メダル獲得率で振返るシドニー五輪


シドニー五輪もいよいよ閉幕。途中だろうが閉幕後だろうが、また次の大会に向けても気にされるのが、この各国メダル獲得数。だが、数だけが目立って、人口からの率がよく分からん。以前上司と、「一番コストパフォーマンスの高い国はどこだ」という話題で盛り上がったことを思い出したので、ここに表を作ってみた。一応日本以上の国を取り上げてみたが、それ以外でも出したいという人は、勝手に作っていただきたい。尚、人口は二宮書店刊の「地理統計要覧2000」から取った。統計は1997年現在らしい。

表.1 各国メダルコストパフォーマンス対照表 (2000年9月30日時点)

国名 人口 金/人口(%) 銀/人口(%) 銅/人口(%) 計/人口(%)
米   国 38 22 30 90 267901000 0.0000141843 0.00000008212 0.00000011198 0.00000033594
ロ シ ア 28 24 25 77 147105000 0.0000190340 0.00000016315 0.00000016995 0.00000052344
中   国 28 16 15 59 1272251000 0.0000022008 0.00000001258 0.00000001179 0.00000004637
オーストラリア 16 24 16 56 18532000 0.0000863371 0.00000129506 0.00000086337 0.00000302180
ド イ ツ 13 17 24 54 82071000 0.0000158399 0.00000020714 0.00000029243 0.00000065797
フランス 13 13 10 36 58607000 0.0000221817 0.00000022182 0.00000017063 0.00000061426
イタリア 12 8 11 31 57523000 0.0000208612 0.00000013907 0.00000019123 0.00000053891
キューバ 11 10 5 26 11059000 0.0000994665 0.00000090424 0.00000045212 0.00000235103
オランダ 11 8 4 23 15604000 0.0000704947 0.00000051269 0.00000025634 0.00000147398
ルーマニア 11 5 8 24 22565000 0.0000487481 0.00000022158 0.00000035453 0.00000106359
英   国 9 10 6 25 58200000 0.0000154639 0.00000017182 0.00000010309 0.00000042955
韓   国 8 9 11 28 45991000 0.0000173947 0.00000019569 0.00000023918 0.00000060881
ポーランド 6 4 2 12 38650000 0.0000155239 0.00000010349 0.00000005175 0.00000031048
日   本 5 8 5 18 126166000 0.0000039630 0.00000006341 0.00000003963 0.00000014267

まず表.1から。これは金・銀・銅・計の9月30日時点における各国獲得数と、人口で割ったものである。順位は金の獲得数順とした。
率は百分率表示しているので、例えば米国では金メダルを取った人は0.0000141843%ということになる。これではよく分からないが、アメリカ人7,050,026人の内1人が金メダルを獲ったということになる。団体で獲ったりするのを考慮すると、もっと多くの人が獲っていることになるが、これは面倒臭いので無視する。尚、日本の場合は金に限っては個人ばかりが取っているので、素直に「25,233,200人中一人が獲っている」と判断が出来る。2500万人に一人ということは、数字だけで見たらやはり田村亮子はスーパースターなんだろうななんて思ってしまうものだな。

獲得数で上位に名を連ねているのは御馴染みの常連達だ。米露中は、その大国らしさを遺憾なく発揮しているようである。また、開催国の定位置という印象の強い4位のところには、豪州が入っている。5位ドイツとの差を考えても、この順位が覆ることは無いだろう。大会開催前、豪州の数学者が「オーストラリアは金20個」という数字をはじき出したが、これには及びそうも無い。しかし、仮に20個獲っても、4位の地位は変わらないという点で、やはり3巨頭はずば抜けているという印象だ。

その後に控えているトップ10には、欧州勢がズラリ勢揃い。独仏伊のEU中核国が、堅調とも言える調子でメダルを獲得している。さらに、最近パート就業者の回転率を上げるなどして失業率低下と経済発展を推進し、「オランダモデル」などともてはやされている蘭も、かなりの獲得数である。体操でとりまくったルーマニア、そして英国も名を連ねている。あとはポーランドか。

中米の体育会系国、キューバも食い込んでいる。キューバは野球やバレーボールなどの団体競技が強いだけでなく、格闘系の競技も強かったりする。野球で金が獲れなくても、他で十分稼ぐだけの実力を持っているのだろう。

最後にアジア諸国。旧ソ連から解体した中央アジア諸国やイランでも金を獲ったりしているが、アジアで金を獲れるのは中国、韓国、そして日本である。日本はロサンゼルス大会以来、あまり獲れていないが、それでも今回は5個を獲得することが出来た。柔道が4つと圧倒的であるが、以前はその柔道ですら獲るのが難しくなっていたのだ。回復の兆しが見えていると判断していいだろう。長野五輪と金が同数というのは物足りないかもしれないが、あれは長野五輪の方が異常だったと考えるべきだろう。開催国の利以上の何かがあった筈だ。

気になるのは韓国の元気の無さである。ソウル大会以来、金二桁は当たり前のように獲っていた筈である。「東アジアの明治大学」という、体育会系の国という印象をもっていた私としては、少し気がかりである。スランプに入りかけなのだろうか。経済危機などもあったので、企業スポーツの予算カットなども響いたりしたのだろうか。日本みたいだけど、韓国は日本の方式を参考にすることが多いからな。

さて、数に関してはもういいだろう。問題は率である。ここでは金メダル獲得率と、全体数獲得率を表にした。まずは金獲り率。

表.2 金獲り率

国名 人口 金/人口(%) 何人に一人が
取ってんのか?
キューバ 11 11059000 0.0000994665 1005364
オーストラリア 16 18532000 0.0000863371 1158250
オランダ 11 15604000 0.0000704947 1418545
ルーマニア 11 22565000 0.0000487481 2051364
フランス 13 58607000 0.0000221817 4508231
イタリア 12 57523000 0.0000208612 4793583
ロ シ ア 28 147105000 0.0000190340 5253750
韓   国 8 45991000 0.0000173947 5748875
ド イ ツ 13 82071000 0.0000158399 6313154
ポーランド 6 38650000 0.0000155239 6441667
英   国 9 58200000 0.0000154639 6466667
米   国 38 267901000 0.0000141843 7050026
日   本 5 126166000 0.0000039630 25233200
中   国 28 1272251000 0.0000022008 45437536

豪州が圧倒的かなと思ったのだが、キューバが率でNo.1である。100万人に一人が獲得している。チームでの獲得もある国なので、実際にはもっと多くの人が金メダルを持っていることになる。豪州は2位で、115万人に一人。ただ水泳のソープなどのように、一人で数個とっている人がいるので、これも勘案するとやや減るのだろうか。その後はオランダやルーマニアなど、まあ人口が1000万人から2000万人くらいの国の率が高い。

欧州の大国は、大体5000万人くらいの人口を抱えているが、率にしてみると500万人に一人くらいの確率で金が獲れている。尚、ここには韓国も含まれる。う〜む、こうやって見ると「さすが東アジアの明治大学、東洋明治大学」などと、二つの大学が重なったような印象だ。よく分からんが。

さて、下位の方。中国がダントツビリなのは当然予想通りだ。だって13億人くらいいるじゃん。もし中国がフランスくらいに金を獲るならば、282個の金メダルを獲らなければならない。軍歌のような中国国歌が、9割を超える会場で鳴り響かねばならないのだ。これはムリだ。

しかし、気がかりなのは日本の断凸さ加減だろう。米国までは比較的順調な増加傾向を示しているが、日本でいきなり2500万人に一人となっている。グラフに表わすと下のようになってしまう。

こうやって考えると、まだまだ日本は増強の余地ありという感じなのだろうか。

それでは最後に、全体数の率を見てみよう。これは開催国豪州がトップであるが、金獲り率と比較してもあまり変化は無いようだ。トップの豪州は33万人に一人が、何らかの色のメダルを獲っている。我が日本は700万人に一人というわけで、率自体がアメリカの金獲り率とほぼ同じである。やはり、もう一度猪木が国会で、メダル獲得に向けての国家予算計上をアピールしなければならないのだろうか。

表.3 全体数では?

国名 人口 計/人口(%) 何人に一人が
取ってんのか?
オーストラリア 56 18532000 0.0003021800 330929
キューバ 26 11059000 0.0002351026 425346
オランダ 23 15604000 0.0001473981 678435
ルーマニア 24 22565000 0.0001063594 940208
ド イ ツ 54 82071000 0.0000657967 1519833
フランス 36 58607000 0.0000614261 1627972
韓   国 28 45991000 0.0000608815 1642536
イタリア 31 57523000 0.0000538915 1855581
ロ シ ア 77 147105000 0.0000523436 1910455
英   国 25 58200000 0.0000429553 2328000
米   国 90 267901000 0.0000335945 2976678
ポーランド 12 38650000 0.0000310479 3220833
日   本 18 126166000 0.0000142669 7009222
中   国 59 1272251000 0.0000046374 21563576

皆さんも独自の観点で、メダル数を評価してみてください。