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岩小舎 9 |
11月連休 鋸岳縦走の報告 |
11月20日(金)夜〜23日(月) |
鈴木敏浩 |
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こんにちは。鈴木です。3連休で南アルプス鋸岳〜甲斐駒ヶ岳縦走してきました。行動中は3日ともほぼ快晴だったので予定通り進むことができ、一足早く冬山を味わうこともできなかなか充実した山行でした。
◆日程 :11月20日(金)夜〜23日(月)
◆ルート:21日(土)戸台→角兵衛沢出合→岩小屋
22日(日)岩小屋→角兵衛ノコル→第一高点→鹿窓→中ノ川乗越→六合目岩室
23日(月)岩室→甲斐駒ヶ岳→北沢峠→戸台
◆メンバー:L 鈴木敏浩 SL 滝沢正則 水谷明子
◆共同装備:ザイル(8mm×30、8mm×20 各1)、ハンマー2、ハーケン、テント、ガスヘッド、
コッフェル大、ロウソク、救急用品、ラジオ
◆個人装備:アイゼン、ピッケル、ヘルメット、ハーネス、その他冬山の装備、ガス
◆エスケープルート:
第一高点以前であれば角兵衛沢右俣を下山
中ノ川乗越付近であれば熊穴沢の頭から下山
甲斐駒六合目付近であれば赤河原丹渓山荘へ下山
◆山行の報告
角兵衛沢入り口に行くのに沢を渡る必要がありました。いろいろとわたれる場所を探したり、岩を沢に落として飛び石を作ったりしましたがままならず、結局裸足になり渡りました。はじめは結構平気かな、と思っていましたが、だんだん冷たさを越えて痛みを感じるほどで渡り終えた時はもう「う〜」とか「あ〜」としか言葉を発せないくらいでした。ここでは、裸足で徒渉するときは、まず、タオルをザックからあらかじめ出しておかないと渡り終えてから寒い時間が長引くという教訓を得ることができました。
角兵衛沢大岩下の岩小屋までは赤テープが至る所にあり、迷うことはありませんでした。樹林帯を抜けたあたりでがれ沢の右側に大きい岩、というよりも稜線の一部のような岩がみえてきたのでそちらに行ってみると、水がちょろちょろとしみ出ている岩小屋がありました。岩小屋ということばから、ちょっとした洞窟のようなものを想像していましたが、2mくらいの庇がでているだけで、「これが岩小屋か....」と言葉を失うようなものでした。でも、一度見ておけば絶対に間違いようのない場所ですね。
翌日、甲斐駒の6合目までの長丁場なので気合いをいれて3:30に起床し、朝飯をがーっとかっくらって出発しようかと思いましたが、外はまだ暗く、ガレが激しいので、明るくなるまでテントの中でうだうだと過ごしなんのためにこんなに早く起きたのかと思いながら寒さにふるえていました。6時くらいになりうすらぼんやりと明るくなったところで出発。蟻地獄のような岩のガレの急登をずるずるとはいつくばるようにして登ること2時間、やっと角兵衛沢のコルに到着しました。付近はうっすらと雪がかぶっており風もだいぶ強くなっていました。ガレの途中5〜6人用のテントであれば張れそうな平らな場所がありましたので、岩小屋がいっぱいのときには水を補給してさらにコルに向かって前進することも可能でしょう。
雪の着いた斜面を第一高点目指して登りました。無事に登り終え、第一高点に出ると風はありましたが日光があたりぽかぽかとしていました。見渡せば360度の展望に八ヶ岳、北岳、仙丈がぽんぽんぽんと見え、なかなか感動的でありました。
さて、第一高点からの下りは切り立った崖を二つほど下りました。はじめは10m強を小ギャップにむけて懸垂、二つ目は3mほどクライムダウンです。降りたところが1mくらいのテラス状になっており、ここからの斜面の登りに備えてアイゼンを装着し、岩、雪、木の根まじりをわっしわっしと登っていきました。少し進み、岩の間にぽっかりとあいた風穴、鹿窓につきました。ここからは狭くて急なルンゼを慎重に降りていきます。細かいガレを気をつけながら降りていくと一段と激しい急な斜面になります。ここには長いロープが垂れており、それを頼りに10mくらい下降します。すると、また急で狭いザレ場に降り立ち、赤テープのある木を目指して進もうとすると反対側から来たパーティが我々の進もうとしている道が大ギャップへ続く道であることを教えてくれました。大ギャップに向かってしまうと、懸垂せざるを得なくなり、その後の登り返しがかなり厳しくなりそうな感じに見えました。教えてもらったおかげで、大ギャップを大きく下りながら巻き越えることができ、なんとか核心部を通過しましたが、この部分は雪崩の通り道になりそうな感じの場所なので、積雪期の通過はかなり注意を要する場所だと思います。中ノ川乗越を通過して午後になるころには雪がちらほらと舞始め、午後3時に甲斐駒6合目の石室に着く頃にはかなりの風が吹いていました。石室は4.5m×5.5m程度の広さでした。
最終日は、昨晩の吹雪が嘘のように快晴になり甲斐駒を登って帰るにはもったいないような天気になりました。で、この日は難しいところはないと思って登っていくと、途中岩を登らざるを得ない場所が出てきてちょっと緊張したりもしました。甲斐駒の後は北沢峠、八丁坂とひたすら下り続け、午後5時戸台に着いたときにはちょうど日が落ちて真っ暗になっていました。しばらくぶりの縦走でしたが、いろいろな要素のある味わい深い山行でありました。現在のただ一つの気がかりは、滝沢氏の車の中に3日間夜も昼も片時も肌から離れることのなかった私の靴下を残置してしまったことです。回収するころにはきっと熟成されていい感じになっていることでしょう。以上です。
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