岩小舎 9
秋田駒周辺合宿でのスノーシュー使用報告
99年3月20日〜22日
秋田駒ヶ岳周辺春山合宿にて使用したスノーシューの報告        

3月20日・・・ 早朝7時30分、予定通り夜行バスで田沢湖着、両夜行を使えば秋
        田駒日帰り20,000円ツアーが可という時代になったことをかみしめな
        がら路線バスに乗換え、国民休暇村「田沢湖高原」着8時30分、す
        ぐに荷物の到着を確認する。スノーシュー一般用5台プラス山岳用1
        台、別梱包でスノーシュー一般用1台の計7台を受け取った。
         まずはスノーハイクということで、ワカン使用隊5名と山スキー使
        用隊7名に分けニセササと呼ばれる小さなピークを往復した。登り2
        時間、下り1時間程度の行動だがワカン使用隊は山スキー使用隊に登
        りも下りも30分以上の差をつけた。用具の使用のテクニックが簡便
        だとということは初心者の行動を早くする(これは重要と思う)。
         スキーゲレンデに行く山スキー派を見送り。残ったメンバー5名は
        スノーシューにチャレンジした。山スキーのように足をスライドさせ
        て歩けるスノーシューは国民休暇村周辺のなだらかな雪の野山に快適
        だ。ワカンではとても行く気になれないのにスノーシューならOKと
        いう感じになる。
         すばらしいスノーシュー、でも、初心者の困る点が見えて来る
        ・ゴムを引っ張る力がいる。ひとりで引っ張るのに熟練がいる。山岳
         用のラチェット式の何倍も時間がかかるし信頼性も下がる。山でゴ
         ムが切れたら“ドースルノ”、山用品には今、ゴムバンドはないと
         言い切ってもいいくらいなのに。Sさんは前に履いたという紐結び
         式の方が信頼出来ると言っている。
        ・取り付けが楽なのは山岳用(レーシング用)ラチェットシステムで
         簡単だ。一般用は大きな靴にバンドがあうのは2台しか見つからな
         バンドはもっと長くしておいてほしい(1台ごとに長さがちがう)
         し、山岳用は頑丈でシンプルで力のない人でも扱える構造であって
         ほしい。
        ・登りはワカンと同じ要領でOK,下りはどうしたらいいかわからな
         い、ワカンと違う下りの技術が必要だ。
        ・足へのフィット感は良好だ。ワカンや山スキーのそれよりずっと良
         い。

3月21日・・・ 好天の時間は短い、わずかなタイミングをうまく利用して秋田駒か
        ら湯の森山〜笹森山と縦走を成功させた。若いT君に山岳用のスノー
        シューを極力長い時間使用するよう頼んでおいた。傾斜のきつい秋田
        駒をのぞいて湯の森山、笹森山の登り下り全て使用してもらった。T
        君のスピードは早く、ワカン使用者を圧倒する。笹森山の下りはワカ
        ンのように山靴のキックステップを使って右に左にトラバースして下
        っていた。ワカンにあるサイドの爪もないからトラバースも大変。ス
        ノーシューは下りに弱いみたいだ(下りのテクニックを知りたい)。
        笹森山の下り途中でかかとの下のクライミングサポートを取り付けて
        いるリベットが飛んで、クライミングサポートとその下のかかとアイ
        ゼンが取れてしまったが、行動に支障はない。ビンディングは山で使
        うことを前提に考えると壊れないこと、こわれても修復できる構造で
        あってほしいと思う。

3月22日・・・昨日からの大雪で身動きとれない、電車も道路もパニック状態。国民
        休暇村から孫六温泉まで林道をスノーシューでハイキングすることに
        した。深い雪だが自動車の通る道(林道)の登り下りはスノーシュー
        の独壇場、スノーシューは深雪に覆われた「道」を歩く道具なのだと
        結論したくなった。
        道を歩くのがシューズ、堅雪の道を歩くのはハードシューズ(山靴)
        深雪の道を歩くのがスノーシューとクロカン、深雪の斜面を行くのが
        山スキー、深雪の急斜面を行くのがワカン、堅雪の斜面を歩くのがア
        イゼンといった系を考えてみた。来年は山スキーとスノーシューをド
        ッキングした講習会の設定を密かに決意した。

追伸   ・・・孫六温泉を20年ぶりにたずねた。外の湯と内の湯の二つからナント
        カカントカの湯というのがたくさん増えて湯船は六ヶ所くらいになっ
        ていた、混浴でないのは唐子の湯というやつだけなので、それに入る
        ことにした。唐子の湯というのがあの20年前に入った昔の湯船のそ
        れだった。ちょっと郷愁にしたってしまった。孫六温泉に今回宿泊で
        きなかったのは、夜行バスがスキーを多く積めないと聞いたからで、
        荷物の送れる、国民休暇村「田沢湖高原」というのに変更した。孫六
        温泉の手前でそれと徒歩30分しか離れていない国道沿いにある大き
        な宿舎だ。一泊二食つき6千400円だが、露天風呂あり、朝食バイ
        キングあり、大きな乾燥室あり、そして、我々あつかましい登山者に
        対してもおあたたかめに対応してくれてありがたかった。宿舎の裏か
        ら直接笹森山に登れるのも魅力的だ。
         笹森山は頂上付近北面と西面に雪庇が張り出していてルート取りの
        難しい山だ。雪庇を切って登ろうかなんて過激なルートも取りも可能
        だが雪が安定する4月まで待った方が良いと思う、今回は凹部(沢ま
        でいかない)を越え無難な尾根から取り付いて頂上を手中にした。一
        冬に登るパーティは数えるほどしかないはずで、今回もプリミティブ
        な登山を充分に堪能できてうれしかった。
         秋田駒ヶ岳には早朝にタクシーで出発(この日の朝食はおにぎり参
        個:7時15分の朝食バイキングを食べられないのが残念)し、田沢
        湖スキー場のリフトの下を登る(圧雪してあるのでぐんぐん高度がか
        せげる)。リフトの最上部から稜線(少し痩せていてスキーで滑るの
        は上級者のみ)をとらえて、2ピッチで男岳に登頂できる。男女岳へ
        の稜線もちょっと痩せているが、駒ヶ岳避難小屋付近から湯の森山に
        かけては広大な斜面あるいは平原が広がっている。ただし森林限界の
        上なので悪天時にはルートは読めない。ただ山裾がなだらかな地形な
        ので、もしこの辺でホワイトアウトしたら。方向を決めて何んでもい
        いから尾根をとらえてとにかく降りてしまうのが良いだろう。
 
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