自主の記録

2004/12/19(日)
富士山


◆メンバー 山野昭人(L)、山野美香、福田洋子
◆記録 山野美香


 18日、雪の無いところでの雪訓(?)後に講習隊と別れて、6合目指導センターの建物とプレハブ小屋の絶妙な空間にテントを張る。今回ここを幕営地に選んだのは、昨年佐藤小屋幕営地で強風の為ほとんど睡眠がとれなかったことと、少しでも高度を稼いでおきたかったからだが、この判断は正解だったようだ。三方壁に囲まれて風対策はバッチリだった。とはいえここは富士山の6合目、時折砂埃を伴う強風に見舞われテントの中にいても体感温度はグングン低下、アルコールも無くなったので早々に就寝、明日に備えることにした。

 明け方寝苦しくて目が醒めた。なんと暑いのだ。夜まで吹いていた風もやんで外に出ても寒さは感じない。気まぐれな富士山の天気に惑わされながら身支度を整え、講習組の金沢講師と無線で交信後出発する。既に講習会と思われる10名前後のパーティが何組か登っていた。

 ヘッドランプの明かりを頼りにザレ場を進むが雪は8合目まで皆無だった。ここでアイゼンを付け、斜面をジグザクに進み高度を上げていく。見上げれば山頂は意外と近く感じるが、「見えてから遠いんだよね」「本当にあれが山頂かな?」などと話しながら前進。
 まだ若かりし頃、8合目で高山病の症状が出て辛い思いをしたことが頭をよぎるが、今回はその心配もないようだ、快調快調。

 9合目を過ぎたあたりで山頂からガスが降り始めちょっと気持ちが重くなったが、暫く進むと少し先を行くパーティが無線で「只今山頂に到着」と交信している。それを聞いて小さくガッツポーズ。やはりそこが山頂なのだ。後続の二人に「もうすぐそこだよー」と声をかけ、ひと登りで石碑の立つ山頂に到着した。万歳! 

 早速無線機を取り出し交信を試みた。「金沢さん応答願います」「……」う〜ん、残念。登頂の喜びを伝えたかったのに…。
気温がグングン下がり視界もあまり利かないので記念撮影後すぐに下山することにした。

 山頂直下、凍っている雪面に左足を乗せた瞬間強風にあおられバランスを崩し滑落してしまった。即滑落停止を試みるも斜面が凍っていてはね返された。斜面が緩やかだったので加速こそしないもののそのまま流されていく。幸い距離的にそれ程離れていないところを登ってくるパーティに止めて頂いた。ラッキーな偶然が重なり事無きを得たが、ほぼ無風状態からの出発、高度を上げてからもそれほど強い風が吹くことがなかったので風に対する気持ちが緩んでいたかもしれないこと、そして技術不足が浮き彫りとなり多いに反省している。私の元に降りてきた時の二人の蒼白な顔を見て、心配をかけてしまって申し訳ないと心から思った。

 その後慎重に下山を続け、8合目の小屋が見えてきたあたりで下から講習組の声が。雪を求めてここまで登ってきたようだ。なんとか追いつこうと頑張るも、下りの早いことで有名な金沢講師に追いつくはずもない。テント撤収後は荷もグンと重くなり、講習組に会えることは諦めゆっくりと下山、日没と同時に馬返しに到着した。


【行程】
12月18日 6合目指導センターにて幕営
12月19日 出発(5:20)〜7合目(7:00)〜8合目(8:30)〜9合目(10:00)〜山頂(11:40)下山開始(11:50)〜6合目(14:30/14:55)〜馬返し(17:00)