自主の記録

2002年10月26日(土)
ストーンマジック


◆メンバー 田口浩昭・山野昭人・横川秀樹
◆記録 横川秀樹


 日和田自主を明日に控えた10月25日金曜日の夕方、勤務中にもかかわらずyahooで天気予報をチェックすると、埼玉秩父地方の降水確率は70%を超えている。これは駄目だと即観念し、Yご主人とT氏に「明日はストーンマジックに変更。横浜線・淵野辺駅に9時45分集合」とメールで連絡。

 そのあと私は、時計の針が午後6時を指す前に、同僚の目をやや気にしながら、そそくさと席を立ち、神保町のさかいやスポーツ、パタゴニア&ROCK館へと向かう。目的の品は、ROCAの10.5mm×30mの室内用クライミングロープ。古いロットのものが残っていれば7000円のはずだったが、残念ながらそれは完売とのことで、お値段は9000円也。これを買うくらいなら前日に池袋のコージツで見かけたBEALの「ウォールマスター」のほうが安いと思ったが、さすがにこれから池袋へ向かう元気はない。仕方なく購入に踏み切り、その晩はロープを抱いてベッドに入った。

 当日は朝から雨。予定通り、午前9時45分、淵野辺駅の改札口に男3人が集まった。当初、今回の自主トレはYご主人の奥方やF女史、それに日和田の住人I氏も参加のはずだったが、アレやコレやで一人抜け、二人抜け、結局、私を含めてムサくるしい男3人だけが残ってしまって、どうも明るさがない。やや重苦しい雰囲気で駅から10分のストーンマジックへと向かう。前夜にストマジへ電話したとき、「明日は団体で予約が入っていますし雨ですから朝イチは混雑しますよ」と脅されていたが、その言葉どおり受付には行列ができていた。さらにはイエティ(遠藤晴行事務所)の講師陣とスクール生も大挙して押し寄せてきた。聞けば、湯河原幕岩の講習の予定だったが雨のためストマジに変更したとのこと。団体予約とは彼らのことだったようだ。

 さて、ストーンマジックに初めて来た我ら3人、会員登録料はモンベルカードやICI石井スポーツ、yoshikiスポーツのカードがあればタダという情報を事前に入手していたため、ここで一人1000円の節約に成功。さらに3人だと団体割引で15%引きとなり、使用料2000円が1700円で済んで思わず上機嫌となる。(5人以上は2割引)

 着替え後、まず向かったのは空いているリード面。ヌンチャクのクリップのやり方を確認して、おろし立てのROCAのロープで3つ目のプロテクションを取る所まで交代で登り、ビレー方法もお互いに確認しつつウォームアップとする。(確保器はルベルソを使用)このウォームアップではT氏が見事にZクリップという悪いお手本を示してくれて、Yご主人と私は思わず爆笑。T氏はこの経験をしたことで2度とZクリップはしないと固く誓った(ようだ)。

 さて、リードに慣れていない我々のクリップ技術はというと、かなりぎこちなく、地上でもう一度練習を繰り返す。ゲートが右向きの場合、左向きの場合を、それぞれ右手と左手でスムーズに出来るようしつこく反復練習。それが飽きたところで、今度は別の前傾壁を使い、リードで登った後わざと墜落してみることにする。プロテクションを4つ目まで取り、まず高さ6mの地点まで登る。トップロープで落ちたことはあっても、リードで落ちた経験のない3人がビビリつつも代わる代わる「エイヤッ」と飛び降りる。3人とも墜落距離は2〜3m。ロープの伸びとたるみの分で予想した以上に落ちることを確認したのは収穫だ。また、墜落の衝撃だが、これはほとんど感じない。伸びとたるみ、それに4つのプロテクションによる摩擦が吸収してくれるせいか、「ひゅーッ、ヒタッ」という感じで気持ちよく止まってくれた。ビレイヤーも壁からそれほど離れなかったため、壁に激突するようなこともなく、無理なく止めることができた。

 そのあとは、トップロープで5.8〜5.10cまでの面に交代で挑戦。ストマジには普通の人工壁と同様、ホールドを取り付けた壁もあれば、自然の岩場を模したタワーもあり、なかなか面白い。確保器は、トップロープにペツル社のグリグリが既にセットされており、スポーツクライミングではグリグリが標準となりつつある感を強くしたが、これは機能は別にして、225gという重量と9000円という値段にはやや不満の残る道具である。また、ビレイヤーがいなくても一人で登れるというオートビレイの機械が何台かあり、これはとても便利だった。

 さて、腕がパンプしかけたところで、今度はマルチピッチができるアルパインタワーに移動。このタワーは中間部に小さなテラスがあり支点も取れるようになっている。そこで、リードクライミング〜セカンドのビレーというマルチピッチの一連の流れを復習する。狭いテラスでのロープワークはやりにくかったが、「ビレイ解除」「ロープ引いて」「登っていいよ」などの呼び掛けの合図についても確認した。(余談だが「生と死の分岐点」には呼び掛けは二つで充分との記述がある)

 また、このアルパインタワーの反対側の面には、岳嶺岩の大ハングを思わせるようなというとかなり大袈裟だが、それなりのハングがあって人工登攀の練習ができるようになっている。念のためにと思って持参したアブミ2個が役に立ち、まずはトライしてみることにする。1回目では、Yご主人しか登れず私とT氏はあえなく敗退。しかし、なんとか2回目以降で二人とも上まで辿り着くことができた。

 このあと、疲れた体にムチ打って、ボルダリングと再びトップロープにも励み、気が付いたら時計の針は午後5時を回っている。朝10時から7時間のトレーニングは盛り沢山の内容で集中してできたため、時間の経過はあっという間だ。T氏は快い疲労感で満足げの様子。Yご主人と私はと言えば、翌日の東吾野の岩場講習に備え、パンプした腕をさすりながら「ちょっとやりすぎたかなぁ」と反省しつつ帰路についた。