自主の記録

2004/7/17(土)〜19(月)
北穂東稜


◆メンバー 横川秀樹(L)、田口浩昭
◆記録 横川秀樹


 『前穂北尾根』と『奥穂〜西穂』。

 今回は、3連休ということもあって、穂高での「初級クライミング」&「ややハイグレードな縦走」という一粒で二度オイシイ計画を立てた。
 参加者は、山野(美)SLと田口、日浅、私の研究生4人。(敬称略)

 おっと、ここまで読んだあなたは、自主のタイトルやメンバーが、何だか食い違っているなぁと気付いたことでしょう。

 そう・・・、一週間前のヌク沢左俣260m大滝でのこと。水流を浴びつつ果敢にリードする山野SL、ずり落ちて太もも負傷。
 これでメンバーが1人減り、3人になったかと思いきや、日浅女史が男2人女1人というパーティー編成に身の危険を感じ(?)突然のキャンセル。
 ということで、男2人となり装備計画など最初からやり直しての出発となった。

 さて、初日は涸沢へ入るだけという余裕の日程。午前中に到着したので、しばし休憩後5・6のコルまで偵察しようと思ったが、雨が強くなりテントに閉じ込められる。結局、フライシートを叩きつける激しい雨音は翌朝まで止むことがなかった。
 二日目朝、テントの中まで浸水した豪雨にかなりやる気の失せた我々二人。きょうは北穂東稜でお茶を濁そうということになる。トポはないが、雨でも行けそうだし、テントと余分な荷物は置いたままサッと行ってサッと戻って来よう・・・。
 でも、その前に前穂北尾根の取り付きだけは確認しておきたいので、雪渓から5・6のコルへの道を辿ってみることにした。北尾根の上部はガスで隠れているので、どれが5・6のコルかよく分からなかったが、少し行くとガレのジグザグの踏み後を発見。なるほど、これを辿れば5・6のコルか・・・。アイゼンは不要なことを確認した。
 一仕事終え、小雨の中、北穂東稜へ向け出発。私が記憶していた情報は『北穂への一般道(南稜)を歩き、鎖場の手前でトラバースし最低コルを目指す。あとは岩稜をリッジ通しに行く』というもの。
 しかし、何しろ、ガスで視界がないので、どこをトラバースすればいいのか皆目見当もつかない。一旦鎖場まで行って、また戻り、「まぁトラバースするとしたらこの大石の散乱しているあたりしか考えられないなぁ」と思っていると、ヘルメットをした3人パーティが目の前にいて、ちょっと安心。
 登攀具を付け、ここから雪渓を100mほどトラバースし、続いて急なガレ場を登っていく。二股を右のルンゼに入り、濡れた岩を攀り稜線へと出る。あとは、右に明瞭な巻き道もついているが、そこを行くと何のために来たのか分からないので、なるべくリッジ伝いに行く。濡れているのでそれなりの緊張感がある。しばらくすると、ちょっとイヤなところに出た。岩の左側にはり出した幅20cmほどのテラス状の部分に一歩を踏み出すだけだが、その下はスッパリと切れ落ちている上、手がかりもない。落ちないだろうが落ちたら助からない。ここは結局ロープを出すことにした。取り付きで会った3人パーティを途中で抜いていたのだが、彼らはここを手前から巻いていったので、再び抜かれてしまった。
 この先少し行くと、3人パーティがロープを出していたのでしばらく待ちだ。ここで再度我々もアンザイレン。ナイフリッジを辿り、高度感のある2〜3mほどのフェースを乗り越える。その手前が1mほどクライムダウンしなければならないので何ともスリリングだ。そのあとも、もう1ピッチ、スタカットで進み懸垂支点へ。10mほど下降して核心部は終了した。どうやらここまでが『ゴジラの背』だったようだが、視界がなく全貌は見えずじまいだった。
 この先は、特にどうということもなく岩と遊びながら進み標高3000mぐらいになったら巻き道へ。するとゴミだらけの地帯になり、ほどなく右から縦走路が合流した。

 さて3日目は、前穂北尾根から岳沢経由で上高地へ降りようと思っていたが、夜中からまたまた雨。天気には勝てない。すごすごと上高地へ撤退した。


【行程】7/17上高地6:45〜涸沢テン場11:35
7/18涸沢テン場7:00〜東稜へのトラバース地点8:45〜北穂小屋11:30/12:00〜涸沢テン場14:10
7/19涸沢6:45〜上高地10:30