講習山行の記録

2005/2/11(金)〜2/13(日)
八ヶ岳・峰の松目〜硫黄岳〜天狗岳

◆メンバー 田中良一(講師)、斉藤典子、阿出川忍
◆記録 阿出川忍


 「あっ、見えた。」ラッセルで先頭を行く田中講師の声でした。急いで先を見ると頂上の道標がありました。そこから、斉藤さんに先頭を代わってもらい、一歩一歩頂上へ近づきました。道標を触った斉藤さんがびえ〜んびえ〜んと泣いています。大きな目から、大粒の涙。あらあら大変。そう、とっても大変だったんです、ラッセルが。

 峰の松目は、八ヶ岳の八つあるピークの一つで、硫黄岳の東にあります。一般的なルートは赤岩の頭からの往復らしいのですが、それではつまらない。そこは、なんでもありの田中講師。私達は「おもしろくて、一番ラッセルが楽で、安全なルートを考えておく事」という宿題を出されていました。

 美濃戸山荘で、三人の意見を出し合い1920mの橋の手前から入ることにしました。橋の手前で赤岳鉱泉の従業員の人に「そんなムチャなことは止めたほうがいいよ。半端じゃないよ、ラッセルが」と忠告されましたが、「いいんです。覚悟して来ていますから」「ラッセルをしに来たんです」とか言って、強い意志をみせた私達でした。きっと、あの若者に人の言う事を聞かない中年の登山者だと思われた事でしょう。5分もしないうちに汗だくで、若者の忠告を素直に聞いておくべきだったかなと思うようになった私でした。

 わかんを付けての急な登りは、昔の歌のように、三歩進んで二歩下がる、それ、ワンツーワンツー。う〜、疲れる。そのうち岩が混じってきたのでアイゼンに変え、ザイルも一箇所出しました。木が混んでいる所では、ルートを外しがちになるので、常にコンパスとにらめっこしながらのラッセル。これが、なかなか楽しいんです。

 ラッセルは疲れないうちに交代というけれど、気が付くと結構ムキになってラッセルしている自分がいて、交代と言われても、もうちょっとやりたいと思ったりして・・・私って、ひょっとして、ラッセル好きかも!?

 予定では硫黄岳〜天狗岳〜渋の湯でしたが、時間切れで、硫黄岳から赤岳鉱泉へ下り、松本パーティと合流し、菊せんで打ち上げをして解散となりました。

全く人が入っていないルート。ラッセルは大変ですけど、泣くほどの感激を味わうことができます。是非、体験してみてください。


【行程】
2月11日 八ヶ岳山荘(6:35)〜美濃戸山荘(7:40)〜橋手前(9:00)〜尾根に出る(11:55)〜2270m付近幕営(14:50)
2月12日 テント場(7:00)〜峰の松目頂上(11:10)〜テント場(14:05)
2月13日 テント場(7:25)〜赤岩ノ頭(8:16)〜硫黄岳(8:35)〜10:00赤岳鉱泉(10:00)〜八ヶ岳山荘(12:20)