LOCK STOCK & TWO SMOKING BARRELS ガイ・リッチー監督


確か、まだ学生時代だった頃の話題作で、評判が良かったから見ようと思っているうちに、時が過ぎて公開終了とかなっていた作品だったと思う。こう言うケースはよくある。結局面倒臭いだけだったのだろう。

レンタルビデオ屋でDVDで借りてきて、いざ見てみた。

面白かった。何だか、トレインスポッティングとバッファロー66を、足して煮て割ったという感じの映画である。まあ、トレインスポッティングは映画見たこと無いんですけど。

さて、当LOCK STOCK & TWO SMOKING BARRELS、あらすじは:
@イカサマででっち上げられた50万ポンドの借金を返さなければならなくなった若者4人が
A大麻を栽培してマリファナを売るお坊ちゃまグループから金と大麻を奪おうとする悪い奴らから
Bその奪った金をさらに奪って返済しよう
というのものである。numberingしたのは纏めやすいからで、別に後の記述で引っ張るためではない。

まあストーリーなどはビデオなりDVDなりを借りて自分で確かめて欲しい。以下、私の感じるままに。

登場人物について。ダントツで私が危ないと感じたのは、アフロ男だ。何しろアフロ男が死んだ時、私は胸を撫で下ろしたのである。このアフロ男、名前がロリー。もう名前からして危ない。ガイ・リッチーが「アフロ頭=ロリポップshape≒ロリー」という式から誘導して命名した名前、かどうかは私には定かでないのだが。

ロリーの最初の登場シーンは、テレビを見ているシーンだ。テレビの音を小さくしてくれと頼まれたとき、ロリーはこちらを見る。その目と、その唇は、パッと見ただけでは単にショーウインドウ越しにトランペットを見ている顔に過ぎない。だが、そのような無防備な顔から一言"no"と言われて、引き下がらない奴は確実に死を見る運命にある、そんな顔をしているのだ。何しろ、ロリーの顔を見てトランペットしか連想しなかった奴は、火達磨になってパブから出て行かなければならなかったからだ。

ロリーの登場シーンから、ああ、こいつはかなり危ないと思っていたのだが、実際ロリーはこの作品中に登場する凶暴3グループの内の、1グループトップを占めている危ない奴だ。しかしこのロリー、劇中ではかなりkeyなキャストである。見ていただければ分かるが、このロリーの介在が無ければ、この映画は途中で主役4人が消されてしまうのである。

映画を観ていて、「ああ、これでは主役4人が殺されてしまう、どうなるんだろう」と思っている所で、何とロリーは電撃的に登場人物を救うのである。って、まあロリーも主役を殺しに行くところだったのだが、何かロリーが死んでしまうのである。しかも、ロリーを殺したのは主役じゃなくて、主役を始末しに来た別グループの人たち。主役が帰宅すると、何故か血まみれで死んでいるロリー軍団ともう一つのワル集団。ハッキリ言って、主役たちは帰ってきて家が滅茶苦茶になっているのと、しかもロリー軍団が死んでいると言う事実が、頭の中で繋がらなかっただろう。この主役たちの「訳分からなくて狼狽する様」を考えると、血まみれのシーンが余り好きでない私でも、血まみれのロリーを見て、肩を揺らして笑わざるを得なかった。

まあ論点が逸れたが、とにかく、ロリーは結構早く消えてしまう割に、主役4人最大のピンチを救い、主役4人を最後まで生かす筋道を作った、重要な人物なのである。とにかく、見ていただければロリーの恐ろしさ、そして劇中での重要性が痛感できるものと思う。ロリーの凄さ、ロリーの存在価値、ロリーがこの劇中で登場する必然性が分からない人は、間違いなくこの映画を理解していないと、私は断言する。

LOCK STOCK & TWO SOMOKING BARRELSを見たこと無い人にとって、このような執拗なまでのロリーに関する記述は、全く理解の出来ないものであると思う。しかし、もしここで貴方が明日、ビデオ屋でLOCK STOCK & TWO SMOKING BARRELSを借りて、この映画を見た暁には、鮮やかなまでに上記の内容が、頭の中で繋がると思う。そして一度でもこのLOCK STOCK & TWO SMOKING BARRELSを見たことある人は、今まさに借りに行ってほしい。そして、再度LOCK STOCK & TWO SMOKING BARRELSを見て欲しい。もうロリーが出てきた時点で、絶対に笑ってしまうはずである。

何だかロリーの事ばかり書いていたら、他のことを書く気が失せてきた。

とにかく、ガイ・リッチーがどのような脳内構造をしているのかは分からないのだが、私が興味があるのは、どうなってあのストーリーのつながりを考えたかである。無理難題と言える借金返済がまずあって、それをどう穏便に収めるかという方向で考えたのか、それとも最後のシーンのイメージがあって、そこに収斂させるためにどう物語を展開し、構成していこうと考えたのか。ただ、考えていく上で、どうしても辻褄合わせの役柄が必要になってきたのではないか。そしてそれが、ロリーだったんじゃないだろうか。

結局ロリーに話題が戻るのかよ。