わが国の登山者は百万人
(山塾通信 91年3月号)
 中高年者で山は花盛りなんて宣伝されるけど、わが国で登山は、マイナーな遊びでしかない。俗に登山人口一千万人とかいわれているが、本当にそうなのだろうか。一千万人もいれば、メジャーではないかと思う。がその数字には実がない。
 国の統計というのは当てにならないものだし、年に一回その遊びをすれば、それがスキーであれはスキー人口、ゴルフであればゴルフ人口と数えられるという。遠足で高尾山に登る小学生も一千万人のうちの一人なのだ。
 ぼくによる登山者の定義は、月一回以上山に登る人だったのだが、「それは恵まれている人で、行きたくったって行けない事情もある。年に三〜四回山に行けばいい方だ。でも、それぐらいだと、岩崎さんからは登山者と認めてもらえないんですね」という指摘があって、以降、シーズン一回以上、年四回以上山に登る人となっている。
 年四回以上登る人を実質的な登山者にすると、わが国の登山者数はどれくらいなのだろうか。次のような計算をしてみた。
 日曜日の朝、新宿発6時22分の甲府行きに登山者が五百人乗ったとする。7時08分の甲府行きにも五百人、立川や高尾発に乗った人をまとめて五百人、中央線には千五百人の登山者が乗ったと考える。
 小田急線、西武線、東上線、新宿発の夜行列車、その他(上越、東北)のそれぞれに千五百人の登山者が乗ったとして、週末の登山者は九千人。マイカー利用を同数と考えると一万八千人、東京の登山者は全国の33%と考えると五万四千人。ウイークデーに同数の人が山に登として、一週間での登山者数は十万八千人。一ヶ月では四十三万二千人、一シーズン三ヶ月は百二  
十九万六千人ということになる。
 以上の計算に数値を大きくしようという操作があったことは容易に理解できるであろう。従って、本当におおざっぱではあるが、各シーズン一回以上山に登る登山者は、百万人というのが正解だ。
 登山がマイナーな遊びの証明である。理由は先刻ご承知、3Kだ。本当にそうなのかなあ・・・。
 二月二十三日、わが家に愛息・次郎が誕生した。かわいい。泣いた、笑った(はずもないのだが)、クシャミをしたと、いつまでみていてもあきない。
 また泣いた。抱いてもなきやまない。お尻が汚れているのだろうとオムツカバーをはずすと、あきれるほどたっぷりのウンチにお尻が埋まっていた。母親の手でお尻がきれいになると、腹が減ったといって泣く。オッパイに吸いついて満腹すると気分よさそうに目を閉じる親の都合などまったく考えてないんだな。
 大きくなって、汚い、臭い、苦しいが嫌いだなんてほざいたらぶっとばすぞ。3K嫌いで人間やってられるか、生後二日目の次郎の耳元に、そっとささやくオヤジであった。
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