自主の記録
2004/8/8(日)
剱岳 源次郎尾根
◆メンバー 横川秀樹(L)、伊藤幸雄(SL)
◆記録 横川秀樹
3時に起床。手早く準備を済ませ、4時前に出発。あたりは真っ暗だが、前日に取り付きまで歩いているので問題はない。
少しすると、剱沢の中央、水流沿いに歩いている単独行者が視界に入る。大石から大石に飛び移りながらなにやら苦労しているようだ。右岸の道に気付いていないらしく、我々の姿を見てようやくそのことを悟ったようだ。あのままいくと、落差のある滝上に出て危なかったかもしれない。単独行氏は我々の後に続く形となる。
雪渓が現れて土石流の塊を越えると源次郎尾根の取り付きだ。無雪期はしっかりとした踏み跡から「尾根ルート」に入っていく。登攀具を付け、ここで単独行氏とお別れ。
明瞭な踏み跡から始まる尾根ルートは、ときどきU〜V級の岩場が出てきて、それなりに緊張感がある。また先行パーティーもいないため、進路が分かりにくい地点では、偵察しては戻り、さらに偵察しては戻るという作業が必要になった。
そうこうするうちに、源次郎尾根へのもう一つのアプローチである「ルンゼルート」へのトラバース道が現れる。そこから先、尾根ルートは途切れているように見えたので(実際は続いていたようだ)、迷わず明るく開けたルンゼに入っていく。多少の浮石はあるものの概ね快適な岩稜歩きという感じ。しかし、ロープなしでは緊張する場面がないこともない・・・。
と思って進んでいると、尾根(中央ルンゼからの踏み跡がある小さなコル部)に出る直前で、悪い草付き帯にでる。ウーム、必殺の全身フリクション這い上がり術を使うしかないようだ。滑り落ちるか落ちないか運を天に任せて、「エイッ〜」。何とかセーフ。ザイルを出して伊藤さんも上へ抜ける。
ここから先、T峰まではルートファインディングに注意しながら、右へ行ったり左に行ったりと幅広い斜面を大きく使いながら少しずつ高度を稼いでいく。
T峰からU峰までは明瞭で、U峰からのアプザイレンも支点がしっかりしていて問題はない。(ここで後続パーティーに一旦追いつかれる)
コルに降り立つと、その先にどこかで見た男が立っている。どうやら朝の単独行氏のようだ。長次郎雪渓からここに上がってきたらしい。
「ここから先、道がないんですけど、どう行けばいいんですか?」一瞬、耳を疑う質問が単独行氏の口から出る。山の世界にもときどき困った人々はいるが、彼も正にその類の御仁であった。とはいっても「ここは登山道ではないので、踏み跡などを拾いつつ進むしかないっすヨ」と優しく答えてあげる。こんなワケの分からない人が事故でも起こして、巻き込まれたらたまったものじゃないなぁ・・・と少し心配したが、私の答に納得したらしく我々がザイルを片付けている間に、先に消えてくれた。ホッ。
ここから剱山頂へは1時間と少々。人の多い頂上でしばらく待つと、まず、長次郎左俣を登ってきた工藤講師の講習隊が到着、その後、源次郎尾根から山野夫妻隊、一般道から岩崎隊が続き、さながら剱岳集中山行をしたかのような賑やかな雰囲気で山頂は大いに盛り上がった。
【行程】
8/7 各自、立山駅〜室堂〜剱沢BC。到着後源次郎尾根取り付き、下部岩壁取り付き偵察。
8/8 剱沢BC(3:55)〜源次郎尾根取り付き(4:50/5:03)〜尾根上(6:49)〜T峰(8:04)〜U峰(8:48)〜剱岳(10:09/11:10)〜剱沢BC(14:00)
8/9 (チンネ左稜線)
8/10 停滞(ボルダリングなどで遊ぶ)
8/11 剱沢BC(6:00)〜室堂(8:20)