ラストサムライ 米03年
トムクルーズ・渡辺謙・真田広之・小雪主演のハリウッドサムライモノ大作である"The Last Samurai"。特に本作では渡辺謙の好演が光っていて、内外の評価が高いことで評判、と言うのが下馬評であろう。
この映画で私が感じたのは、人にとって一番大切なものは信念である、と言うことだった。
しんねん 1 【信念】
(名)スル
(1)固く信じて疑わない心。行動の基礎となる態度。
「―をまげない」「―の人」
と言うことであるが、渡辺謙演ずる勝元を始める武士集団を通じて、これが強く感じられる。勿論、劇中ではヒール役である政府高官の大村もこの信念を持っているため、この点で大村に嫌悪感を抱くことは出来ない。大村に嫌悪感を感じるのは役柄の作られ方であって、私としては素直に「何て嫌な奴なんだ」と言う感想を持ったけども。
本や映画や劇や音楽や絵画や彫刻や…と言った類のものは、人間の人生に影響を及ぼすことがたまにある。今回のラストサムライは、別にこの映画で人生観が変わったわけではなかったが、「大切なものは信念だ」と言うのを再確認させてくれた映画だったと思う。私にとってはいい映画だった。
感想文はこれくらいなのだが、これでこの文を終えるつもりは無い。「外国人が作った日本の映画」ゆえに、日本人にとっては突っ込みどころが結構ある映画である。日本人に限った話ではないが、こういう外見だけを突っ込んで「駄作」と決め付けて駄作レビューを量産する人間の出来方自体が駄作と言う馬鹿がが世の中にはかなり多い。ここでは、このラストサムライにおいてこのような馬鹿が突っ込むであろうポイントを書いて行こうと思う。
1. 到着時の横浜の風景
山が多い。横浜は同じく国内有数の貿易港である神戸と異なり、山の無いのっぺりしたところにある港である。確かに、港の見える丘公園などがある山手は山がちであはるが、あんなに山ではない。という訳で、見た途端に「ああ、これは横浜と言うより香港だな。まあ浦賀もああいう感じか」と言う感じであるが、この辺を突っ込んでいるレビューがあるかもしれない。ハハハ、細かい事言うなよ。まあ私が言っているけど。因みに、劇中に出てくる横浜港の向こうに聳える富士山はあれで良い。あの位豪快に見える。
2. 武士団の武装レベル
渡辺謙率いる武士集団は、刀と槍と弓で武装していて、鉄砲などでの武装は無い。さすがにこれは有り得ない状況で、武士でも鉄砲は使っている。よりリアルになるには、武士集団は火縄銃で、官軍は後込め式の火縄不要の銃だと良いが、まあこれは製作側が武士集団の武装面での後進性を際立たせたかったからじゃねえかな。銃と剣では、むしろ織田・徳川連合軍と武田勝頼軍の長篠の戦と言う感じである、とか言っている奴は多分日本で100人はいるだろう。その内一人が私ね。
3. シダ植物
ちょっとネットサーフィンして見てみたんだけど、やっぱりこれを突っ込んでいる奴いたよ。吉野の山中で戦うシーンが最初の方にあるんだけど、植生が明らかに違うんだよな。でもさ、こんな所声を大にして突っ込むなこの駄作人間が。
4. 江戸城(宮城)
東京城に名前は変わっている。天守閣は明らかに姫路城である。こんな所突っ込む奴いるかな。
5. 明治天皇
やはり帝がいきなり接見を許可するとか、完全に締結された条約を反古にすると言うロシア人みたいなことを帝がやるとは思えんが、あの若さと側近達にあしらわれている姿はその通りだろう。若くして即位し、その地位を良い様に使われてしまったのは事実だと思う。明治帝の人間としての苦悩を描こうとしたのは良かったと思う。最後に反古にした場面、現実には有り得ない情景であるが、ここでも信念が見られる。
6. これが武士道か?と言う疑問
分かったよ。お前が新渡戸稲造の武士道を読んだのは分かった。それを以って「この映画は武士道なんて全然描かれていない」などとお前が言いたいのも分かった。いやー、本当に残念だったね、お前の理解出来ているレベルの武士道と違うことが描かれていて。時間の無駄だったね。いやー、本当に残念だ。
7. もうこれくらいにしとく
取り敢えず映画を見る資格が無いとは言わないよ。でもさ、グダグダ言うなと。