自主の記録
2004/9/18(土)
幽ノ沢 V字状岩壁右ルート
◆メンバー 横川秀樹(L)、伊藤幸雄(SL)
◆記録 横川秀樹
3ヶ月ぶりの谷川岳。今回の三連休は、幽ノ沢とマチガ沢で楽しんでみることにした。
初日のきょうは、幽ノ沢V字状岩壁右ルート。一応、初心者向きのルートらしいが、幽ノ沢へ足を踏み入れたことがないので、どんな感じなのか想像もつかない。多分、クライミング自体よりも、アプローチに手こずるんではないかなぁという気がして、それなりの緊張感が漂う。
朝5時40分に一ノ倉駐車場をスタート。ちょうど明るくなってきた。
幽ノ沢出合には6時着。そこから沢の中へと踏み込んでいく。まぁ、普通の沢歩きといった感じでナメ滝などもあり、傾斜の強い場所ではロープがフィックスしてあったりして安心。ヒヤリとする箇所がないこともないが、山塾で2年もやっていれば、問題のない範囲だろう。
そうこうするうちに広いスラブ帯にでる。カールボーデンと呼ばれる場所だ。ここで一休みし、沢シューズからクライミングシューズに履き替える。そうそう、今回はアプローチ用の沢シューズ、登攀用のクライミングシューズ、さらには、下山用の運動靴と3足の靴を準備した。しかし、水量も少ないので沢シューズはなくても良かったのかもしれない。
休憩後、50mロープ(ダブル)でアンザイレンしてとりあえずコンテで移動。二人の間隔は数m。余計なロープは体に巻きつけているため少々動きづらいが、スラブが立ってきたときすぐに登攀に入れるので、こちらのほうが正解だろう・・・と、思っていると、その通り、スラブがリッジ状に形を変え、傾斜も急になってきた。ビレイ点もあり、いよいよ登攀開始。
2ピッチでリッジを登り、3ピッチ目は伊藤さんリードで、右俣リンネの溝を越えるトラバース。ちょっといやらしい。
4ピッチ目は、そこからさらに下り気味のトラバースをして「T2」とか「要」とか呼ばれる安定した場所(といってもボルトはない)に立ち、そこから直上するとビレイポイントに達する。
ここから、いよいよV字状岩壁右ルートに入るワケだが、どこがルートなのか、一見したところサッパリわからない。ピトンも見当たらない。うーむ、これはルートファインディング能力が試されるところだなぁ・・・。
と、思う間もなく伊藤さんが颯爽とリード。プロテクションを取らず(取れないので仕方がない)、迷いなく突っ込んでいく。私も、続くピッチを、登りやすいところから攻めるという弱点主義で行くことにする。そして更にもう1ピッチ。結局、通算7ピッチで、左上するルンゼの手前に出た。
ここで、ようやくガイドブックに書いてあるルートの雰囲気と合ってきたようだ。(といっても、我々がここまで間違ったルートを辿ってきたということでは断じてない!それだけ、ガイドブックの記述が分かりにくいのだ!)このルンゼからチムニー状へとつながるピッチは、最初、通常どおりスタカットで進み、ロープが一杯になった時点でビレーを解除して、そのままコンテで進むという変則的な方法をとった。これは、途中良い支点がなかったことと、さほど難しいところではなかったため。さて、最後は草付きを1ピッチ、都合9ピッチで石楠花尾根のすぐ下に出た。
その石楠花尾根と、そこから続く堅炭尾根(中芝新道)もなかなか気が抜けない道で、精神的に疲れる。午後3時過ぎ、駐車場に帰還。
ガイドブックなどでは、一ノ倉南稜と同レベルの易しさとグレード付けされる幽ノ沢V字状岩壁右ルートだが、ルートファインディング、そして他パーティーが皆無という状況を考えると、こちらのほうが総合力が必要となってくるだろう。
【行程】
一ノ倉駐車場(5:40)〜幽ノ沢出合(6:00)〜二股(6:29)〜カールボーデン(7:06/7:33)〜リッジ取り付き(7:58)〜石楠花尾根(11:58)〜堅炭尾根(12:28/55)〜芝倉沢出合(14:16)〜幽ノ沢出合(14:48)〜一ノ倉駐車場(15:09)