら登るように講師より注意が。何処まで近づいてよいかなかなか分からない。経験が必要だと感じた。大分高度を上げて来た所で北東の方向に蓬ヒュッテが見えてきたが稜線には未だ遠い。
やがて天候も曇りまわりの景色も見えなくなってきた。標高約1500mの地点、時刻は11時、引き返すことに講師から指示が。帰りは早い、3時間で登った所を僅か1時間チョットで今日登り始めた雪洞の所に降りてきてしまった。そこで30分休息し、昨日登って来た所を再び下り始める。若手組が早くどんどん降りていく。途中木の根っこ付近で深く潜りこんしまう人も。木の根っこは要注意である。又、急な斜面では後ろ向きになりキックステップで降りる場面、ある人は尻セードで降りる場面もあった。西尾根を下りた所でワカンに履き替え土樽の駅に無事全員下山。
<今回の山行で感じ学んだ事>
雪洞掘りは大変だったがテントと比べ快適であった(スペース、特に高さ、温かさ、静粛性、出入りのし易さ等)。また冬山は体力が勝負、特にラッセルは相当に体力が必要と感じた。各々体力にあった山の選定をする必要があると感じた。それと曇天、ガス時のルートファインディングの経験、雪庇を避けての登攀等身に付けなければいけないと思った。
【行程】
3月12日 土樽駅(9:20)〜雪洞場所(西尾根1000m地点)
3月13日 雪洞場所(8:05)〜西尾根1500m地点(11:00/11:15)〜土樽駅(16:00)