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岩小舎 9 |
鳥屋待沢・水無川本谷・三ッ峠 |
平成12年6月、7月 |
悉知雅美(18期秋生) |
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【1】
日 時 : 平成12年7月1日(土)
場 所 : 鳥屋待沢、大小屋ノ沢
メンバー: 長田佳宏、高橋幸子、悉知藤也、悉知雅美
今日は、丹沢の前衛に位置する三峰山へと突き上げる鳥屋待沢の遡行。メンバーは、長田さん、幸ちやん、悉知(藤)、悉知(雅)の4名。
鳥屋待沢の入口となる鮎釣り場手前のゲートを8時に出発。この沢は、沢幅が表丹沢のそれとは違いとても広く、水が透きとおっており、蕩蕩と流れている。他のパーティーと出合うこともなく、沢を貸し切って楽しめるところも嬉しい。うーんなんとも気分爽快の沢である。そして何しろ今日は、沢にはもってこいの暑〜い朝。
沢の自主山行で、体がだいぶ鮎臭くなってきた面々は快調に進んでゆく。1時間程するとF1が現れる。F2でザイルを出し、長田さんがリードする。3m程登り左側へ回り込むと、最初のハーケンが有る。しかし、だいぶ錆付いているので、回り込む手前に持参のハーケンを打ち込む。これで我々も、次に来る人も安心して登れる。F5でザイルを出し、悉知(藤)がリードする。悉知(藤)、長田さん、悉知(雅)が交代で先頭を担当する。最後の滝を越えると涸滝の後、お決まりのガレとなる。尾根を目指してガレを登って行くと、人の声が聞こえて来る。登山道まであと僅かだ。登山道に出てから小さなアップダウンを繰り返し、12時10分に猫の額ほどの三峰山頂上に到着する。
照り付ける太陽の下で昼食を摂っていると、沢を登って来たばかりなのに、もう下りの沢が待ち切れなくなってくる。下りの沢を担当するのは、幸ちやん。地図とコンパスと高度計を使い、下降点を見つける。耳をダンボにして尾根を下っていくと、沢のせせらぎが微かに聞こえてきて、幸ちやんの顔が明るくなった。水が現れた時の幸ちやんの嬉しさ溢れる笑顔。やったね幸ちやん。全員一目散にザブ〜ンである。「気持ちい〜っ。」「これだから沢は止められな〜い。」と嬉しさが響き渡る。
河童のお皿も水を得て一息付いたので、幸ちやんの水先案内に続く。ザイル担当の3名が、幸ちやんの指示でザイルを出す。懸垂下降を繰り返し、大小屋沢の入渓地点に到着する。
片付けも早々に、気持ちは既に温泉ヘザブ〜ンであった。
【2】
日 時 : 平成12年7月2日(日)
場 所 : 水無本谷、沖ノ源次郎沢
メンバー: 佐々木寿春、悉知藤也、悉知雅美
今日は、水無本谷のリベンジである。メンバーは、佐々木さん、悉知(藤)、悉知(雅)の3名。
前回は、水無本谷を遂行しているつもりが、いつのまにか木ノ又大日沢に入り込んでしまった。リベンジしなくちやと言っていただけに、幡鎌さん、長田さん、幸ちやんはさぞ残念なことだろう。戸沢キャンプ場を8時15分出発。何度となく通った道を足早に進む。今日の水無は前回来た時よりも水量が多い。何しろ水の流れる音からして違う。晴れてはいてもやはり梅雨時、数日前まで降り続いた雨が水量を多くしている。F1、F2、F3、F4、F5、書策新道、そして沖ノ源次郎沢を左にやり過ごし、いよいよ前回間違えたあの二股である。実際は、水無本谷が左に折れているが、遡行図では木ノ又大日沢が右に折れているように見えるため間違いやすい。
先頭の悉知(藤)がまたもや同じ二股で、木ノ又大日沢へと進んで行く。ちよっと待った〜。そっちじやな〜い。佐々木さん、悉知(雅)が水無本谷は左だと言っても、悉知(藤)は木ノ又大日沢を水無本谷だと言い張る。これでは前回と同じになっちやうよ〜。間違つているリーダーに気付いてもらうのは一苦労である。左へ進みF6の看板が出てきて悉知(藤)は漸く納得。ザイルを出し、悉知(藤)がリードする。F6、F7も難なく過ぎて、涸滝を見送るとドドドドドドーと凄まじい勢いで落ちるF8−20mが現れる。水無本谷のハイライトと言われる滝である。傾斜がきつく立つているため20m以上の高さに見える。姿からして日光の華厳の滝を連想してしまう。現在は崩壊が進んでいるので登ることができないが、近くまで行き状態を見る。右のルンゼを薄く高巻き、滝の落ち口の高さになったら左にトラバースするとF8の上部へ出る。しばらく進み右に折れるとF9一10mが現れる。最後の滝なのでじっくり状態を見る。F8のように傾斜は立っていないが、爪先上がりの傾斜に茶色い苔がびっしりと付いていてヌルヌルとしており、逆層であることが下からでもはつきりと見て取れる。左側の壁はしっかりとしているが、全体の様子からあまり登られていないようである。メンバーが夫々の目で観察し、鳩首会談。「これは直登でしよう」と全員一致。ザイルを出し、左から悉知(藤)がリードする。3m程登った所のハーケンで支点を取る。ここから左に回り込む所が核心部分である。左に寄り過ぎると滑る。逆層で傾斜に茶色い苔がびりしりと付いていて、ヌルヌルとしているため、右に大きく一歩を踏み出すには相当勇気がいる。ここでは、微妙なバランスを要求されるため、ザイルを張り過ぎるとバランスを崩してしまうし、緩いと恐い思いをする。難しいビレーを要求されるところだが、冷静にこなしている佐々木さんは流石である。核心部分の第1歩を踏み出した途端、つるっと滑り一瞬バランスを崩したが、左壁のしっかりしたガバで持ち堪えた。「こえー」と本人は叫んだが、見ている方としても、口から心臓が飛び出そうなほどの驚きであった。残り2歩を慎重に置き核心部分を切り抜けた。2本目の支点を取り、滝の落ち口へ向かう。支点工作も終わりビレー解除の声が届いた。2番手は悉知(雅)。やはり核心部分の第1歩を大きく踏み出すには相当勇気がいった。佐々木さんが「今、核心の1歩目一。」と、ビレーをしている悉知(藤)に状況を伝えてくれる。なんとも有り難い。バランスを崩しそうになったが、大きく踏み出したことで滑らずにすんだ。登り終えた途端にアドレナリンがドーッと吹き出した。3番手は佐々木さん。上からはどの辺を登っているのか見えないので、佐々木さんとビレーヤーはさぞ神経を使ったことだろう。全員登り終え、登ってよかったと夫々が強く感じた。
石を積み上げたような古い堤防を越え、左上の樹林帯を進むと表尾根に出る。11時30分花立山荘到着。昼食を摂る。下りは花立山荘から赤岩を通り、沖ノ源次郎沢を目指して悉知(藤)が先頭を行く。沢にたどり着いてからは、昨日同様ザイルを出して懸垂下降を繰り返し沢を下る。男性1人、女性2人のパーティーが登ってくる。念のため「これは沖ノ源次郎沢ですか」と聞いたところ、返ってきた答えは「源次郎沢だよ」だった。私は聞き違えたのかと思ったが、「た・だ・の・源次郎沢だよ」と言う。その人達は私達の下降してきた沢ではなく、左俣へ進んでいった。二股の分岐点で振り返ると、左俣の姿は確かに以前来た源次郎沢そのものだった。目の前の源次郎沢の看板に3人共ボーゼン。そうだ源次郎沢には、右俣が有ったんだー。私達が前に来た時は、源次郎沢の左俣を遡行したが、今回は右俣を下降してきてしまった。どおりで沢の姿で気付かなかったはずだ。実際のところ猛暑の中、水の無い沖ノ源次郎沢を下降したのでは、河童のお皿が干からびちやう。水が流れているとそれだけで涼しくなる。姿の良い源次郎沢だから、また来れて良かったと言いながら15時15分戸沢キャンプ場に到着した。
【3】
日 時 :平成12年6月17日(土)
場 所 :三ツ峠
メンバー:幡鎌亮一、悉知藤也、悉知雅美
今日のメンバーは、幡鎌さん、悉知(藤)、悉知 (雅)の3名。課題は、マルチピッチ登攀練習。幡鎌さんが、せっかく都合つけて参加してくれたのに、四季楽園まであと僅かというところで小雨となる。今日は、幡鎌さんの三ツ峠デビューの日でもあるので、せめて雨だけは降ってほしくなかったのだが、梅雨時にそれを望むのは、本来虫のいいことであった。
午前10時、課題のーつである中央カンテルートの登撃を開始する。雨が徐々に強くなってきたので、慎重に登攀をする。懸垂下降にてスタート地点まで戻り、1本目を終了。
登攀開始時より雨は強くなってきており、降り止む気配が無いため登攀を終了。終了と決まったので、お風呂へ直行する。雨の日にはこれといって行く所も無いといった面々が押しかけたのだろうか、駐車場が満車状態に近かった。山行後のお風呂はいつでも極楽、極楽。
幡鎌さん今度は、晴れた則こ行きましようね。
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