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思いつくままに |
(山塾通信9号 1985年11月28日発行) |
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無名山塾の目的は、このすばらしい山登りの輪をひろげることだ。無名山塾の会員たらんとする者は、そのことをまず肝に命じて欲しい。人間だれだって自分の幸福を希うものだ。けれど自分だけの幸福を追いかける者は、それがいつしか自らの不幸を招くということに気がつかない。人間とは“人”の“間”と書く。他人との関わりが成立して、初めて人間たりうるのだ。“半ばわが身のため、半ばは他人のため”という蔵言もある。自分にとって充実した山行を続けてゆきたいなら、初心の他人に手をさしのべなくてはいけないと、解釈したい。
無名山塾は登山学校であると同時に自らの登山を実践する登山者集団であろうと欲している。自らの登山を安心して実践するには、実力を養うこと、
パートナーを確保すること、いざアクシデントという時に即応してくれるバックボーンを必要とする。登山学校であることと登山集団であることは車の両輪ではあるが、登山学校を卒業して実力ありと認められる者が登山集団を形成しうるというのが、物事の順序である。 無名山塾の活動の中心は、まだ出会っていない彼と本科生を対象にしたチャンスメニュー、すなわち基本ステップの講習会であることは忘れて欲しくない。無名山塾の仲間としての第一歩は、みんなチャンスメニューをチャンスにして始まっている。
まず、基本ステップをクリアーすること、そして自主トレとして12ステップを再トレースすること。その間の個人的な研究山行を併せ考えてみて、ようやく登山学校を卒業、登山集団の一員たる実力をつけたと判断できるのではあるまいか。
会則、会員資格と山行規定もタテマエとはいえ、よく読んで欲しい。無名山塾で重要視したいのは、ゆるやかなカーブでレベルアップを計ることなのだ。ゆるやかなカーブでは物足りない人がいたら、遠慮することはない、広い世界に飛び出して、自分の力を確かめてみたらいい。ここの居心地がよく、無名山塾の会員でいたいと思うなら、居心地の良さに甘んじることなく、自らの実力を養うことに努力してほしい。そして、山登りの輪を広げることに協力をお願いしたい。(1985.11.27)
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