自主の記録

2002年11月15日(金夜)〜17(日)
表妙義・裏妙義


◆メンバー 田口浩昭・山野昭人・横川秀樹
◆記録 横川秀樹


 「春のハイグレードハイキング」を特集した今年の岳人3月号をご覧になった方も多いだろう。私はその中の「スリルあふれるクライミングワールド 表妙義金洞山縦走」という記事に興味を惹かれ、いつか行ってみたいと思っていた。そして今回、同期(22期)のY氏とT氏の賛同を得て自主山行を企画し、3人で行くことが決まった。
 さらに、どうせ行くならということで、裏妙義の丁須の頭にも登ることにし、前夜発の2泊2日の日程とした。
 
 初日はまず、表妙義の縦走。表妙義とは白雲山、金洞山、金鶏山の三山の総称で、そのうち金鶏山は登山禁止。また、金洞山の星穴岳と西岳も同様の措置が取られている。(実際には登っている人はいるようだが)
 そのため、我々のルートは、石門入口からまず金洞山(中之岳・東岳)に登り、つづいて白雲山(相馬岳・天狗岳)登頂後、妙義神社へ降りてくるという7時間ほどの行程にした。
 朝4時半に起床し、5時過ぎに道の駅を出発。夜明けとともに、その怪異な姿を現した岩峰群を前に、我々新米クライマーの登攀意欲は否応なしに高まってくる。途中、中之岳の手前で「一般登山者入山禁止」の看板があり、そこで小休止。念のためにヘルメットとハーネスを装着する。ルート上にはたくさんの鎖場が連続し(鎖のないイヤらしい所もある)、腕力に絶対の自信があれば登攀具は必要ないかもしれないが、降雨など様々なアクシデントを考えればザイル等一式は必須と考えたほうが良い。
 縦走中は、次にどんな悪場が出てくるのかという不安と期待の入り混じった沢登りにも通じるような面白さがあったように思う。両側がストンと切れ落ちたヤセ尾根の前では、ムムムと後ずさり全員が息を飲んでお互いの顔を見合わせた。鎖の長い登りでは強引な腕力で一気に上り切った。鎖の長い下降では、手を離したら一巻の終わり、と下を見ないで無心に降りていった。外傾バンドのトラバースでは鎖にカラビナをかけながらフェラータで渡っていった。
 こうして、常に緊張した状態を強いられたが、なんとか予定通りの時間で妙義神社に下山することができた。

 2日目は、裏妙義のシンボル丁須の頭を登るのが目的だ。JR信越本線の横川駅から程近い麻苧の吊橋を起点として、行きは鍵沢を登り、帰りは御岳を経て戻ってくるという5時間半ほどの周回コースをとることにした。
 この日のハイライトとなった「丁須の頭」とは裏妙義に突き出したT字型の奇岩で、高さは6mほどしかないが標高1000mを超えたところにあるためその高度感は凄まじい。少なくとも私がこれまで経験した中では一番のものだった。
 ここでは、ザイルを使って3人が続けて登ったはいいが、スペースの狭さと恐怖感から誰も岩の上に二本の足で直立することができず、なんとも情けない格好をさらしたままだった。そして一息つく余裕もなく、そのまま懸垂下降で下のテラスまで降りて、そこでようやくホッと胸をなでおろした。高度感に圧倒されっぱなしの中で、登攀やザイルワークなど必要以上に時間を費やしてしまったことが、次のステップへの反省点だと思う。

 将来、再び妙義に来るときは、怪異な姿が強烈な印象を残した星穴岳を登ってみたいと思っている。


【行程】
15日 夜20時頃、車で池尻出発。 所沢IC経由で松井田妙義ICへ。 妙義神社付近の駐車場で幕営
16日 表妙義縦走(石門入口〜金洞山〜白雲山〜妙義神社 麻苧の吊橋の駐車場で幕営)
17日 裏妙義(麻苧の吊橋〜鍵沢〜丁須の頭〜御岳〜麻苧の吊橋)