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岩小舎 9 |
正月合宿 仙丈・甲斐駒 1997 |
1996.12.31〜1997. 1. 3 |
水谷明子 |
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「冬山は見るもの」と思って車窓から眺めつづけた自分から、一歩踏み出した山塾入会。今夏の白馬岳行きを、初登山として味をしめ、山への思いはピークに達しました。ボッカ訓練のつもりで参加したサブ合宿で、いくぶん不安は減ったはずだがやはり緊張と興奮で眼は覚えて、シラフの中で徹夜となる(試験でも、したことないのに・・・?!)。山塾通信の「八丁坂をあえいで登り・・・」のフレーズが頭に浮かび萎縮していく。雰囲気に飲まれ体中が硬く、これがマイナスにならない事を願いつつ、戸台に着く。
{反省1}これから自分達の登る山の距離、形状標高差、予想コースタイム・・・などを予習しておくべきである。そうすれば雰囲気に飲まれても、山に飲まれる感じはすくなくできる。慎重性は大切だが、不安はかぎりなく少ない方が、歩きが安全・安心。「安全は、道具にお金をかけること」と聞いたが、とにかく、自分の心構え。次からは必ず予習と地図をポケッとに入れて歩く。実力のない自分を補うべし。
戸台からの河原歩きはは、今日の体調がわかるバロメーター。登りに入って踏み出した一歩一歩に重心が乗りにくく、ザックと体が離れている錯覚。何気ない段差も登りにくい。一歩一歩がスクワットの練習のようだった。途中途中の皆さんの冗談で疲れも飛んで右脛の痛みを除けば、スタート時より元気になって北沢峠着。
{反省2}パッキングの内容によって、体調によってザックの調整が大切(しめ具合、長さ調節)そして、できるだけ丈を小さく押し込むことで首のしびれ感は減る。今回は北沢までピッケルを使用しなかったので、ピッケルをつける側と、ザックの中身で左右のバランスをとるべきだった。サブでは、テントポール中心に考えてみたが、空間が多くたけが長くなりすぎ。テルモス一つでも工夫できたと思う。自分の歩き癖(重心のかたより)、肩の高さの違い(個人的に仕事がら)を早くザックで補えるようにすべし。くるぶしの上の脛骨の当たりは歩行直後から強く、長衛荘からはしびれて引きずった。初日にしてこれだけ腫れたので、「我慢すればなんとかなる」と思って出てきたことに最大の反省点。初めて苦しいと落ち込む。
[参考]他にも当たる人がいましたが、プラブーツの場合、前面のプラスチック軟板に縦に2〜3センチの切り込みを入れると良いようです。最初、パンチで穴をあけそこに向かってハサミで切ってみよう。これで楽になる人もいる(帰ってからの情報)。
テント設営:新しいテントをいただいたのでポールはまっすぐ。サブでは初めてテントを作ったが、全然わからなかったので今回はさせてもらおうと思ったが、あっと言う間にワンタッチテント・・・と口では言える。
山での食事:今回はうちのテントでは、少しあっさり味に傾きました。山ではカロリーが高く(熱効率が良く)、腹もちの良いものなのでしょうが、内臓も疲労気味なので、乾麺は油揚でないいもの、1日は、野菜(ホウレン草)たっぷりの卵のおじやが合間に入ったのは好評だった。色どり、香辛料を使用して、味を補う(ゴマカス?!)。朝は、しっかり食べるべきで、登りはがんばれても、下りの集中力にはっきり出る。もち1枚の日と2枚に日は、明らかに違う。山では五味のうち酸味が大幅に欠如する。前回はとにかく行動中も酸味が欲しくてたまらず、甘いものがなかなか入っていかなかった。ポッカミニ、レモン汁原液まで飲んでしまった。自分だけかも知れない
酸・・・肝臓を助け、筋を補う(今回も欠如)
苦・・・心臓を助け、血脈を補う(今回は思いおこすと、ホーレン草、おでんのギンナン、コーヒー、ビールもです。)
という役目だったのを、すっかり忘れてしまった。
山の上の常識:特に食事の事は、まだまだ未知の世界で、勉強の余地大です。保存のために用いるペミカンなどの油脂が自分にはきついので工夫していくのが課題。(今回はペミカン用いず)
2日目(元旦):12時過ぎても1時過ぎても目がさえて、連続の徹夜になりそうなので最初で最後の薬をのむ。「明日は甲斐駒、足元ふらついては危険だもの・・・」と自分を納得させる。お酒も効なし。お陰で元気の良い迎える。足は重く痛くても、集中力さえ失わなければ前に進める。センスが無い分、集中、集中。それだけで嬉しく、おめでたい日におめでたい性格。
仙水小屋で巻いてもらったテープで足のくい込みが減り、どれほど助かったか知れない。ネックウォーマーはアンクルウォーマーに変わり歩き出す。いつ何時必要になるかわからない。テープは必携です。ドラ焼き減らしてもテープ!!。途中赤紫色に輝く空を振り返り、上へ上へと楽しく進む。1回も地図を見ぬまま、どこにいるかも知らぬまま頂上につく。☆反省☆。途中の岩場も、力まかせによじ登る感じ。縦走の時、岩場にぶつかってもロッククライミングをしておけば時間も、安全(心)度も節約だと感じる。
好天に恵まれ180度の展望。神々しい北アルプス、ずんぐり蓼科山、みんな登ってるらしい赤岳、ふりかえれば聳え立つ仙丈岳『まってるぞい』。○○みなさん『ハート』連れてきて下さってありがとうございます○○。
帰りは岩場二つ目で、右手にザイルをからめて摩擦を利用して下る。次ん着地する場所を確認しないで足先でさぐりながら下る。「きっとこれはいけないんだろう」とわかるほど下手だった(早く、早くせねば・・・)。ポカポカ陽気の中、双子山に寄り道して、練乳かき氷に舌鼓をうち、北沢峠へ向かう。○○あれは春山だ!ガヤガヤワイワイ○○。雪の質のせいか、今回は下りでころばない。苦手な下り...。だんごを早くとることも学んだ。それはそれは大きい団子。これを学んですべりも減ったと思う。「双子山の片方はここだよ」と教えてもらったが、後日見たらコブが2つ、そこに標高が掲示してあった。歩きながら地図でそれがわかると山がもっと身近になるだろう。
[Q ]今日は暖かかったから団子ができやすかったのだろうか?同じ
山でも、方角やその日の状態によってかなりかわるのか??
[天気]西高東低の気圧配置、温暖前線と寒冷前線の髭をはやした発達
した低気圧が太平洋に、日本付近は縦に密にならぶ等圧線がひ
かれている。(だいたいいつもこのパターンらしい。)
「等圧線の間隔が密だと風強く吹き出すらしい」By藤田さんと
高橋さん。(すごい、たてじわ!!、これはもっと勉強したい
いや勉強すべき?!です。)
夕食も済んで、今日は疲れたからと早く就寝。(前夜は騒いでごめんなさい)。又しても、冴えて目はらんらん。そうこうするうち、0時頃、かなり強い突風がテントの上をすべっていった。「どうせ明日は停滞」別に眠れなくてもいいや...。2時、3時・・・昨日の山行を思い出していた。(あ
ついあついと、もぞもぞシラフの中でぬいじゃう、フィー)。
3日目(1月2日):リーダーの停滞の連絡をうけて、我テントはしばらく寝ていることになる。ただ横になっているのも、なかなか厳しく、寝返りも苦しい、傾斜の中、又、藤田さんをつぶしてしまった。(雪踏み失敗したかなー?)。とっくに他のテントは、朝食すんだらしい。だらだら、うだうだ....。○○こうやってだらだら寝ているのも、いいもんだーぁ。ねーぇ!このままでいいやね!○○。
そこへ、「ビールの買い出しがてら、栗沢山に行く人・・・」と声がかかる。○○テントのいり口から顔が「ギョッまだねてる!!」、シラフの中で目だけギョロッ、「いく!!」○○。(眠いし、体痛いし、お腹ペコペコ・・・でも、せっかくの雪山、行かない手はない...。どこまでも欲張り・・・尻尾を振って出発!ルンルン犬ワンワン)。<今日は悪天候で吹雪かれる>この事に、出発の時から、オーバ手・ヤッケ・ネックウォーマー・・・余分「あくまでも上での話」だった。昨晩は暑かったこと、出発が昨日の甲斐駒より遅いことを考えると、昨日と同じ格好での歩き出しは暑い。汗をかいてはいけないことを忘れてた。歩き出して早速もぞもぞと、袖をまくったり、襟を開けたりする。(あっぃ、手でアオグ)昨晩の雪(みぞれ)で、トレースがはっきりいしないところや足場が悪かったりで、もぐったり、崩れたりしやすい。後足が流れたり、踏み込んだ前足がすべるのが嫌で、こんな雪だとすぐキックステップにしてしまう。(大好きなキックステップ、サブよりはすこし我慢してみた。皆はどうしているのかしら?)。『キックステップは疲れるから、なるべくフラットで・・・』でも自分ではずっとずっと楽で安心と感じるのはどうしてでしょうか・・。途中、道が途切れ、ラッセルの練習となる。見ていると「体力勝負」という印象のみだが、...。(雪の上に大きい枝が出ている。夏なら木の上を歩いていることになる。へーぇ!!)。見よう見まねで..。目の前の雪をピッケルで下へ崩し、落ちてきた雪を膝でついて、その穴が次のステップ台になるという流れなのでしょうか。膝でついた(かためた)所が十分にかたいか、足をひっかけて確かめる?わずか数十mの体験だが、殆どが、雪面に体をガバーっと沈めて抱き付いて終わっていたと思う。なんとこのラッセルの行程、100mで1時間要したそうだ。森林限界越えてからの風は強く、岩場にかくれてアイゼンと目出帽つける。(目出帽デビュー、くっくるしいもんです。でも安心)。山頂はすぐだったが、風が吹くととたんに勢いがなくなり、おまけにアイゼン、加えて下りの三拍子そろって超ペースDown!集中力の低下で、次の着地点が即選択できない。特に岩場では、アイゼンの歯をどの方向から要領よく接地させるか迷いが出た。あの時は急坂と思ったが、標高差はそれほどなく、踏み出した足に重心移動ができず単純な斜面でころんだ。これは精神的な弱さ!。意気消沈して戻ったが体が温まってくると元気取り戻す。寝つかない夜が又くる...。
4日目(1月3日):あきらめていた仙丈へ。
運が良ければ小仙丈から距離を伸ばせるかもしれない。途中まででも、登れる、目指せることがうれしい。○合目という表示を、初めて見たのが四合目。ボケッとしていたのか、大滝の頭に着いていた。この先、どんな歩きになるのだろう。山の表情は一体?????。甲斐駒とは全く異なるであろう事は衣服への指示で推測できる。ヤッケの下一枚だったのを山シャツを加える。森林限界を越えた途端、強風の波。すこしすると急斜面が始まった。強風で横にぶれながら、下手な耐風姿勢をとっていたら、もっと足を開くよう指示を受ける。一歩も前に出ていかない。止まってしまわずフラットポイントで両手をついて、進んでいいから」と言われる。(ザクッ・イチ・ニ)、(上の方にかすかにみんなが見える)、(気がつけばべつの方に向かっていた)。間が離れる一方なので、お腹に気合いを入れて、フラッとなアイゼン歩行へ。しかし、小仙丈を目前に引き返す事が決定。「アイゼンの歯を効かせて。下がかたいから効かせられるから」。そうか、「効かせる」という感覚を持つこと。アイゼンをある程度信頼し、かつ発揮できるように使うことが大切。ひたすらガニ股を心がける。ひっかけないと言いきかす。
樹林帯に入り、大滝の頭でもらて食べたおまんじゅうのおいしかった事!その後、なぜか元気がわいてきて、苦手な素早いこなし方訓練。雪ん抵抗せず、少したわむれる気持ちを持つこと。(今までは、いかにスピードや勢いを殺すかでした)。気持ちとしては雪道をスキーしてよいこと。矢田さんのコメントとニシノソノさんの軽やかなイメージを頭に真似してみる。ふわり、ふわり(速いながらも)走り下る先輩方。白鳥のようだった。(おおげさではありません)。ちゃぼも、いつかは白鳥のようになれるのだろうか。(ドスドス、アセ、アセ)。今回は上手な歩きを見せていただいてしっかりイメージを作ることも目的の一つでした。できれば雪面に応じた歩きのポイントもつかみたかったです。しかし実際は下を向いて、ついて行くので精一杯。前の人の靴しか見ずに過ぎていった気もします。しかし上手にいかずとも、いろいろな山、雪、に出会い、体でなじませることの積み重ねが、後々生きてくるように思います。
楽しい登山、テント生活...
本当にみなさんのお陰で体験することができました。自分のことは自分で迅速に、周囲への気配り、配慮、この常識を早く学び、自分のものにしていくよう心掛けます。感謝の気持ちを胸に。
帰省すると:
ギンギラギン、ルンルン...「ただいま〜」
「な、なんか目が血走ってるよ、でも元気そうで...」said my perents
1997年1月8日 記
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